ソノラマ文庫なんて手に取ったのは何年ぶりか…
梶尾氏の本は『黄泉がえり』映画化のときに興味を持ち、映画を観る前に読みました。
今回も「この胸いっぱいの愛を」の映画コマーシャルを観て、映画の方はとりあえず
観る気はないのですが本の方は読みたくなって。
この映画の原作は2冊あるのですね。
同じタイトル『この胸いっぱいの愛を』
これは映画のノベライズなのですが(未読)、梶尾氏本人がノベライズしているそうです。
そしてもう1冊、元々はこの本から発しているので真の原作というべき本書『クロノス・ジョウンターの伝説』
P・フレックという会社が研究の末過去へ物質を送ることができる物質過去発射装置クロノス・ジョウンターを発明する。
ただしこの機械は過去へは数分(後半の話では数日)しか留まれず、しかも帰るときには元の時間ではなく戻った時間2乗以上の未来へ飛ばされてしまうというけっこう恐ろしいオマケ付き…というか、だったらよっぽどのことがなければ行きたくないよという機械です。
それを人間を被験者として実験するという段階になり、過去への旅をすることになるそれぞれの人物の時間旅行4編の短編からなります。
①吹原和彦の軌跡
②布川輝良の軌跡
③(外伝)朋恵の夢想時間
④鈴谷樹里の軌跡
吹原は通勤途中の花屋の女性に恋心を抱き、ただ挨拶をする間柄からやっと食事の約束を取り付けて天にも昇る気持ちになっていたのも束の間、タンクローリーの爆発事故で彼女は花屋の店ごと跡形もなく消えていた。
彼女を救うために吹原は試験段階のクロノス・ジョウンターに乗って事故の起こる前の時間へ向かう(①)
あるものをひとめ自分の目で見てみたいと思う市川はクロノス・ジョウンターの被験者に立候補する。
そこであるひとりの女性と出会い彼の旅が違う色合いを帯びることになる(②)
③はクロノス・ジョウンターと平行して開発研究がされているクロノス・コンディショナーという機械のお話。
こちらは被験者の心だけが過去のいつか(指定は可)の自分の体の中へ入って戻る。
朋恵には中学時代にあるトラウマがあった。
④は医師/鈴谷樹里がひょんなことからクロノス・ジョウンターの存在を知り、過去自分が医師になるきっかけとなったある人の難病を治したいがために過去へ戻る。
①~④まですべてすてきなラブ・ストーリーです。
このクロヌスという機械の性能上、
・相手のためへ過去へ戻る
・その後自分だけ先の未来へ飛ばされてしまう
というところからも捨身な愛情のプラトニックさが強調される。
『黄泉がえり』といい、梶尾氏の小説はSF的側面よりひとへの愛情、想いというのがとても印象深いものが多いです。
解説に時間もののSFはラブ・ストーリーと相性が良いと書かれてましたが、時間の「すれ違い」という要素も相性が良いのかもしれませんね。
当人同士にしたらえらい事ですけど。
わたしはこの4編では最後の樹里の話がいちばん好きです。
この中に出てくるSF『たんぽぽ娘』、現在では入手困難らしいですが読んでみたいです。
「おとといはウサギ。きのうは鹿。そして、きょうはあなた」
梶尾氏の本は『黄泉がえり』映画化のときに興味を持ち、映画を観る前に読みました。
今回も「この胸いっぱいの愛を」の映画コマーシャルを観て、映画の方はとりあえず
観る気はないのですが本の方は読みたくなって。
この映画の原作は2冊あるのですね。
同じタイトル『この胸いっぱいの愛を』
これは映画のノベライズなのですが(未読)、梶尾氏本人がノベライズしているそうです。
そしてもう1冊、元々はこの本から発しているので真の原作というべき本書『クロノス・ジョウンターの伝説』
P・フレックという会社が研究の末過去へ物質を送ることができる物質過去発射装置クロノス・ジョウンターを発明する。
ただしこの機械は過去へは数分(後半の話では数日)しか留まれず、しかも帰るときには元の時間ではなく戻った時間2乗以上の未来へ飛ばされてしまうというけっこう恐ろしいオマケ付き…というか、だったらよっぽどのことがなければ行きたくないよという機械です。
それを人間を被験者として実験するという段階になり、過去への旅をすることになるそれぞれの人物の時間旅行4編の短編からなります。
①吹原和彦の軌跡
②布川輝良の軌跡
③(外伝)朋恵の夢想時間
④鈴谷樹里の軌跡
吹原は通勤途中の花屋の女性に恋心を抱き、ただ挨拶をする間柄からやっと食事の約束を取り付けて天にも昇る気持ちになっていたのも束の間、タンクローリーの爆発事故で彼女は花屋の店ごと跡形もなく消えていた。
彼女を救うために吹原は試験段階のクロノス・ジョウンターに乗って事故の起こる前の時間へ向かう(①)
あるものをひとめ自分の目で見てみたいと思う市川はクロノス・ジョウンターの被験者に立候補する。
そこであるひとりの女性と出会い彼の旅が違う色合いを帯びることになる(②)
③はクロノス・ジョウンターと平行して開発研究がされているクロノス・コンディショナーという機械のお話。
こちらは被験者の心だけが過去のいつか(指定は可)の自分の体の中へ入って戻る。
朋恵には中学時代にあるトラウマがあった。
④は医師/鈴谷樹里がひょんなことからクロノス・ジョウンターの存在を知り、過去自分が医師になるきっかけとなったある人の難病を治したいがために過去へ戻る。
①~④まですべてすてきなラブ・ストーリーです。
このクロヌスという機械の性能上、
・相手のためへ過去へ戻る
・その後自分だけ先の未来へ飛ばされてしまう
というところからも捨身な愛情のプラトニックさが強調される。
『黄泉がえり』といい、梶尾氏の小説はSF的側面よりひとへの愛情、想いというのがとても印象深いものが多いです。
解説に時間もののSFはラブ・ストーリーと相性が良いと書かれてましたが、時間の「すれ違い」という要素も相性が良いのかもしれませんね。
当人同士にしたらえらい事ですけど。
わたしはこの4編では最後の樹里の話がいちばん好きです。
この中に出てくるSF『たんぽぽ娘』、現在では入手困難らしいですが読んでみたいです。
「おとといはウサギ。きのうは鹿。そして、きょうはあなた」