60歳からの視覚能力

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右脳の衰えとは限らない

2006-11-13 22:53:04 | 脳の議論

 Aは黒い部分をひとつひとつ何を表しているかというように考えてしまうとなんだか分からなくなります。
 全体として何に見えるかという問題で、なにげなく見てパッと分かればいいのですが、考えてしまうと分かりにくくなります。
 分かりにくいときは、はっきり見ようとせずにボンヤリと焦点をあわせないで見るか、目を細めて全体がぼやけて見えるようにすると、犬だということが分かります。
 どの部分がどうというふうに、はっきりとは説明できないけれども、全体的なイメージとして輪郭がつかめ、犬だと直観するのです。

 Bは線画が重なっていて、全体としての輪郭というものはありません。
 いくつかのものの輪郭がかさなりあっているので、重なりの部分に注意を奪われてしまうと一つ一つのものの輪郭が分からなくなります。
 重なってはいても、いくつかの図形をそれぞれ別のものとして同時に見ることが要求されます。
 自動車、栓抜き、かなづち、ハンドバッグ、ティーカップセットなどと見ていって、いちばん大きなビンに気がつかなかったりします。

 普通の人はこれらの課題はそれほど難しくはないのですが、右脳に損傷を受けた人の場合はかなり難しいと言われています。
 ところが子供の場合もこのような、課題は楽ではないといいます。
 脳はまず右脳から発達するので、子供であっても右脳は発達していて、このような課題は難しくはないはずです。
 高齢者の場合もこうした課題が不得意になってきていて、脳の衰えのせいだとされるのですが、先に発達し右脳が後から衰えるはずなので右脳が衰えたからではないはずです。
 
 高齢者の場合は視力の衰えとか、老眼の進行などで細かい部分をよく見ようとして注意の範囲が狭まってしまうということがあります。
 そうすると細かい部分しか分からないということで、右脳が損傷した場合と似たような結果となるので、右脳が衰えたとされてしまう可能性があります。
 子供の場合は視覚経験の不足の可能性があり、必ずしも右脳の発達不足とはいえない可能性もあります。
 右脳損傷の患者と同じことが不得意だからといって、右脳が未発達とか右脳が衰えたとするのは早とちりの可能性があるのです。


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