60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

システムのある図形語

2006-02-10 23:00:27 | 言葉と文字
 チンパンジーは人間の音声語は無理なので、視覚によってしか言葉を教えることはできません。
 図はアメリカの「ヤーキーズ霊長類研究所」で使われた図形語の例です。
 図形は単語に似せていないので象形文字ではありませんが、単語の意味を指しているので、表意文字です。
 この図形語はひとつの単語にひとつの図形が対応しているのですが、図形はでたらめに作られているのではありません。
 左側にある10個の要素(デザイン.エレメント)を一定の規則で組み合わせて作られているのです。
 たとえば飲食物は赤い台紙に描かれ5番目の○が使われ、、食べ物は6番目の黒丸が使われるが、飲み物には使われないといった具合です。
 ちょうど漢字に偏とか旁があったりするようなもので、規則をのみ込めば単語の意味を記憶したり想いだす手がかりになります。

 図形を記号として意味と結び付けて覚えるということはチンパンジーでもできるのですが、でたらめの図形でなく、規則に従って作られた図形のほうがチンパンジーの倍も覚えやすかったかどうかは分かりません。
 ただエジプト文字にしても、メソポタミヤの楔形文字にしても、表意文字であるが図形要素を規則的に組み合わせています。
 図形要素によって言葉を分類して意味を連想させるという方法が表意文字の場合は使われているのです。

 表意文字といっても読むことができるためには音声と結び付けなければならないので、音声を示す部分を持つものが多くなります。
 表意文字は表音文字より文字数がはるかに多くなるので記憶に負担がかかりますが、音声を示す仕組みや、意味を連想させる仕組みを組み込んでいるので成り立っているのです。
 表音文字の場合は音声と結びつけるのは比較的容易でも、意味を連想させる仕組みが弱いのでこの面では表意文字より記憶に負担がかかります。
 表音文字のほうが簡単とか、優れているとは必ずしもいえないのです。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