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日本人に向くシュメール文字

2006-02-11 23:12:03 | 言葉と文字
 小林登志子「シュメール 人類最古の文明」で紹介されている世界最古の文字とされているメソポタミヤの「ウルク古拙文字」といわれるものです。
 トークンというのは直径2cmmぐらいの粘土製品で、図のような形をしていて、メソポタミヤの古代遺跡でおびただしく出土されているそうです。
 
 トークンは素焼きの入れ物に入れられ、入れ物の表面には「トークンの押し印跡があったことから、これらのものは物質管理のための筆記用具ではなかったかとまず推測され」、古拙文字というのは粘土板にこの粘土製品を押し付けてできたのではないかとされています。
 ものの数量を管理するのに、小さな粘土製品を物を表すものとして使ったのですが、すっかりものの形をまねるのではなく、なんであるかを連想させる表現になっています。
 古拙文字は絵文字といわれるようなものであっても、すでに写生的な絵ではなく抽象化され、記号化しています。
 文字は絵のように物に似せて作られ、誰が見ても何を表しているか分かるというわけではないのがこの例でも分かります。

 古拙文字の線が直線的になり、より抽象的な形になったのがシュメールの楔形文字です。
 古拙文字は表意文字だったのが,楔形文字には表音文字も加わっているそうです。
 シュメール語を表記する楔形文字は日本の万葉仮名のように文章の中で、表音文字と表意文字を使い分けるそうです。
 なにか漢字かな混じり文のようなイメージです。
 また、シュメール語の文字数は600ぐらいなので漢字のことを考えれば日本人にとっては覚えやすいとのことです。

 シュメール文字は漢字に比べればはるかに少ないのですが、表音文字を加えたせいなのか、あるいは使われる場が限定されていたせいなのか分かりません。
 古拙文字のほうは表意文字で1000ぐらいあったということですから表音文字ができて文字数が減少しています。
 表意文字の造字が漢字のように増加しなかったのは、文字をあつかう階層が限られていて、文字文化が繁栄することができなかったのかもしれません。

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