60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

文字の読み取りやすさ

2007-10-07 23:18:37 | 眼と脳の働き

 一番上の図の線は何本あるか数えようとすると、よほどの集中力が必要です。
 左端から数えていっても、途中で迷うとどこまで数えたか分らなくなってしまうからですが、同じ線が沢山近接しているためです。
 これが二番目の図のように色分けされていると数えるのは楽になります。
 左端から順に一本ずつ数えていっても、上の場合と違って赤い線が目印になるので、どこまで数えたか迷わずにすみます。
 一番上の図の場合は、途中まで来ると多くの線が視界に入るため、脳が情報をうまく処理できなくなるのですが、二番目の図の場合は赤い線で区切られた区間に注意を絞ることができるので、処理が楽になるのです。

 三番目の図ではまん中の部分に眼を向ければ、眼の中心で見ても真ん中に集中している線の数を数えるのは困難です。
 真ん中に視線を向けた場合、左右の間隔の開いた線は、まん中部分を見るときの視力が1.0であるとすれば0.1以下の視力で見ていることになるのですが、数えることができます。
 まん中に集中している線は、はっきりと見えるのですが数えにくく、外側の線はぼんやりしているけれども数えられます。
 はっきり見えても線が集中していると処理しにくいのです。

 図Aは旧字体の漢字を羅列したものですが、字画が多いため眼を動かさないで一度に読み取れる字数は少なくて七文字でも難しいでしょう。
 たとえば左から七文字は「樂」までですが、視線を動かさずに読み取るというのは難しいでしょう。
 同じ漢字でもa図のように新字体であれば、同時に読み取ることができます。
 同じ文字数でも字画が多くて複雑な文字であれば、読取範囲が狭くなり、眼にも脳にも負荷が多くかかるのです。
 旧字体のほうがよいのだという主張もありますが、読み取りやすさという点では、新字体が断然有利なのです。

 同じ旧漢字の文字列でもB図のように途中で色が変わったりしていると、少し読み取りやすくなり、さらにC図のようにひらがなが混ざっていれば、かなり読み取りやすくなります。
 同じように新字体の場合も、文字色を変えた部分を作ったり、ひらがなが混じったほうが読み取りやすくなります。
 辞書などで重要語の見出しを赤くしてあるものがあるのは、その文字を目立たせるというのが目的なのでしょうが、ほかの文字を読むのも楽になるので効果的です。
 同類の文字が切れ目なくつながっていると、一度に読み取れる文字数が少ないのですが、文字列に切れめがあれば、読み取れる範囲が広がり、読みやすくなるのです。
 漢字かな混じり文は、漢字とひらがながお互いに区切りとなって、脳による処理単位を小さくしているので読み取りやすくなっているのです。

 
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