左の図は、灰色の三角形の上に、白い四角形が重なっているように見えます。
ところが、平面に描かれている図形を三次元的に見る、つまり見立てを行うのは、人間の特徴です。
ハトを使った実験によると、ハトは灰色の四辺形と白い四辺形を別の図形と見て、重なっているとは見ないそうです。
実際、平面に描かれているのですから、二つの図形が隣接していると見るのはきわめて現実的で、重なって三角形の一部が隠されていると見るのは現実的ではないのです。
もし、これが平面上の図形ではなく、実際に三角形が遠くにあり、四角形が近くにあればハトがどのように見るかは分かりません。
しかし、もしこれが三角形でなく天敵であるカラスの頭であれば、隠されている部分があるからといって、カラスではないとは思わないでしょう。
部分が隠されていたからといって、そのものが分からないというようでは自然のk中では生きていけないからです。
人間は平面に描かれたものを三次元的に見立てることが出来ますが、そのためどのような見立てをするかによって見え方が変わります。
たとえば右の図で、一番上の図と真ん中の図を見比べたとき、横の線は真ん中の図のほうが長く見えます。
理由は、上の図では円が横線の両端の間にあるので、視線の動く範囲が狭いということもありますが、真ん中の図形では、横線の一部が円で隠されているように見えるためです。
そこでまん中の図と、一番下の図を比べて見ます。
一番下の図は、横線が円の上にのっているか、あるいは横線の上に透明な円がのっているように見えます。
そうすると、二番目の横線と一番下の図の横線とは同じ長さに見えます。
そこで一番上の図形を改めて見直します。
円の上に横線があるか、あるいは横線の上に透明の円がのっていると思ってみると、二番目の図形と横線の長さは同じに見えてきます。
二つの円を透明ガラスに見立てて見ると、二つの横線は同じ長さに見えるのです。
同じように一番下の図形と見比べても、横線は同じ長さに見えるでしょう。
人間の場合は、客観的にものを見ることができるだけでなく、見立てによって見えかたがかわるのです。
たいていの動物は平面上の像は平面的にしか見えないので、テレビを見ても立体感を感じません。
猫などはテレビを見ると後ろを見に行くというのは、映像が平面的に見えるので不思議に思うのでしょう。
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