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主観的輪郭と奥行き感

2008-02-16 22:26:49 | 視角と判断

 図Aは主観的輪郭といわれるもので、パックマンに囲まれた白い三角形が見えますが、実際にはこの白い三角形が描かれているわけではありません。
 実際には描かれていない三角形の輪郭が見えるので、主観的輪郭という名前がつけられているのですが、名前の付け方としては奇妙です。
 特定の人に見えるというのではなく、誰にでも見えますし、サルにもこの輪郭は見えるといいますから、いわば客観的輪郭です。
 なぜ描かれていない三角形の輪郭が見えるのかということは説明できていませんが、見え方の特徴は三角形の部分は光って白く見え、浮き出て見えますから奥行き感と関係があること分ります。

 このことはB図を見るとハッキリします。
 B図は記事の上に変形パックマンを置いたものですが、囲まれた部分はやはり、白く光って浮き出て見えます。
 ここで気がつくのはA図のときには気がつかなかったのですが、光って見える部分は拡大されて見えるということです(実際はA図の場合光って見える三角形は逆さまの三角形よりやや大きく見えるのです)。
 背景が文字であるため、白く浮き出て見える部分の文字の大きさが背景の文字と比べられ、拡大されて見えることに気がつくのです。
 もちろんこの囲まれた部分は、別にはめ込まれたものではなく、背景の記事の一部分に過ぎません。

 囲まれた部分が浮き出て見えるということは、逆に言えば記事全体が遠くにあるように見えることであり、黒いパックマンは記事の上にあるように見え、
さらにその黒いパックマンの上に四角い紙がおかれているように見えます。
 そのためまん中の四角い部分は背景の記事の部分よりぐっと浮き上がって見えるのです。
 まん中の四角い部分が浮き上がって見えるということは、背景の記事の部分が奥に見えることで、焦点が背景の部分に合わせられているのです。
 その結果囲まれた四角い部分は手前に感じられ、大きく見えるのです。

 速読法の本などには、広い範囲の文字を見るために、文字を見るのでなく背景の白い部分を見るとよいと書かれていることがあります。
 文字を見るということは、普通はそこに焦点を合わせるということになるのですが、背景の白い部分を見るときは自然に文字より後ろに焦点を合わせることになります。
 その結果、より広い範囲の文字が見えるだけでなく、文字が浮き上がって拡大されて見えます。
 文字に焦点が合っていないので、少しぼやけて見えのですが、少し拡大されて見えるで、読みやすさが少しく補償されます。
 というわけで背景の白い部分を見るというのは、文字の面より先のほうに焦点をおくためのコツなのです。


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