図のテーブルAの天板とテ-ブルBの天板は形も大きさも同じ平行四辺形です。
Aを時計方向に70度ほど回転させればBの形になるのですが、とても同じになるようには見えません。
A図の辺x、yに対応するB図のx、yを比べてみるとB図ではxが長くなりyが短くなっているように見えるため、形が全く違うように見えるのです。
このように見えるのは平行四辺形がテーブルの天板のように見えるので、奥行き感を感じ奥の方向の長さを過大に感じるためです。
そのためAではyが長く感じるので細長いテーブルに見えるのにたいし、Bではxが長く感じられるのでズングリした形に見えるのです。
図CはBを、DはAを180度回転して逆さまにしたものですが、こうするとCとDの形は近づいてきて、AとBのときほど違いが大きくありません。
こうして見ると、逆さまにした絵は「右脳で見るのでありのままに見える」という説が正しいように感じられます。
AやBはテーブルだと思って見るので奥行き感を感じ、実際に網膜に映る長さより奥行きを長く感じるというわけです。
また図を逆さまにすれば奥行き感を感じにくくなるので、奥行きを網膜に映るより長く感じにくくなるということになります。
AやBを見るときは左脳で見て、テーブルだと判断して奥行きを見ている以上に長く感じる、つまり図をありのままに見ないので錯覚するのだといわれるとソンナ気がします。
しかしAやBを見たとき、テーブルの奥のほうが広がって見えることに気がつきます。
日常経験ではテーブルの奥のほうはやや狭まって見えるはずです。
左脳がありのままに見ないで、経験とか知識にしたがって見てしまうというならば、テーブルの奥のほうは幅が狭く見えるはずなのに逆に広がって見えています。
奥のほうが広がって見えるというのは、網膜にそのように映るからです。
網膜にそのように映るというのは、視線を動かしてみるからで、奥のほうを見るときと手前のほうを見るときでは焦点距離が違うので、大きさが違って見えるということです。
二つのものを見比べようとするとき、同時に見るということはなく、視線を動かして見比べるというのが普通です。
このとき奥にあると思うものを見るときと、手前にあると思うものを見るときでは自然に焦点距離を変えてみていますから、同じ長さのものでも違って見えるのです。
このことは視線を動かさないで見ると分ります。
たとえば、Aの天板部分の真ん中あたりに視線を向け、目を動かさないでじっと見ると形が変って見えるようになります。
横幅と奥行きの差が少なくなり、奥のほうが広がって見えた平行四辺形は正常な平行四辺形に見えるようになります。
視線を動かさなければ焦点距離が変化せず、同じ長さのものは同じ長さに見えるようになるのです。
また手前の辺と奥の辺を同時に注視することでも同じ結果が得られます。
同時に見れば焦点距離が変らないので、網膜には手前の辺も奥の辺も同じ長さに映りますから、結果として同じ長さに見えるようになり、正常な平行四辺形に見えるのです。
このようにして見ればAとBの平行四辺形が同じ形だということが実感できるようになるのです。
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