白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

難しい、難しい、日本語

2012-01-29 21:29:10 | 子供
子供の時期に身に着けた言葉は一生の財産。
せっかく私の元に生まれてきたんだから、私が日本語という財産を残してあげたい。

そう思ってがんばっているものの、日本語って腹が立つほど難しい。
子供の頃国語は好きではなかったものの、比べる対象になる言語を知っているわけでもなく、日本語が特に難しいなんて考えたことはなかった。

しかし、ここアメリカにいると、「日本語でなければこんなに苦労する必要はなかったろうに」っと思えてならない。

たとえばスペイン語だったりしたら、きっちりとした表音文字だから基本的なルールさえわかっていれば発音できるものは書けるらしい。
英語と近いというだけでも、バイリンガルに育つ子供にとってそんなに負担ではない。

日本語はというと漢字をはじめ、語彙、文法、語法、敬語、とにかく途方にくれるほどの複雑さ。

日本で育った私たちにはなかった難しさもある。
伸ばす音。

先日の読みのテストでは「東京」を「とうきょ」と書いてバツになっていた。
「教科書」を「きょうかしょう」と書いてバツになっていた。

マー君に聞いてみる。
「とうきょぉ~~~。とうきょっ。どっち?」
当然即答だと思ったんだけど・・・
「う~~~ん、どっちかなぁ?」
悩むマー君。え?そんなに難しいの?

そういえば昔夫とこんな会話をしたことがある。
「私旅行が好きなのよね。」
「自分の名前が好きなの?」
は?自分の名前?一瞬わからない私。
あ、あ~~~、わかった(私の名前は良子)。
「りょ~~~こじゃなくてりょこ~~う。」
「うん、だから同じでしょ?」

とにかくその辺、英語母語者にはランダムに『う』をつけたりつけなかったりしているようにしか思えないわけです。

もちろん日本語を最も難しくしているのは漢字でしょう。

私は中国語を少しやっている。
中国語をやると、漢字とは中国語という言葉から生まれたんだなぁ~っとしみじみ思う。
漢字という表記は中国語にぴったりなわけです。
とても統制が取れていて、意味を表す部分と音を表す部分からなっている漢字が圧倒的に多い。
少々例外はあるものの、基本的に漢字の読み方は一つ。
その中国語から生まれた漢字を、全然類似性のかけらもない日本語にむりやり当てはめて、とれていた統制をぐっちゃぐちゃ、めっちゃめちゃにして、しかも漢字と一緒に漢語も輸入して日本語に混ぜちゃったという、とんでもないチャンポン言語が日本語。
それを勉強しろっつ~んだから拷問としか言いようがない。

アメリカで育つ子供にとって、日本語なんてお母さんとしゃべる言葉がすべて。
圧倒的に語彙が足りないのもさらに国語学習を難しくする。

新しい漢字の練習に『図画工作』という言葉があった。
「なにこれ?なんて読むの?」と聞くマー君。
「ずがこうさく だよ。」
「ずがとうさく?」
「いや『とうさく』じゃなくて『こうさく』」
「こうさつ?」

漢字の勉強の前に、こんな言葉聴いたことがないわけです。

「日本ではArtの授業を図画工作って言うのよ。略して図工。図画は絵を描くという意味で工作は何かを作ること。工場の工と同じでしょ。工場って知ってる?」
「知らない。」
「Factoryだよ。」

次の日また同じ漢字が読めない。

「図は地図の図。地図って知ってる?」
「しらない。」
「mapだよ。」

あ~、基本的な語彙がないから、漢字の説明も難しい。

そしてまた次の日、やっぱり読めない。
マー君が一人ごとを言っている。
「Artの授業なんだよね。絵を描いて、何か作る。マップ、ファクトリー・・・」

そう、そうなんだよ。
私の説明はよ~く覚えているんだけど、ズガコウサクという音を覚えられない。

5日くらい同じことを繰り返してやっと読めるようになりました。

次の週出てきた新しい言葉は「図書室」。
せっかくぅ~、やっとのことで~、図は「ず」と読むと覚えたのに~~~。
どうしてこれは「ず」ではなく「と」なのでしょう。

やっぱり読めないマー君。
独り言で「図だけど『ず』とは読まず、書くだけど『かく』とは読まず、ライブラリーは日本語で、え~~~と。」

そうなのよ、ライブラリーなのよ、それを日本語でさぁ何でしょう。
かわいそうになります。
果てしないものを感じて、途方にくれます。

こんな、基本の基本でつまずいていて、どうなるのでしょう。

も~、日本語きらぁ~~~い。

モンテッソーリ教育

2012-01-26 12:23:33 | 子供
次男泰君がちょっと変わった子だというのは、前述の通り。
とにかく興味がすごく偏っていて、興味がないものに対しては、まるで見えてないかのように無反応。
電気機械が大好きで、それ以外のことには興味がない。

