図は視力検査などに使われるランドルト環を並べたものですが、「見える」ということでは、全体が目に入りますから見えます。
しかし一番上の矢印の辺りに視線を向けて見ると、すべての環が見えていても、左右両端の環の切れている部分が上下左右どの方向なのかはわかりません。
何気なく図を眺めたときはすべての環がハッキリ見えているような気がするのですが、環のどの部分が切れているかという細かい点は分らないのですから、ぼやけてしか見えていないということが分ります。
人間の目は中心から離れると、視力が極端に落ちるのに、普段ものを見ているときにはそのことに気がついていません。
本を開けたときもページ全体が見えているように感じても、そのページのすべての文字が実際にハッキリ見えているわけではないのです。
一番上の矢印のついている環に視線を向けたとき、その下の環の切れ目が分るのは三つ目ぐらいまでで、その下になれば視線を動かさないと見分けられないでしょう。
複雑で細かな部分を見極めるというのではなく、上下左右いずれかの方向での切れ目を見分けるのですから、これは単純な課題です。、
それが見分けられないということは、周辺視力は主観と比べるとだいぶ落ちるということです。
左右の場合でどのていどまで見極められるかは、上の図では紛らわしいので、下の図のように4~9個の環で試してみます。
最初の4個の場合はすべての切れ目が同時に目に入るでしょう。
次の5個の場合、あるいはその次の6個の場合までは視線を動かさないで同時に切れ目を見ることができると思います。
ところが7個になるとやや難しく、あまり真ん中に注意を手中すると左右両端が分りにくくなります。
さらに8個、9個となると限界に近づいてきて、注意を分散してもハッキリは見えにくくなっています。
このような結果から考えると、文字を読む場合でも7文字ぐらいが視線を動かさないで読み取れる範囲だというのも納得がいきます。
それでも一つの文字に注意を集中してしまうと、視野は7文字より狭まってしまうので、文字列全体を見るようにすることが大事です。
目の中心で見る部分は注意を集中しなくてもよく見えるので、強いて一つ一つの文字に集中する必要はないのです。
したがって、文字列全体を見る習慣を身につけるほうが、理解しやすいだけでなく余計なエネルギーを使わずに済み、眼も疲れにくくなります。
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