”今日の風は初めてだね。どこからきたの?”
”ずっと遠くから。たぶん話してもわかってもらえないくらい遠くからよ”
今日はまた新しい風に出会った。小さな少女みたいなその風は、揺れるように僕の周りを吹き抜けていく。
”あなたはどこへ行くの?”
不意に風が問いかける
”知らないよ? 風に任せるんじゃないかな?”
風は少しむすっとして
”そんなのいけないよ。目的もないなんて。あなたウソついてる。もっとほかに本当の理由があるんじゃないの?”
問いつめられるような風は僕の肌をぴりぴりと駆け抜けていく。
こんな風は初めてだ。こんなわがままなくらい人を惑わせる風。いや、人に当たる風というのだろうか。
”なんていうかな。理由なんて求めないことにしてるんだ。あの場所へ行くのもこの場所にとどまるのも、たぶんどこかに目的があるんじゃないかと思うんだ。たぶんね”
風はふうんと鼻を鳴らす。
”じゃぁいつになったらその目的が見つかるの?”
”そうだね。あと2,3年って所かな? 前もそんなこといってたかもしれないけどね”
僕がそういうと風は人差し指を突き出して
”そう、それじゃまた2,3年後に見に来るわ。それまでにあなたは何かを成している。そう考えていいのね!”
その言葉に少しどきりとする。なにか、なにか、なにか・・・・・・
”たぶん・・・・・・ いや、なんとかするよ。たぶ・・・・・・ん”
”たぶんじゃダメよ。ここで誓いなさい。あの空に向かって。空がダメなら海でも山でもいいわ。思いっきり叫ぶの。何かを成す!! あなたが思い描いている未来をここで誓って”
一歩二歩、じりじりと後ずさりをする。
思わず引いてしまった。彼女の剣幕と必死さに、知らないうちに背中が壁に当たる。
”さぁ、もう逃げ場はないわ。心を決めなさい。本当のあなたを見せてみなさい。いつか心に誓ったもの、忘れていったのも、これから成すもの”
そっと風が頬を伝う。柔らかく暖かく。
ふっと髪をなでていく。小さく耳元で聞こえる
”大丈夫。風はあなたの味方だから。私が応援するわ。大丈夫”
そっと背中が壁から離れる。ふわりとした感覚で押されたような。
”****** ******”
思わずはき出すようにその言葉を口にした。
いつからか夢に描いていた言葉。夢を夢として見つめているだけの言葉。
”そう。言葉は言うからこそ本当になる。心にとどめておくだけじゃダメ”
赤くなる僕の顔をさますように風がゆっくりと吹き抜けていく。
”大丈夫よ。あなたの背中には風がついてる。いつだってあなたの背中を押してくれるわ。あとはあなたが目の前にある風をどうやって通り抜けるか。それだけよ”
僕は小さく頷いていた。知らないうちに小さな涙があふれていた。いつの間にかなくした涙がやっと戻ってきたような気がする。
”じゃぁ、私はいくわ。また二年後くらいに寄ってみるね”
”うん。”
”それじゃね。あなたの夢 大切にね”
そういうと風はさらりとして過ぎていった。
”ありがとう”
そうつぶやいた声はあの風の中に消えた。
”ずっと遠くから。たぶん話してもわかってもらえないくらい遠くからよ”
今日はまた新しい風に出会った。小さな少女みたいなその風は、揺れるように僕の周りを吹き抜けていく。
”あなたはどこへ行くの?”
不意に風が問いかける
”知らないよ? 風に任せるんじゃないかな?”
風は少しむすっとして
”そんなのいけないよ。目的もないなんて。あなたウソついてる。もっとほかに本当の理由があるんじゃないの?”
問いつめられるような風は僕の肌をぴりぴりと駆け抜けていく。
こんな風は初めてだ。こんなわがままなくらい人を惑わせる風。いや、人に当たる風というのだろうか。
”なんていうかな。理由なんて求めないことにしてるんだ。あの場所へ行くのもこの場所にとどまるのも、たぶんどこかに目的があるんじゃないかと思うんだ。たぶんね”
風はふうんと鼻を鳴らす。
”じゃぁいつになったらその目的が見つかるの?”
”そうだね。あと2,3年って所かな? 前もそんなこといってたかもしれないけどね”
僕がそういうと風は人差し指を突き出して
”そう、それじゃまた2,3年後に見に来るわ。それまでにあなたは何かを成している。そう考えていいのね!”
その言葉に少しどきりとする。なにか、なにか、なにか・・・・・・
”たぶん・・・・・・ いや、なんとかするよ。たぶ・・・・・・ん”
”たぶんじゃダメよ。ここで誓いなさい。あの空に向かって。空がダメなら海でも山でもいいわ。思いっきり叫ぶの。何かを成す!! あなたが思い描いている未来をここで誓って”
一歩二歩、じりじりと後ずさりをする。
思わず引いてしまった。彼女の剣幕と必死さに、知らないうちに背中が壁に当たる。
”さぁ、もう逃げ場はないわ。心を決めなさい。本当のあなたを見せてみなさい。いつか心に誓ったもの、忘れていったのも、これから成すもの”
そっと風が頬を伝う。柔らかく暖かく。
ふっと髪をなでていく。小さく耳元で聞こえる
”大丈夫。風はあなたの味方だから。私が応援するわ。大丈夫”
そっと背中が壁から離れる。ふわりとした感覚で押されたような。
”****** ******”
思わずはき出すようにその言葉を口にした。
いつからか夢に描いていた言葉。夢を夢として見つめているだけの言葉。
”そう。言葉は言うからこそ本当になる。心にとどめておくだけじゃダメ”
赤くなる僕の顔をさますように風がゆっくりと吹き抜けていく。
”大丈夫よ。あなたの背中には風がついてる。いつだってあなたの背中を押してくれるわ。あとはあなたが目の前にある風をどうやって通り抜けるか。それだけよ”
僕は小さく頷いていた。知らないうちに小さな涙があふれていた。いつの間にかなくした涙がやっと戻ってきたような気がする。
”じゃぁ、私はいくわ。また二年後くらいに寄ってみるね”
”うん。”
”それじゃね。あなたの夢 大切にね”
そういうと風はさらりとして過ぎていった。
”ありがとう”
そうつぶやいた声はあの風の中に消えた。