スピーカーを分解している泰君。
使っているドライバーはクリスマスプレゼントにもらったもの。
たくさんのおもちゃより、このドライバーセットが大のお気に入り。

一つ一つこれは何か、ここは何をするところかと聞いてくるけど、ママは全然わかりません。


「天才じゃないの?エジソンになるんじゃない?」
なんておだてられるけど、それどころじゃなくて、落ちこぼれになるんじゃないかと親は危機感を募らせるばかり。

実際にいろんなことが遅れているわけです。

もう4歳なのにABCも123も読めない。
絵や工作にも興味がないから鉛筆も持てないし、はさみも使えない。

「ほらこれがAという文字よ。」っと教えようとしても、『A』と書かれた本やカードを見てくれないから教えようがない。

まぁ、無理に教えようとはせず、もう少し様子を見ることにしたものの、社会性の面はどうにかしたい。

幼稚園でも相変わらずお友達とはあまり遊ばないようで、一人でCDプレーヤーを眺めているらしい。


いいところを伸ばすことができて、機械工学のほうに進むことができれば、今のオタクぶりはいい思い出話になるだろうけど、「じゃぁどうやって?」というのが私の不安。


っとあるとき、お友達のお母さんが面白いことを言った。

「泰君みたいな子にはモンテッソーリが合うんじゃない?」

は?モンテッソーリ?
あの、みんな一斉に何かをするんじゃなくて、個人個人のいいところを伸ばすとか何とかの、あれ?

日本では小学校以上の教育でモンテッソーリは認可を受けてないため、幼稚園のやり方だと思われる傾向にあるんようだ。
でもアメリカでは小中高と一貫したモンテッソーリの私立校は多くある。

実は家の斜め前にある学校もモンテッソーリで幼稚部から中学部まである。
ただめちゃくちゃ授業料が高くて、バークレーのモンテッソーリ小学校はどこもアフタースクールも含めると一ヶ月約$2,000、年$24,000。

モンテッソーリのことを良く知らないという私に、また他のお母さんが本を貸してくれた。

その本によると、
「親にとって問題とされる子供の行動も本当は意味がある。」のだとか・・・。
「早くしなさい、危ないから止めなさい、いい加減にしなさい。」と子供がやることに制限を与えて、自分のペースにするのではなく、どうしてそれをやりたいのかを考えて、見守ってやるのが大切なのだとか・・・。

私みたいなせっかちなお母さんは最悪ですね。


本を読んでなんとなくわかった。
私の悪い部分もよくわかった。
でも、そこから・・・・どうやってABCを教えたらいいかはわからないけど・・・。


モンテッソーリかぁ~。
もし本当に泰君が普通小学校ではみ出て落ちこぼれちゃったら、こういう選択肢もあるんだなぁっと思うと少し気が楽になった。
まぁ高いけど、泰君一人だけなら私も働けばどうにかなるかなぁなんてすでにお金の計算までしている私。

普通小学校でちゃんとやっていければいいんだけど、もしダメでも他に選択肢があるのはアメリカのいいところだね。

強烈な個性の泰君。
将来に少し光が見えてきたママでした。




難聴児に自信をもたせること

2012-01-21 15:50:23 | 難聴・手話
マー君が通っている小学校には難聴の特別プログラムが併設されているため、各学年に数人ずつ難聴の子がいる。

マー君のクラスも18人中4人が補聴器か人口内耳をつけている。

時々全校の難聴児を集めて勉強会のようなものが行われているらしい。
先日親子で参加できる勉強会があったので、夫と覗いてみた。

勉強会の目的は、一人ひとりが自分に自信を持つこと。
難聴だからって引っ込み思案にならないこと。

面白い説明のしかたをしていた。

「ある車椅子に乗っている女の子が転校して来ました。
クラスのみんなは車椅子を見たことなかったので、
『どうしてこれに乗っているの?』と聞きます。
女の子は心の中で『聞かないで、聞かないで』と叫びました。
クラスのみんなにその声は聞こえますか?」

