チョコレート空間

チョコレートを食べて本でも読みましょう

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重力ピエロ(伊坂幸太郎/新潮社文庫)

2006-07-31 09:41:25 | 
兄、泉水(いずみ)。
遺伝子研究の会社に勤めるサラリーマン。
弟、春。
街の落書きを消す仕事を個人で請け負っている。
すれ違った女性が振り返る容姿の持ち主。
母は数年前に病気で他界し、父は今癌に侵され入院中。
これは家族の物語である。

泉水と春は子供の頃から何をするのも一緒で仲が良い。
ある日春から連絡がある。
「兄貴の会社に火がつけられるかもしれない」
彼は市内で起きている連続放火事件の手掛かりを見つけたという。
それは日をつけられた建物のそばに必ず同じ人物の手によるグラフィティアート(壁や何かにスプレーで落書きされるヤツ)があるというのだ。
その放火はほんとに小さな小火で、泉水の会社に火を付けられたから奮起して犯人を捜すということでもない。
単に『面白そうだから犯人探しをしよう』というわけだ。
それは入院中のヒマな父も巻き込み、彼らは謎解きに夢中になる。
手掛かりから徐々に真相が導き出されてゆくがそこで意外な犯人と動機が明らかになってゆく。

彼らはとても仲の良い家族だけれど、平凡な幸せな家族ではない。
今はもう亡くなっている母は独身の頃はモデルをしていたくらいの美人だが、赤ん坊の泉水と一緒にいるときに未青年の少年に強姦され、春はその結果の子なのである。
そして癌で余命長くない父…。
この本のストーリーを説明を人にしたらとても暗い本のような印象になるだろう。
しかし決して暗い内容ではないのだ。
彼らは淡々と、そして自然体だ。
そんな本書の登場人物達はこの兄弟、父を始めみんな魅力的だ。
『ラッシュライフ』にも登場する探偵の黒澤。
ストーカーの先駆者(?)夏子さん。
正直、犯人が誰かというのは判ってしまうが、割とそれはどうでもいい。
伊坂幸太郎独特のウイットに富んだ会話が楽しい。
この会話の楽しさが最近よくいるライトノベル作家の底の浅い子供同士のような会話にならないのは作者の引出しの深さと頭の良さだろう。
本書は引用もかなり多く、しかし嫌味ではない。
引用というか、『オーデュボンの祈り』の案山子の話もちらりと出てきます。
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アンジェリーナ(氷川台)

2006-07-20 13:25:49 | スイーツ♪
(写真左.エキゾチック/右.カラメル)
東京メトロ有楽町線氷川台駅、正久保橋口から出て石神井川を渡って少し歩いて横道に入ったところにある。
アンジェリーナ
http://www.pain-angelina.com/
小さいがちょっとフランス風な雰囲気のパン屋さん。
ほんとに店内は小さいのですが、今まで自分以外にお客さんがいなかったという時はありません。
パンの価格帯は標準より高いです。
正直、味は近所にあるのなら高レベルと思いますがブルディガラ(広尾)やブティック・タイユバン(恵比寿)やVIRON(渋谷)の方がパンとしてはおいしい、というのは厳しすぎるでしょうか?
デニッシュなんかは結構おいしいと思います。
1人5個まで!の小さなメロンパンもおいしいです。
メロンパンは好きでもないんですがここのはおいしいと思いました。
でも基本的にパンを判断するときの基準が個人的なんですけどバケットとクロワッサンなのです。
ケーキを今回2つ買ってみましたがマンゴームースが入っているエキゾチックとやはりムースの入っているカラメル。
エキゾチックの方は甘酸っぱく甘味はそんなに強くありません。
おいしいですが、割と可も不可もない印象。
カラメルのほうが好きです。
甘いのではなくビターカラメルの味。
ムースには洋梨が入っています。
こちらはホールサイズも売られていました。
感想としては
パン<ケーキ
でした。
こちらのシェフの方はホテル西洋銀座にいた方だそうです。
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クレープロール(KEW)

