チョコレート空間

チョコレートを食べて本でも読みましょう

親指さがし(山田悠介/幻冬舎文庫)

2005-11-30 16:07:54 | 
ある別荘でバラバラにして殺された女の人がいるんだって。
バラバラにされた中でどうしても左の親指だけが見つからないんだって。
ろうそくを中心に置いて隣の人の親指を隠すように手をつないでその周りに円になって、自分がその女の人になった気持ちで殺されるところを想像すると精神だけその別荘に飛んでいくからそこでなくなった親指を捜すの。
そのとき後ろから肩を叩かれても絶対に振り向いたらダメ。
殺されて二度と戻ってこられなくなるから。
肩を叩かれたらろうそくを吹き消すと元の場所に戻ってこられるんだって。
そんなコックリさんのような都市伝説のようなウワサ話で始まる。
主人公の武たち5人は小6のときに屋上の上で「親指さがし」をしていた。
半分バカにしていたが彼らだったが、ほんとうにその場へ行けたのだった。
そのスリルを求めて5人は再度「親指さがし」をする。
だが終わったときにはそのウワサ話を持ってきた張本人である由美がいなくなっていた。
由美が行方不明となったまま7年。
武たちはもうすぐ二十歳になろうとしていた。
7年前の事件に決着をつけるべく由美のことを調べ始める。
すると別荘の女性バラバラ殺人事件は実在し、被害者箕輪スズという女性がいたことや彼らが「体験」した別荘も実在することが判ってきた。
それから残りの4人が一人ずつスズと同じように殺されてゆくという事件が起こり始め、やはり左手の親指だけが見つからない…。

山田氏の本は以前から『リアル鬼ごっこ』とかこの『親指さがし』もタイトルに惹かれて気になっていました。
友達に借りて本書が初読!ですが。
まあ、読みやすいです。
なにせ出掛ける時に電車で読み始め、片道電車に乗っていた時間は正味40分くらいでしょうか、帰りの電車の途中で読み終わってしまいましたから。
生意気な言い方をすると全てが薄い感じ。
人物も単に登場人物でこういう役、と描かれているだけでなんの感情移入もできない。
途中どんなに事態が深刻になってきても夕飯の心配しかしない主人公達の母親などは噴飯モノ…いや、ある意味ここがいちばんホラーだったりして。
きっと作者も若いんだろうな、と思ったら案の定25歳くらいのようですね。
箕輪スズも昨今のジャパニーズホラーの影響丸出しみたいなキャラクター。
やっぱ女性は真っ黒なロングヘアーに白ワンピがいちばん怖いの?
ボブのホラーキャラなんていうのもおかっぱ頭ってことでイケそうなんだけどな。
どうしても貞子の二番煎じにか見えない…

でも映画化されるようです、ジャニーズ主役で。
それでいいんだ、世の中って。
きっと出版社にも読者にも責任があるんでしょうね。
いま山崎豊子さんの小説を読んでいますが文章の重厚さが心地よいです。


コーブス・ブライド(ティム・バートン監督/2005)

2005-11-09 13:01:41 | 映画
連続してティム・バートン作品を観てしまいました。
パペット・アニメなんて小学生の頃に見た『くるみ割り人形』以来。
CMでの印象は、キャラクターがみんな薄らキモイ、でしたが。

ストーリーは、お金はあるけれど魚屋で成金の息子のビクターと名門のお嬢様ながらもう救貧院へ行くしかない!というほどギリギリ貧乏なビクトリア。
両家の利害の一致により一度も会ったことのないふたりは結婚することになっています。
式のリハーサルでビクトリアの家を訪れたビクターの一家。
ふたりはそこで初めて会いますがお互い好感を持ちます。
ところが式の練習でビクターは失敗の連続。
とうとう神父を怒らせ、式は延期する羽目に。
森をトボトボ歩きながらひとりで練習をするビクター。
枯れ木に結婚指輪を嵌めて終了!と思ったらそれは埋められた死体の飛び出していた手の骨、結婚指輪を嵌められた新婦になれなかった女の死体だった。
誓いの成立とばかりにビクターはこの死体の花嫁(コーブス・ブライド)につきまとわれて死者の世界に連れて行かれる。
なんとかして元の世界に戻ろうとするビクターだが、騙されて結婚の直前に殺されて埋められたコーブス・ブライド、エミリーにだんだん同情してゆく。
そしてなにがなんでも死者の世界に引き込もうとしていたエミリーも、それが彼を殺すことになると躊躇する。
一方ビクターの突然の失踪により、ビクトリアはまた他の男とむりやり結婚をさせられようとするのだがビクトリアはなんとかビクターを救い出そうと努力する。

もっとブラックなテイスト溢れるストーリーなのかな(登場人物のイメージ?)と思いきや、やさしいうつくしいお話でした。
ビクトリアはヒロインというよりヒロインの友達的外見だしエミリーもちょっと腐っちゃって肋骨とか見えちゃってるけどふたりともなかなか、いやかなり良いお嬢さんたちだったのに対して主役のビクターが優柔不断でふたりにシツレイです
でもまあ男なんてこんなもんかな。なんて…