コスタリカに棲息するバシリスクというトカゲは、水の上を二本足で走ります
動きが速いためどのようにして走るのか、動きをはっきり分解した像を撮影することに難しいのですが、NHKの開発した百万分の一秒まで撮影できるカメラでその様子がわかりました。
NHKの解説ではこのトカゲは一秒間に足を二十歩の割合で動かしていて、片方の足が沈まないうちにもう片方の足を水に入れると言うやり方で水の上を走ると言うことです。
人間が同じようなやり方で水の上を走ろうとするなら、時速106kmの速さで走らなければならないそうです。
100mを10秒程度で走っても時速37km程度ですから、人間には水の上を走るのは無理です。
どうしたら水の上を歩くとか走ることができるかということに対し、日本では忍術の水蜘蛛のような道具が工夫されましたが実用的ではなかったようです。
図の右上は下駄のように両足で履くもの、下は浮きのようなもので、両足を中にいれアヒルのようにこぐというアイデアです。
いずれもスピードは念頭になく、水に沈まないうちに足を引き上げるというアイデアは漫才とか落語のネタとしてしか考えられなかったようです。
バシリスクの足は人間の足に比べればずっと短いので、一秒間に20回も動かすことが出来たのですが、これは足だけの問題だけでなく、神経全体の問題です。
一秒あたりの動作が多いということは、視覚などの感覚も一秒あたりの分解能も高いということで、細かい動きを見極められることでもあるのです。
人間の目はバシリスクの足の動きをハッキリとらえられないということは、眼の一秒あたりの分解能が低いためで、一秒当たりに足を動かせる回数と関わってもいるものと思われます。
人間の眼の時間分解能は小さな動物や生物に比べ低いのですが、同じ人間の中では個人差がかなりあります。
高齢になればいわゆる視力が衰えるだけではなく、時間分解能も気がつかないうちに落ちています。
普通の視力の衰えはメガネなどである程度おぎなえるのですが、時間分解能の衰えはメガネでは補えませんから、意識的な訓練によるしかありません。
高速のビデオカメラで撮影してスローで再生すればよいのかもしれませんが、リアルタイムではないので実用的ではありません。