2006-07-14 09:53:50 | スイーツ♪


英国王室KEWガーデンといえば植物園。
お菓子のイメージはあまりないのですが、池袋東武のプラザ館B1にお菓子のKEWフーズショップがあります。

この周りをクレープで包まれたクレープロール、(写真がちょっとキレイじゃないんですが)見た目がおいしそうでちょっと気になっていました。
金額も525円と超お手頃なので買ってみました。
ホワイトチョコレートの入った生クリームが入っているということ。
スポンジはしっとり、周りのクレープの食感の差も良い感じ。
私はブラックチョコは大好きな割にホワイトチョコは香料臭くて嫌いなんですが、言われなければホワイトチョコ云々なんて判らなかったな…
クリームも適度な甘さで量もたっぷりでおいしい
クリームの足りないロールケーキって悲しいんです。
(でも先日友人にクリームがたっぷり入ってるのってイヤと言われ、うわー人それぞれなんだなぁーと思いました)
これでこのお値段はお値頃だと思います。
抹茶ロールもありました。
こちらはクリームに黒砂糖が入ってるんだそうです。
プレーンバージョンの方がおいしかったので今度こちらも試してみようかと思ってます。

しかしロールケーキといえば今心の中で気になっているのがネット通販なんかで上位に入っている京都のお店のしあわせロールのビターカラメル。
スポンジといいクリームといいすっっごくおいしそうなんですけど、大きさが、15cmで2,300円なんですよねー。
送料入れたら3000円近く?と思うとナカナカ思いきれないのでした~

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K・Nの悲劇(高野和明/講談社文庫)

2006-07-12 23:43:26 | 
『13階段』『グレイヴディッガー』の高野和明第三作。
上記2作もまったく違った作品だが、この『K・Nの悲劇』もまたまったく違う趣。

夏樹果波は編集プロダクションの事務の仕事をしていてフリーのライター修平と知り合いお互いに若くて貧乏な状況ながら結婚してつつましい生活を送っていた。
ところが二年後、修平の書いた本がベストセラーとなり二人は高級マンションを購入して引っ越すこととなった。
一見前途洋々に見えるふたりだったがそんなに生活に余裕があるわけではなかった。
修平の印税もマンションの頭金程度、これから夫婦共働きでがんばらねばならない。
そんな矢先に果波の妊娠が発覚。
生活のことを考え相談の結果、今回は中絶しようという結論になる。
そして病院へ行ったあたりから果波の様子がおかしくなりはじめた。
突然別人のようになり、赤ん坊は絶対に産むと言い張る。
果波も「自分の中に誰かがいる」と怯えて言いはじめる。
修平は病院の紹介で休職中の精神科医、磯貝に会いに行く。
磯貝は不妊でノイローゼになっていた患者に目の前で飛び降り自殺を図られたショックから休職していたが、果波の症状を聞いて協力してくれることになった。
磯貝の解離性の憑依障害という診断のもとなんとか彼女の症状を治してゆこうとするのだが、元々珍しい病気である上に彼女の現実離れした症状に夫の修平はだんだん精神病ではなく本当に死人が憑依していると疑い始める。
憑依人格のあまりにもはっきりとした人格成形、憑依人格のときに変わる体臭、それに果波の知らないはずのことを言い当てる様子…。
果波のためにも子供は産んでなんとか育てようという決断をするが、その程度では彼女の様子は良くならない。
途中、憑依人格が中村久美と名乗ったことから手がかりが掴めるが、中村久美は三年前に妊娠8ヶ月の状態で胎盤剥離という病気で死んでいた。
修平は医学とオカルトの間で揺れ動きながらもなんとか妻を治そうと奔走する。
もうすぐやってくる久美の命日に果波の身にも何かが起こるのではないか?
「久美」が気にかけているおそらく久美のお腹の子の父親だと思われる「あの男」について修平は調べ始める。

