アメリカでは認知症のテストで単語の綴りを逆に言わせるというのがあります。
worldならd,l,r,o,wと言わせるか、書かせるのです。
これは学校で教えるとき、w,o,r,l,d worldと一つづつ文字を確認させ、文字を組み立てて覚えさせるということを前提にしています。
worldという文字を見せて「ワールド」と読んで音声と結びつけて覚えさせると、綴りの記憶があいまいでも全体的な視覚イメージで覚えられます。
その場合は単語を見れば読むことは出来ても、書くという事になると記憶がハッキリしないので間違えたり、書けなかったりします。
そうなると、もともとにスペリングの記憶があいまいなのに、記憶がぼやけたと判定されそうな感じがします。
教育する側からすれば、文字を一つづつしっかり確認して、組み立てて読み方と書き方を覚えるのが基本だと考えますから、読めても書くのがおぼつかないというのは、あやふやな覚え方です。
しっかり基礎を身につけたあと、文字を一つづつ確認しなくても、見た瞬間に単語を読み取れるようになるというのが正しい順序だという前提です。
ところが子どものうちは、視覚能力が優れているので、手で書いて綴りを覚える前に読み方は覚えてしまいます。
書き方を覚えるより読み方を覚えるほうがずっとスピードが速いうえに、書く量より読む量のほうが圧倒的に多いのですから、全体イメージで覚えるほうに傾きます。
ところが綴りを逆に言う問題になると、組み立て式で覚えている場合は、頭の中に綴りのイメージを浮かべたとき、一つ一つの文字がはっきり思い浮かべられるので、後ろから読んでいけばよいので楽に出来ます。
単語の全体イメージで覚えている場合は、一つ一つの文字がハッキリしないところがあったりして正解が出せなかったりするのです。
これが日本語のひらがなであれば、綴りを後ろから言うのはそれほど難しいことではありません。
ひらがなの場合は文字をはっきり頭の中に浮かべなくても、音の短期記憶から逆にたどれます。
たとえば「しんるい」を逆に言うには、「しん、るい」と心の中で区切って発音して。「い、る、ん、し」と逆にいえばよいのです。
ひらがなの場合は文字を後ろから並べたものの読み方と、後ろからの読みとほぼ同じなので視覚イメージに頼らず逆に言えるのです。
漢字語の場合は熟語であれば、文字ごとの読みを後ろから思い出して並べればよいので、音を手がかりに文字を思い出すということが可能に思えます。
しかし漢字は文字自体が複雑な上に、同音異字が多いので文字をはっきり思い浮かべられなければなりません。
まして語を構成している部品を書き順の最後から言うとなれば音声との結びつつきが弱いので、視覚的にハッキリしたイメージでないと正解がだせません。
漢字の場合も英語と同じく、書くのは大変で、読むということについては単語の全体的な視覚イメージで覚えているのが主流なのです。
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