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象形文字は意味を連想させる

2006-02-09 23:21:24 | 言葉と文字
 ジャン.カルヴェ「文字の世界史」は、古代文字の類似性というのは偶然的であるとしています。
太陽を表す象形文字として、エジプト、中国、アステカの例を示されれば、どの文明でも似たような文字を作るのだといわれても、ついそうだと思ってしまいます。
 しかしヒッタイトやマヤの例を出されれば「どこでも同じではないな」と気がつきます。
 さらに水の例ではエジプトは波の運動の側面図、中国は水の流れ、アステカは色(青色)と貝に着目し、容器で表している、と説明しています。
 象形文字だからといって、どこでも人間は同じ表現をするわけではなかったということが分かります。

 太陽の例などは「日」という漢字の元の象形文字を見たとき、現代の日本人の感覚にはなじまないものなのですが、これをもとにして「日」という漢字が生まれたと説明されればそんなものかと納得してしまいます。
 これは、象形文字を見れば太陽だと思うのではなく、これは太陽を表しているのだといわれると、太陽を連想することができるということなのです。
 水の例でも、説明されればそのようにイメージできるようになる、つまり連想が働くようになります。

 象形文字は絵文字のように描画技術が必要なほど写実的ではなく、ものの特徴の一部を示して、意味を連想させます。
 漢字は表意文字といわれますが、意味を表すというよりも意味を表す言葉を連想させる文字です。
 木という文字は形で木を連想させ、森という字は木が沢山集まっているということで「もり」を連想させるといった具合です。
 象形文字だけでなく、会意文字、形声文字など、いずれも連想によって意味を示そうとしています。
 漢字は「どうしてこのように書くか」という説明がよく見られますが、論理的な説明というものはありません。
 すべてこのように連想によって解釈できると言う説明です。
 しかも後付によるこじつけの説明も結構あるようです。
 それでも意味があっていれば、連想によって意味を記憶できるのだから、それはそれでよいのかもしれません。
 受験のときの歴史の年代を覚えるのに語呂合わせを使うのと同じようなものだからです。
 

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