本書にはかなり引き込まれて読みました。
精神病なのか、それとも超常現象なのか?というところが最後まで判らない状態で話は進んでいきます。
これもどきどきするところ。
そしてあまりあからさまではない場面の恐怖が上手いと思いました。
最初に謎の女がマンションに訪ねてくるシーン。
インターホンが押されて姿は結局見せないのですが
「わたしが誰だかわかる?」
と言って消えるところ。
私はこのシーンがいちばん怖かった。
あと恐怖シーンとかではないですが、磯貝のもうひとつのトラウマである過去の違法中絶手術の回想。
母の胎内から引きずり出されて呼吸のまだできない胎児が死んでゆくシーン。
これも怖いです。
ひきかえ、中村久美が単なる妄執だけの存在ではなく人格のある存在として描かれているのが逆に説得力がありました。
ホラーなんかだと貞子にしろなんにしろ、主人公たちが生い立ちを探ってゆくとそれなりに悲劇的な人生がわかってくるのですが、いまやもう妄執のみの存在で主人公たちが同情しようがどうしようがもう話の通じる存在ではありません。
まさにモンスターです。
久美はもっと、少し前まで生きていた若い女性であるのがある意味共感できる存在です。

文庫版のみかも知れませんけど表紙のムンクの『罪』がとってもイメージが合っています。

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陽気なギャングの日常と襲撃(伊坂幸太郎/祥伝社)

2006-07-10 00:33:45 | 
『陽気なギャングが地球を回す』の続編。
登場人物はもちろん嘘を見抜ける男・成瀬、演説の名人・響野、体内時計を持つ女・雪子、天才スリの久遠の4人組。
今回は第一章でそれぞれが日常(?)で起こった事件を解決し、第二章で再び集結して銀行強盗を起こし、第三章~四章で銀行強盗中にとある別の事件が起きていたことに気付いてそれに首をつっこみ解決します。
第一章のそれぞれの事件も少しずつ伏線になっているところは…まあ、強引とも言えますが。
話としては第一作の方がきっちりとまとまって緊張感もあります。
今回はそれぞれの生活ぶりが見られたのが楽しかったのと、相変わらずの4人の掛け合いの妙ですね。
田中氏の使い方とか、ちょっと悪ノリ気味にご都合主義を開き直ったところもありますが。
伊坂幸太郎の小説は登場人物たちの言い回しや会話の妙なテンポがツボにはまったというか面白いんですが、この4人の会話が最高です。
こういう掛け合いってともするとすごく馬鹿馬鹿しくなりかねないんですが、見事だと思います。
また各章の頭にある小説の関連ワードを辞書風に(実際広辞苑を引用しているようですが)、ちょっとアレンジを加えて書いてあるのですがこの小ネタ風な例文も大好きです。
「幻の女の冒頭の文章って印象的だよな。忘れちゃったけど」とか。
あと今回ちょっと寂しかったのは、成瀬さんは個人的に自分の事件で言ってたみたいですが、「ロマンはどこだ!」が聞けなかったことですかね~
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キムカツ(とんかつ/恵比寿)

