舞台は昭和30年代。
主人公は小学生のワッコちゃんこと、和歌子。
ワッコちゃんの美しい姉さまには不思議な力がある。
人や物をじっと集中して見つめると、その人や物が経験した過去が見えるのだ。
その力は姉さまとワッコちゃんの秘密だったのだが、ワッコちゃんは大好きな近所のお巡りさんにその力の事を話してしまい、そこから姉さまは不思議な力で陰ながら事件を解決しなければならなくなってしまう。。。
カッコよく言うと、サイコメトラーとして超能力捜査官みたいな話、なんだけれども、この小説にそういう表現をするとすご~く違和感があるのです。
昭和30年代というと、懐かしいというよりも自分の経験した時代ではないので、レトロな憧憬を感じる時代。
ワッコちゃんと姉さまは、事情があって(その事情はまだ明かされない)父とは別居しているようで、母と3人暮らし。
母が和裁や洋裁のお仕事で生計を支えている、慎ましいというか貧乏暮らしをしている家庭。
目下の目標はお金を貯めて「産業革命」(ミシン)を手に入れること。
ただし礼儀にはたいへん厳しい母の躾で、「人間貧乏をしても品位だけはなくしてはならない」という信条の元、凛とした生活をしているのです。
本書は今は年配の女性になっているらしきワッコちゃんが語り手として、ワッコちゃんが小学生から中学生、姉さまが中学生から二十歳くらいまでの間の短編集になっています。
姉さまの能力が中心のお話ですが、残虐な事件を解決する話もあれば、事件ではないものを「見る」話もあり。
生活や事件の端々に時代背景がちょこちょこ現れて、ノスタルジックな世界観を感じます。
登場人物も魅力的です。
外国の美少女のような美しい、けれど満足に学校に通えないくらい体の弱い(さらに不思議な力を持っている)姉さま。
平均日本人少女の容貌で、体の弱い姉さまを守ろうと奮闘するワッコちゃん。
厳しくて強い母さま。
警察の偉い人(公安らしい)で怖いけれど優しい人間性も垣間見える神楽さんや、姉さまと同年代の活発な茜ちゃん。
この短編集の中で、事件ではない、姉さまの淡い初恋の「流星のまたたき」が好きです。
また事件場面ではないようなところで表現される、例えば「流星のまたたき」の流星塵を「見る」シーンや、「春の悪魔」でふと母さまが語る、春風の悪魔の話とか、ところどころに後に印象深く残るような場面があるのです。
新書では続刊が出ているようですが、続きも読みたいし、朱川湊人のほかの本も読んでみたいと思います。
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200809000381
主人公は小学生のワッコちゃんこと、和歌子。
ワッコちゃんの美しい姉さまには不思議な力がある。
人や物をじっと集中して見つめると、その人や物が経験した過去が見えるのだ。
その力は姉さまとワッコちゃんの秘密だったのだが、ワッコちゃんは大好きな近所のお巡りさんにその力の事を話してしまい、そこから姉さまは不思議な力で陰ながら事件を解決しなければならなくなってしまう。。。
カッコよく言うと、サイコメトラーとして超能力捜査官みたいな話、なんだけれども、この小説にそういう表現をするとすご~く違和感があるのです。
昭和30年代というと、懐かしいというよりも自分の経験した時代ではないので、レトロな憧憬を感じる時代。
ワッコちゃんと姉さまは、事情があって(その事情はまだ明かされない)父とは別居しているようで、母と3人暮らし。
母が和裁や洋裁のお仕事で生計を支えている、慎ましいというか貧乏暮らしをしている家庭。
目下の目標はお金を貯めて「産業革命」(ミシン)を手に入れること。
ただし礼儀にはたいへん厳しい母の躾で、「人間貧乏をしても品位だけはなくしてはならない」という信条の元、凛とした生活をしているのです。
本書は今は年配の女性になっているらしきワッコちゃんが語り手として、ワッコちゃんが小学生から中学生、姉さまが中学生から二十歳くらいまでの間の短編集になっています。
姉さまの能力が中心のお話ですが、残虐な事件を解決する話もあれば、事件ではないものを「見る」話もあり。
生活や事件の端々に時代背景がちょこちょこ現れて、ノスタルジックな世界観を感じます。
登場人物も魅力的です。
外国の美少女のような美しい、けれど満足に学校に通えないくらい体の弱い(さらに不思議な力を持っている)姉さま。
平均日本人少女の容貌で、体の弱い姉さまを守ろうと奮闘するワッコちゃん。
厳しくて強い母さま。
警察の偉い人(公安らしい)で怖いけれど優しい人間性も垣間見える神楽さんや、姉さまと同年代の活発な茜ちゃん。
この短編集の中で、事件ではない、姉さまの淡い初恋の「流星のまたたき」が好きです。
また事件場面ではないようなところで表現される、例えば「流星のまたたき」の流星塵を「見る」シーンや、「春の悪魔」でふと母さまが語る、春風の悪魔の話とか、ところどころに後に印象深く残るような場面があるのです。
新書では続刊が出ているようですが、続きも読みたいし、朱川湊人のほかの本も読んでみたいと思います。
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200809000381