60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

瞬間的に文字を読み取る

2007-01-16 22:52:20 | 文字を読む

 画面の同じ場所に図のA、B、C、Dを0.1秒ずつ順に表示すると、AかCのどちらかは読み取れてももう一方は読み取れません。
 AあるいはCを0.1秒表示してその上にBを表示した場合は、それぞれ読み取ることは出来るのですが、連続すると一方は読み取れなくなるのです。
 0.1秒しか表示されなくても、視覚的記憶が0.5秒程度維持されるため、一回の表示であれば読み取りが可能です。
 ところがこの読み取り作業は0.3秒程度かかるとされているので、脳による読み取り作業が終わらないうちに次の文字が示されると、あとの文字を読み取ろうとすれば先の文字が読み取れないままとなります。
 先の文字の読み取ろうとするとあとの文字の読み取りにかかれないので、結局片方しか読み取れないことになるのです。
 
 漢字は千分の一秒の表示でも読み取れると言うのは、ひとつの文字についてのことで、連続的に二つ以上表示された場合でも読み取れるということではないのです。
 ある程度複雑な文字でも瞬間的に表示されただけで読み取れると言うのは、その文字を知っているからで、複雑な文字であれば記憶と照合するのに時間がかかり、すぐに次の文字が表示されれば両方は読み取れなくなるのです。

 一文字でなく四文字熟語を表示した場合でも、知っている熟語であれば0.1秒の表示でも読み取れます。
 同じ場所に一文字づつ表示した場合は、0.1秒ずつで合計0.4秒かけてもすべて読み取ることは出来ないのに、同時に4文字表示されれば0.1秒ですべて読み取ることが可能なのです。
 文字を読むとき文字を一つ一つ読むのではなく、単語や文をひとまとまりのものとしてとらえて読み取らないと、スピードが落ちるだけでなく理解も難しくなるのです。

 次に下の図のように、二つの文字が同時に表示された場合はどうかというと、二つの文字がある程度離れていると、0.1秒程度の瞬間的な表示では、似たような文字は判別できません。
 中心窩で両方の文字を見ることが出来ないので、瞬間的に記憶された視覚像自体がぼやけているので、比較してもハッキリと区別することが出来ないのです。
 文章の中であれば文字がハッキリ見えなくても文脈によって判別することが出来るのですが、文脈なしで視覚だけで判別することは難しいのです。
 文字校正のように、校正する側の解釈する文脈で読んでいると、ハッキリ見えているのに間違いに気がつかないことがありますが、文字を読むときは視覚だけに頼っているわけではないと言うことです。