2006-07-05 10:11:55 | グルメ
恵比寿駅東口から徒歩3分くらい。
通り沿いのわかりやすい場所にあります。
並ぶのはキライですが、この頃あまり並んでないらしいと聞き珍しく行列覚悟の店へ行ってみました。
行ったのは火曜の夜8時頃。
日や時間にも拠るのでしょうが、まったく並ばずにすぐに席に座れました。
キムカツは6種類…ぷれーん、梅しそ、ちーず、黒胡椒、ねぎ、がーりっく。
注文したのは2名様お勧めのキムカツお好み三品盛り合わせ¥3,980。
ぷれーん、梅しそ、がーりっくを選びました。
あとお土産として単品カツ¥1,480
キャベツは付きますがメニューは単品で、ご飯はご飯セット(ご飯、味噌汁、お新香)¥450を別で頼むので割高感あり。
薄切りのばら肉を二十数枚重ねたものをじっくり時間をかけて揚げるということで注文から出てくるまではけっこう待ちます。
お土産を頼むときも、30分くらい掛かりますので先に言って貰ったほうがいいかもしれないと言われました。
先にキャベツの千切りが出てきます。
こういうところのは細くてシャッキリしていておいしいです。
そしてちょっと待ちくたびれる頃に待ちに待ったカツ登場!
ひとくち食べた感想。
うーん。
まあこんなもんか。
ばら肉を重ねて揚げてあるんだねえ(←そのまんま)と、特に感動はなし。
ソースもありますが、特製おろしポン酢が付いています。
最初はソースがおいしいと思いましたが食べ進むうちにポン酢がおいしくなってきました。
なんかゆず胡椒っぽい味がします。
そしてカツも最初のひと口よりもおいしく感じてきました。
これは不思議。
ただ最初どうしても端から食べるので、まんなかの一切れとかの方がおいしいのでそのせいかしら?
なので真ん中を先にいっちゃうというのもおいしく食べる手かな、と今回ちょっと思いました。
豚ばら肉なのでもっとしつこいかと思いましたがさっぱりともたれる感じはありません。
もちろんお肉なのでボリューム感はしっかりあります。
梅しそはもうちょっと入っていたほうが良かったです。
ポン酢やソースをつけてしまうのでちょっと存在感が薄い。
そうするとぷれーんとあまり変化がなくなってしまう。
あと特筆したいのはお米!
ご飯が別注文~!?と思いましたがもしかするとこのご飯がいちばんおいしいといっても過言ではないというくらい、さいきん食べた中でいちばん旨い米でした
後でパンフレットを見たところ、契約農家(場所は特定されていなくていくつかあるようでした)からコシヒカリだけを買っており、カツの揚げあがりに合わせて炊き上がるようにしているというこだわりがあるよう。
おひつに入って出てきますがお米がツヤツヤに光っていて、しゃもじでよそったときの感触はちょっとべちゃっとしてる?と思いましたがぜんぜん!
もちろんカツをおかずにしても食べましたが、半分くらいはご飯だけを食べてしまいました。
そして再訪はあるか?というと、確かにおいしかったんですがやはりどうしても全体的に割高感があります。
なので、行ってみたいという友達とかがいれば一緒に行くよという感じです。
因みに店を出たときは9時半くらいでしたが10人くらい並んでいました。
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沙高樓綺譚(浅田次郎/徳間文庫)

2006-07-02 02:23:41 | 
そこは青山墓地のほとりにそびえる高級マンションの最上階『沙高樓』
各界の名士が集い、何人かが自分の持っている秘密の物語を語る。
女装の主人が言う。
「お話しになられる方は、誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。あるべきようを語り、巖のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです-」
そしてその夜に沙高樓で語られた五編の話からなるという形式の短編集。「小鍛冶」「糸電話」「立花新兵衛只今罷越候」「百年の庭」「雨の夜の刺客」

主人公が一話目、「小鍛冶」を語る旧知の刀剣の鑑定士小日向(おびなた)くんこと三十四世徳阿弥談山に偶然出会い、この会合に誘われて一夜の話を聞くという形式になっている。
そしてその刀剣の鑑定にまつわる不思議な話。
小日向くんを始めとする鑑定士たちの眼をもってしても見切ることができない贋作を超える名刀を作る男の話「小鍛冶」

精神科医の子供時代から続く思い出。
子供らしい他愛ない友達同士から何度かの偶然の邂逅、その意味するところは?
「糸電話」

名カメラマンが語る高名な映画監督との昔の作品の不思議な思い出「立花新兵衛只今罷越候」

美貌のガーデニングの女王と謳われる女性のアシスタント的存在の老婆が語る軽井沢の名園にまつわる執念にも似た物語「百年の庭」

やくざの親分という立場の人物が自らの過去、若い時分にその世界に入ることになったきっかけからこういう地位になる土台となったターニングポイントともいえる事件「雨の夜の刺客」

5編ともにさまざまなテイストを持っており、「小鍛冶」と「雨の夜の刺客」などは違う本の内容のように全く違う。
それぞれの話が「物語」らしいきっちりとしたオチというか、きれいに解決して終わらないような形のものもあり、小日向くんと主人公の会話で補足されるようなものもある。
どれも面白いです。
ほかで感想を見ていると「百年の庭」が好きだという人がなかなか多いようです。
私は読んでいて場面場面が生き生きしている「立花新兵衛…」と「雨の夜の刺客」がけっこう好きです。
「立花新兵衛…」は読んでいて途中でなんとなく分かってはしまうんですが、話が終わった時の切なさが、そして「雨の夜の刺客」はこの語り手である辰親分の人柄と生き生きと語られる青春時代が良かったです。
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