図Aを見せたときハトは棒がつながっているとは見ないで、二本の棒だと見るそうです。
隠れている部分は見えないためで、人間の乳児やチンパンジーもやはり、見えない部分を補ってみようとせず、一本の棒と見てしまうそうです。
ところが後ろの棒をBのように動かすと、人間の乳児もチンパンジーも一本の棒だとみなすようになるといいます。
つまり左右の見えている部分が同時に動くことによって、つながっていると感じるのです。
人間の大人はA図を見て棒がつながっていると見るのは、見えない部分を補って見ているからだとと普通は説明されてそれで納得します。
乳児やチンパンジーは、認知能力が未発達なので隠されている部分を補ってみることができず、棒が動いて初めてつながっていると感じるのだというわけです。
人間は脳が発達しているので、見えない部分をも補ってみる能力があるということなのですが、この補ってみるということが結果的に正しいかどうかは保証されているわけではありません。
隠れている部分は直接には見えないので、本当につながっているかどうかは、見ただけでわかるとは限りません。
棒は見えている部分だけしかないのかもしれませんし、隠れているところで途中で切れているかも知れません。
実際つながっているかどうかは、たしかめてみなければわからないのです。
Bのように左右が一緒に動いた場合であっても、棒が真ん中あたりで切れていて、一緒に動かされているに過ぎないということもあるのです。
実際、手品とか奇術では別の棒なのに一緒に動かして見せ、隠れている部分がつながっているように感じさせることで成り立ちます。
人間がありのままに見て、あくまでも見えた部分は見えた部分として、見えない部分を補って見ようとしなければマジックは成立しません。
いわゆる高度の認知機能を持つようになったためにだまされるのです。
ところで、A図の場合に乳児やサルが棒がつながっていると思わなかったのは、見えない部分を補ってみる能力がないためかどうかハッキリはわかりません。
C図のように棒を遮蔽する部分が小さいとどうかといえば、このように遮蔽部分が小さければ棒をつながっている見るのではないでしょうか。
A図の場合は遮蔽部分の割合が大きいので、四角形と棒が接する左右の部分を同時に観察するのが難しくなっています。
同時に離れた二箇所に視線を向けなければならないので。認知能力の劣るチンパンジーには同一の棒とみなすのが困難なのかもしれません。
C図のように遮蔽部分がせまくなれば棒のほうが一体的に感じられるのですから、乳児やチンパンジーでも見えない部分を見ることができないというわけではないのです。
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