今、3冊目5作品目を読んでいる。
今日の産経新聞の文化欄に西村賢太の寄稿があった。
産経新聞はi-Phoneアプリで無料で読めるので、朝の通勤電車で読んでいる。
さて、なんでこうも西村賢太の小説に魅かれるのかを自分なりに考えて
みたが、文芸評論家のような分析的なことは書けない。
ふと連想したのが、私の好きな画家のアンリ・ルソーが描く素朴な絵画
であり、プーランクの世俗的な歌曲の数々である。というより、私が想像
するところのルソーそのひとであり、プーランクそのひと、である。バイオ
グラフィーを読んだわけではないが、なんとなくその精神性みたいなものは
この3人に共通するものがあるのではなかろうか。
自己の信念に基づき、愚直に作品を作り続ける力強さが感動を呼ぶ
とともにその愚直さがこっけいさをも産む。最終的にそれを嘲笑するか、
賞賛するかは読む人次第(見る人次第、聴く人次第)。別に嘲笑され
ようが無視されようが自分にはこれしかない、というものの強みがある。
それでいてひとりよがりにぎりぎり堕さないのは、何か「芯」のようなものを
もっているからだろうか。また無視されることへの恐れ、あるいは焦燥感に
似たものもどこかに感ずる。そこに繊細さがありもする。
どうしようもなくやるせなく、救いようのない真っ暗なトンネルから抜け
出さないまま終わることの多い作品のなかで、この文庫に収められている
デビュー作の「けがれなき酒のへど」は最後に明るさがあって、まだほっと
する。
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