チョコレート空間

チョコレートを食べて本でも読みましょう

龍は眠る(宮部みゆき/新潮文庫)

2005-07-20 14:20:56 | 
雑誌記者の高坂は台風の近付く豪雨の中自転車をパンクさせて立ち往生している少年、稲村慎司を車で拾う。
その後何者かによって蓋が開けられごうごうと水が流れ込むマンホールに行き当たりどうやらそこへ小さな男の子が落ちてしまったらしいことを知る。
すると突然事件の手掛かりらしき事を次々に言い出す真司。
もしや彼が蓋を開けた犯人なのではという疑惑が心中によぎる高坂に慎司は「実は自分はサイキックなのだ」と告げて、他にも高坂の個人的な過去の出来事を言い当てる。
その後その事で頭を悩ませている高坂のところへ二十歳くらいの青年、織田直也が現れて慎司の言うことはみなトリックだと言い、全ての種明かしを見事にしてのける。
彼は本物の超能力者なのか、詐欺師なのか?再び慎司に近付いた高坂に彼が言ったことは直也こそが自分の唯一の仲間で自分よりも大きな力を持つ能力者だという。
彼らの事を調べ始めた高坂だが、元婚約者(今は他人の妻)を巻き込んだ誘拐事件が発生し、慎司たちもそれに巻き込まれてゆく。。。

最近たまたま読み返したんですが、もう10年前くらいの本なんですね~。
そういえば初めて読んだとき、この頃TVの深夜ドラマでやっていた『NIGHT HEAD』を思い出すなーと思って読んだことをふいに思い出しました。
(豊川悦司、武田真司演ずる超能力兄弟直也と直人の物語。名前が連想させる部分もあったかも^^;)
確かに今読むとなんとなく時代差を感じる部分がありますが、内容としては何の遜色もありません!!
もっと地に足がついたというか堅い小説も書かれる宮部さんですが、やっぱり今でも一番は?と聞かれたら『龍は眠る』と答えます。
「これは、ある決闘の記録である」
と冒頭はこんな文で始まりますが、二人の少年(青年)の苦い青春の物語でもあります。

もう内容を知っているからというのもあるかもしれませんが、けっこう冷静な目線で読み返しました。
やっぱり小説ってそれを読む側も適齢期ってあるじゃないですか。
この本は10代、20代で最初に読みたい小説だと今回思いました。