子供たちがいっせいに答える。
「きこえませぇ~ん。」

「女の子はついに泣き出してしまいました。
クラスのみんなは女の子をいじめようと思って聞いたのですか?」

子供たちは口々に答える。
「違うと思う。ただ不思議だったから聞いただけ。」
「興味があったから聞いただけ。」
「珍しいから聞いただけ。」

「そうです、教えてあげればいいだけなんです。
自分を理解してもらうためには、説明して教えてあげればいいのです。
心の中で叫んでも意味がありません。
嫌な顔をしてみせてもだめです。
言葉に出して、ちゃんと教えてあげればいいのです。」

それから補聴器のことを聞かれたらなんと答えるかを、実際に声に出して練習。


数日前のこと、公園で遊んでいると6~7歳の女の子がマー君に話しかけてきた。

「ねぇ、どうして耳の中が青いの?」
女の子はイヤーモールドのことを聞いている。

今までは、補聴器のことを聞かれるとすごく嫌そうな顔をしていたマー君。
「僕のママに聞いて。」
などと言って、答えることはなかった。

それが今回はちゃんと答えている。

「この青いのはイヤーモールドと言って、補聴器に繋がってるんだよ。」
補聴器を触りながら
「ほらこれが補聴器。」

女の子はさらに聞いて来る。
「どうしてそれをつけてるの?」

「耳が悪いからさ。これをつけないと良く聞こえないんだよ。」
「デフなの?」
「デフじゃないけど、デフに近いんだ。だからこれをつけるんだよ。
ほらここがスイッチ。こっちの上の方がマイクで音を大きくするんだ。」

嫌な顔一つせず、はきはきと説明するマー君。
その後二人は何もなかったように遊んでいました。

す、すごい。

あの勉強会のおかげかどうかは知らないけど、
補聴器を少しも恥ずかしいとは思ってない様子。

『もう大丈夫』そう確信しました。




軍艦

2012-01-21 15:03:09 | イベント
今リッチモンドに古い軍艦が停泊中とのニュースを聞いた。
もう使わないため、修理して南カリフォルニアに送られ博物館になるらしい。

家は男の子ばかりですから、こういうのが大好き。
公開しているというので、家族で行ってみました。


うわぁ~、昔佐世保に来ていたのを思い出す。



戦艦アイオワという種類で、1943年に造られたもの。
もちろん日本と戦うために造ったわけです。

無条件降伏調印式が行われた戦艦ミズーリ号もこのアイオワという同じ種類で一緒に作られたものならしい。



甲板は木造というところが古さを感じる。

この船はサイパン、硫黄島、沖縄と激戦地に参加。
この大砲を日本に向けて放ったんだと思うと、無性に腹が立つ。
そんなに愛国心なんてないと思っていたけど、やっぱり私も日本人なのね。

夫が子供たちに説明をしていた。
「もうこの手の戦艦は必要ないんだ。だからもういらないし、今後造ることもないんだ。」

こんな破壊と殺人だけが目的の鉄の塊なんて、二度と作らないで欲しいわ。
でも、皮肉なことに”もういらない”の意味は、もっと高度な兵器があるからであって、兵器が必要なくなったわけではない。



戦闘機の実物大模型に乗るマー君。

展示物を見ながらママが一言。

「すごいねぇ、太平洋戦争で使った日本の軍艦なんて一隻も残ってないよ。ぜぇ~~~んぶ沈没させられました。戦艦大和なんてみんな写真でしか見たことないんだよ。」

っと言っていると、あら、なにあの模型?

あ、戦艦大和だ。

へぇ~、これはでかいなぁ。アイオワよりずっとでかいんじゃないかしら?

「マー君、日本の軍艦の模型があるよ。」
「え?ホント?うわぁ~、大きいねぇ。」
「この船はねぇ、お鍋で造ったんだよ。」
「は?」
ママ何言ってるの?っといった顔。

「本当だよ。日本にはもう鉄がなくてね、日本中からお鍋などの鉄を集めて造ったの。」

次の日マー君が学校で絵を描いてきました。
軍艦の絵。
こういう絵はうまいんだよなぁ。

ママを喜ばせようと思ったのか、あっちこっちに日の丸が描いてある。

「ママ~、日本のバトルシップの絵だよ。」

こっこれは、ちょっとやばいのでは、右翼っぽく見えるのは私だけ?
きっ気持ちだけで嬉しいよ、マー君。

アメリカ人は太平洋戦争が大好き。
でもやっぱりアメリカの視点でこの戦争を見るのはあまり好きではない。
マー君もたぶん何か違和感を感じて、ママがかわいそうだなぁって思っているんだと思う。

