60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

瞬間視と周辺視

2007-01-21 23:08:37 | 文字を読む

 文字が読めるのは文字の視覚イメージが記憶されているからですが、記憶されているイメージは固定した型枠のようなものではなく、パターンとして記憶されています。
 型のようなものであれば書体が違ったりすると、読めなくなるはずですがそういうことはありません。
 図の2行目のように、モザイクがかかったり、にじんでぼやけたりあるいは部分的に消えていたりすれば記憶と一致しないはずですが、読み取れるのはパターンとして記憶されているためです。
 細かい部分が一致しなくても、パターンが同じであると判定できればわかった感じ、読んだと思います。
 パターとして記憶されているから3行目のようによけいな刺激が加わっても読み取ることが出来るのですが、左上のように文字があまり小さければ、形としては正しくてもパターンとしてつかめないため読みにくくなります。

 もちろん文字の覚えはじめのときは、手本にしたがって覚えようとするので、細かい部分もお手本どおりに記憶しようとします。
 したがって文字を読むときも、細かい部分についてもお手本と一致しているかどうか確かめることで読み取ろうとします。
 したがって文字の覚えはじめのときは、文字に注意を集中して文字を一つづつジッと見つめて読んでいます。
 そうすると文字がにじんでいたり、ぼけたり変形していたりするとどうしても読み取れなかったりします。
 そればかりか、注意を集中し続けるために疲労が激しくなります。
 ところが読むことに習熟してくれば、文字の細かい部分についてハッキリ見分けなくても全体的なパターンから読み取ってしまいます。

 図の一番下の行のように文字が変形されていたり、簡略化されてしまったりしても読めたりするのは文字をパターンとして認識しているためです。
 そのため「鬱」のようにひどく込み入った文字で使用頻度が低いと、パターンとして記憶されにくく少し変形しただけでも読みにくくなります。
 文字をジッと見なくてもパッと見ただけで読めたり、あるいは視線を向けた中心近くの文字だけでなく周辺部分もある程度読めるというのも、文字をパターンとして記憶しているためです。
 逆にいえば文字や単語を瞬間的に読み取ったり、周辺視野で読み取れる範囲を広げることが出来れば楽に読むことができるようになります。