みなよか日記

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トイレいろいろ

2009-08-15 15:02:49 | 熊本市内トイレ
こんにちは
 
今日は、多目的トイレについての一考です。
 
せっかくですので、評価の高いトイレをいくつか紹介します。
 
まずはJR水前寺駅の多目的トイレ。入口には触地図と呼ばれる点字が刻まれた見取り図があります。これは視覚に障害がある人が便器の位置や手洗い場の場所を知るためのものです。みなさんも見かけたら触ってみて下さい。
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おそらくもっとも大切な入口。この入口の幅は最低でも85cm程度は必要です。大型の車いすや電動車いすユーザーにとって、この入り口幅や、内部の広さはとても重要です。ちなみに、水前寺駅トイレは入り口幅95cmあります。
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手すりの設置方法は様々ですが、一般的に片方はL字型で壁に固定でもう片方がU字型でハネ上げるタイプが多いようです。実際このタイプが使いやすいようですね。


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手すりがハネ上げ式になっているのには理由があります。それは、車いすから便座へ乗り換える時の動作に答えがあります。車いすユーザーが車いすから便座へ乗り移るにはいくつか方法がありますので、ご説明します。

便座正面から乗り移る方法。このやり方は一番安定していて転倒のリスクが少ないのですが、下半身の着衣を脱がないといけないのが難点ですね。この場合は、手すりは下げて使います。
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次に、自走している車いすユーザーにとっては、とても一般的な方法です。便座の斜め前から車いすをつけて、体を反転させながら乗り移ります。写真でもわかる通り、手すりをハネ上げて車いすを寄せます。
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最後に介助者に手伝ってもらうやり方の一つです。車いすを便座の横につけて、ユーザーの後ろから抱えるか、正面から抱えて、便座に移します。このときも手すりはハネ上げて使います。
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ここで紹介した方法のほかにも、体の状態に合わせて便器への乗り移りをされていると思います。どうでしょう、手すりが動かせるだけで、多様な方法に利用可能になってくるのがおわかりいただけたでしょうか。
ちなみに、こちらのトイレには便器の後ろに背もたれが付いていますが、これも大変助かる設備です。上半身の姿勢の維持に不安がある場合はもちろんですが、便座の上で着衣を脱いだり着たりする場合も背もたれに体を預けて行えるので便利です。
 
次に、ちょっと珍しい設備のあるトイレをご紹介します。ゆめタウン光の森店にある多目的トイレです。こちらの便座には簡易昇降機がついています。普通に座るとこんな感じですが、手すりの先の指先にレバーがあり、ここを握ると・・・・・
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便座自体が斜め前に持ち上がり、立ち上がる動作を補助してくれます。一般の商業施設にこの設備があるのは大変珍しいですね。高齢者を含めて、歩行に不安がある場合は膝が弱い場合が多いので、立ったり座ったりの動作は結構な負担です。これは楽チンですね。
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立ち上がるときにちょうど握れる場所に手すりが準備されています。丁寧に考えて作ってあるトイレです。設計者の心遣いが伝わってきますね。

 
ところで、この設備をご存じでしょうか。最近は多目的トイレの中でよく見られるようになってきたものです。
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これはオストメイトと呼ばれる設備です。様々な臓器の病気などで障害を負い、腹部に人工的に排泄のため孔をあけている方のための設備なんです。立ったまま作業するために、腰くらいの高さに設置されているもので、ストーマというパウチを使っている方にとっては、まさにこれが便器になるんですね。体に孔があるわけですから清潔でなければなりません。大切な設備なんです。設置されているトイレはまだまだ少数ですが、これからもっと多くなっていくといいですね。どんな障害があるとしても、安心して外出を楽しみたいですから。

ところで、ここゆめタウン光の森のトイレは施設が充実していることでも有名です。多目的トイレの中にはそのほかにも、オムツ交換台はもちろん、ユニバーサルシートと呼ばれる大型の介護ベットもあります。
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こちらも介助が必要な方はもちろんですが、ズボンの着脱などにも利用できて助かります。この設備をするにはトイレ自体の広さが必要になります。なかなか見られない原因もその辺かもしれませんね。

このトイレには他にも、チェンジングボード(着替えのための足台)や、大型の姿見、子供用便器などもあり至れり尽くせり。おそらくもっとも設備が充実して使い方の多様性のあるトイレに数えられるでしょう。うれしいですね。まさに、<多目的>トイレです。
 
最後にちょっと変わり種。とても有名なトイレですのでご存知の方も多いかと思いますが、1998年度日本トイレ協会グッドトイレ10賞に輝いた、熊本市内すずかけ台みどり公園のトイレです。
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外観も美しいトイレです。付近は丁寧に管理されていて、気持ちいのいい公園です。コミュニティーセンターがあるので人の出入りも多く、その点でも安心です。


入口は2方向に別れていて、向かって右側が車いす用の出入り口です。おしゃれな建物ですがトイレです。
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なんといっても驚きなのは、このトイレは土足禁止なんです。もちろん車いすユーザーはそのまま利用可能ですが、靴を脱いで利用できるほど清潔なトイレって、他にないですよね。

ピカピカに磨かれた床。
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花まで活けてあります。心をこめて手入れされている様子が伝わります。
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内部は広く、とにかく手入れが行き届いています。トイレという空間に対する考え方を改める機会になりました。

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手すりは左側のみになります。
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このトイレは汚せませんね。きれいに使うという気持ちに自然となります。「土足禁止」と言い切れるだけの清潔さです。
たしかに私たちにとって、トイレは機能的な事が第一ですが、それ以前に清潔でなくてはなりません。賞を取られたのが98年ですから、10年近く経つわけですが、清潔さは損なわれていませんでした。この継続が素晴らしいと思うのです。管理される方々の意思を感じました。本当に頭が下がります。

私たちは、観光のガイドをする仕事上、たくさんの多目的トイレを目にします。そして様々な障害を持つ方々からアドバイスをいただきます。これからもこの経験を生かしながら、みんなが安心して外出を楽しめるように、多目的トイレに関する提言を行っていくつもりです。


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