ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

ノルウェイの森

2009-11-02 05:00:00 | 読書
このBlogを始める前であっただろうか、村上春樹の『海辺のカフカ』という小説を読んだことがあった。難解すぎて感想文を書けなかったのかも知れないし、本当にBlogを始める前だったのかも知れない、どちらにしても私のBlogに『海辺のカフカ』の感想はありません。

『海辺のカフカ』は抽象的な表現で何を言わんとしているのか解らなかったので、村上春樹の本は敬遠していたのですが、夏休み前に同僚のN君がこの『ノルウェイの森』を貸してくれたので、夏休みが終わってから読み始めてみました。電車の中でしか本を読む機会がない私ですが、私の青春時代と同時代の設定の話は、以外に早く読むことが出来、僅か4日で読了してしまいました。

主人公のワタナベ君は1969年に20歳前という設定で当時の恋人・直子との過去を17年後のハンブルグの空港で振り返るところから始まります。

          

またまた抽象的な書き出しで始まったこの『ノルウェイの森』ですが、はるかなる草原を歩く二人の行く手の何処かに囲いの無い井戸があるという直子、落ちると必ず助からないというのですが、「ワタナベ君、あなたは大丈夫、その井戸には決して落ちないの」・・・上下刊最後まで読んで、この序章が全体を抽象的に表現していたことが解ります。

このとき直子が願った二つの約束、「私に会いに来てくれたことに感謝していることを分ってほしい」「私が存在していたことを覚えていて」、そして約束したワタナベ君は17年経った今「いつか記憶は薄らいでゆく」ことを直子は知っていたし、直子は「ボクを愛してもいなかった」と気付くのです。

こう書くと愛憎劇かと思ってしまうのですが、『愛』はあっても『憎』はないのです。私も含めて1970年前後に青春を過ごした若者にとって、学園紛争や日米安保問題が大きな事件だったのですが、この小説では紛争に係った人達も内心は案外無関心だったように描かれています。
その後の世の中の推移は、そうだったのかとも思わせます。

          

主な登場人物はボク=ワタナベ君:どこかで1度だけフルネームが出てました。ワタナベトオル・・・郁恵チャンの旦那と同じですね。

キズキ:苗字なのか名前なのか判りませんが、ワタナベ君の同級生で、当時直子の恋人。

直子:キズキを通じて知り合ってはいたが、卒業後偶然にバッタリ出会い親しくなっていく。

永沢さん:ワタナベ君と同じ寮に住む頭のいい先輩。

ミドリ:ワタナベ君に興味を示し、どちらもお互いに惹かれていくのですが・・・

レイコさん:ピアノの先生、直子と同じ病室にいて直子に慕われる、ワタナベ君とも仲良くなる。

純愛小説かと思わせる序盤ですが、終わってみると官能小説でもあったようで、ノーベル賞候補にノミネートされる作家の書く内容がこんなものなのかと思うと、村上春樹はいつまでたっても候補であり続けるのかも知れないなどと思ってしまいます。

なお、この本文は9月初旬に綴ったものですが、完結できずに放っておいたので、今日の配信になりました。

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