60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

文字の混み具合と読み取り能力

2007-10-06 23:11:08 | 眼と脳の働き

 本を開いて眼から30cmぐらい離して見ると、ページ全体の文字が見えるのですが、いざ文字を読もうとすると、眼を動かさないではっきりと読み取れるのは7文字ぐらいといわれています(個人差はありますが)。
 上の図の一行目のように漢字が並んでいるのを見ると、何気なく見たときはすべての文字が見えるので、全部読み取れているような感じがします。
 しかし、実際に文字を読み取ろうとした場合は、視線を動かさないで読み取れる範囲は7文字程度になってしまうでしょう。

 2行目は7文字になっていますが、これならまん中の「紺」という文字に視線を向けてみれば、何とか7文字をすべて読み取れるでしょう。
 それでも、あまり真ん中の文字に注意を集中しすぎれば、端のほうの文字がぼやけて読み取れなくなったりしますが、眼の力を抜けば一つ一つの文字を視線を動かさず読み取ることができるはずです。

 視線を固定したままでは狭い範囲しかはっきり見えないのは、網膜の視細胞がまん中に集中しているためなのですが、それなら同じ範囲に文字を多く配置したらどうなるでしょうか。
 3行目は2行目と同じ幅の中に、文字を多く配置しています。
 同じ幅の中に多く文字を配置するためには、文字を小さくしなければならないのですが、こうすると、まん中の「益」という字に視線を向けたまま、すべての文字を読み取ることは難しいでしょう。
 つまり眼の中心から離れていない場合でも、文字が小さければ読み取りにくくなってしまうのですが、これは文字が小さいため読み取りにくいのかといえば、それだけの理由ではありません。

 同じ文字の大きさでも、4行目のように文字を間引いて文字数を少なくしてみると、3行目と比べはるかに読み取りやすくなるのが分ります。
 逆に、5行目のように文字を間引かずに、文字間隔をあけると、文字列の幅は広がるのに3行目と比べると文字を読み取りやすくなります。
 
 3行目のように、文字列の幅が狭く目の中心で見ても、文字が小さくて文字間隔が狭く、文字数が多ければ、読み取りにくいのは脳が処理しきれないからです。
 狭い範囲であっても、一度に多くの情報がそこに示されれば、視覚的にははっきり見えても、読み取り作業が困難なのは、脳の処理能力をこえているからです。
 文字が小さすぎると、脳が処理能力に応じて見る範囲を狭めてしまうということになり、その結果、いつのまにか眼を凝らして読み取ろうとするため、眼も脳も疲れてしまうということになります。
 字が細かすぎると感じたら、そのようなものを読まないか、老眼鏡を使用するなどして無理を避けるのが賢明です。

 

 


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