でも、日の丸は止めようねぇ~。
左翼ではないけど、なんとなく・・・ねぇ。


習い事

2012-01-11 22:09:26 | 子供
アメリカも日本に負けず劣らず、子供への教育熱は強い。

どの子も習い事をい~っぱいしている。

ピアノ、バイオリン、バレエ、サッカー、野球、バスケット、武道。
月曜から金曜まで習い事でびっしり、週末はスポーツクラブの試合で親は送り迎えで大変!なんてのはよく聞く話。

日本のような入試のないアメリカでは、学校の成績が良いだけでは、有名大学に入るのは難しい。
スポーツやボランティア活動なども判定の鍵を握る。
それが理由で、スポーツをやっている子もたくさんいるようだ。

でもうちの子は、日本語教室以外特に何もやってません。

私が働いていた頃は、どうせアフタースクールケアに入れるしかなかったので、仕方なかった。

私が仕事を辞めた今も、「アフタースクールで友達と遊ぶほうが楽しい」というマー君のために、そのまま入れることにした。

でも、「これでいいのかなぁ?」っとぼんやりとした不安を感じる私。
わが子だけ置いてけぼりを食らっているような・・・。
親としてやれることをやってないような・・・。


あるお母さんに言われた。
「スポーツは小さいうちに始めたほうがいいわよ~。
大きくなってからじゃ差がつきすぎちゃって始められなくなるよ。」

そっかぁ~、確かにみんな何かやってるよなぁ。

マー君はアフタースクールでよく友達とサッカーをやっている。
本人もサッカーが好きだというから、聞いてみた。

「ねぇ、マー君。サッカーチームに入って、ちゃんとサッカーを習ったらどうかなぁ?
適当にやってるのとは全然ちがって、すごく上達すると思うよ。」

「だめだよ、土曜日は日本語教室があるし。」

あれ?すぐにのってくると思ったのに、おかしいなぁ。

「調べたらねぇ、日曜日に練習しているチームもあるみたいよ。」

「嫌だよ。」
マー君即答。

意外な答えに戸惑う私。
「え?なんで?マー君サッカー好きでしょ。」

「サッカーは好きだけど、日曜日練習があったらママやダディーや泰君や海君と一緒の時間が全然なくなっちゃう。そんなの嫌だよ。」

え?あっそういう風に考えていたんだ。
家にいてもつまんない、学校がいいっていつも言ってても、家族との時間がなくなっちゃうのは嫌なんだ。

母親の私より家族のことを大切に思っているマー君。

誰かに何かを言われるままに、ふらふらと考えを変えるママとは大違い。
他の人とちょっと違うと不安を感じるというのは、日本人の悪いところ、ママの悪いところ。

マー君に教えられた気がします。








泰君のプレゼント

2012-01-11 21:44:01 | 子供
泰君にもちゃんとサンタさんは来てくれました。

ただ、欲しいものを持ってきてくれたかどうかは・・・定かではありません。
なぜなら、サンタさんはおもちゃを持ってきた来たから。

何が欲しい?と聞けば、
「コンピューターと、掃除機と、スピーカーと、テレビと・・・」
と電化製品を並べる泰君。

でもおもちゃのパソコンや掃除機はもう持ってる。



クリスマスではたくさんプレゼントをもらったものの、もらったおもちゃでは遊ばない泰君。




そこで、ママが10年前に使っていたノート型パソコンをあげたら大喜び。

物置で見つけたダディーの30年前のコンピューターも欲しいと言って聞かない。
大きいし邪魔だしダメだと言ったんだけど、泣き続けるのでこっちが折れて家の中に持ってきてあげた。


掃除機も本物がいい。


物置から使ってない電化製品を持ってきてつなげて遊ぶ泰君。


サンタさんは泰君がまだ4歳だからおもちゃじゃなきゃいけないと思ってしまったのですねぇ。
わかった、君にはもうおもちゃはあげないよ。
こわれていてもいいから、本物の電化製品じゃなきゃいけないのよね。

ちなみにおにいちゃんは、ラジコンヘリコプターをもらって大喜びでした。