白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

勉強しないアメリカの高校生

2019-01-24 12:16:34 | アメリカ生活雑感
アメリカで子育てしていて本当に思う。
アメリカの子供は勉強の絶対量がたりない。


100万人に一人の超天才が出るのは確かかもしれない。
しかし一般人のレベルが低すぎるのは、ひとえにこの絶対量が足りないせいだと思う。



長男は高校生だ。
現在期末試験期間中。

でも長男は「特にやることがない」と言ってなにもやらない。
試験前の一週間も、特に勉強をしている様子はなかった。

「少なくとも習ったことの復習くらいしていきなさい。」っというと、
「そういう試験じゃないんだよ。」

っとのこと。

社会のテストは、感想文。
それはいつも同じ。
歴史でも現代社会でも、感想文を書くのが社会。
暗記はゼロ。
なにもやらない。

今回の英語のテストは、
3~4人でのディスカッション。
先生は全体を見て、ちゃんとディスカッションしてるか見る。
ちゃんとやっていれば満点で、やってなければ・・・さぁ知らない。

数学は、中間や期末まで待つとみんな忘れちゃうから、ちょっと教えるたびにおさらいテストをする。
長男が言うにはめちゃくちゃ簡単だから、
何も勉強しなくても満点とれるらしい。
中間や期末テストはない。
受験もないから、習いながら忘れていく。

理科は?
テストがあったらしいけど、15分で終わったとのこと。
できばえは?
「満点だと思うよ。」
いったいどんだけ簡単なテストなんだ?

唯一テストらしいテストは外国語。
長男は中国語を選択している。
んで、どうだったの?
「一個間違えたかも。でも確実に95点は取れてる。」

まったく試験勉強しないで?
冗談でしょ。


こんなんだから、やる気が出ない。

もう知らん。好きにせい!

きっとまだ高1だからこんな簡単なんでしょ。
きっと、きっと、これからどんどん難しくなっていくんでしょ。


そう信じることにする。


白杖 周りの反応

2019-01-23 12:45:21 | RP
白杖を使いだして約2週間。
一番気になるのは周りの反応。

長男は特に何も言わない。
気になる母は聞いてみることに。

「ねぇ白杖使ってみてどう?」
「ああ、いいよ。」

・・・会話おしまい。

もぉー、これだから男の子は困る。

「ねぇねぇ、もっと教えてよ。周りの反応は?」
「よけてくれる。歩道歩いててもね、道に出ようとしてる車がバックして引っ込んでくれたり、白杖の威力すごいなぁって思う。」

そうでしょうよ。
でも一番気になるのは友達の反応よ。

「友達には何か言われた?」
「そんなに目が悪かったんだぁって数人の子に言われた。」

「それだけ?」
「うん」

淡白なもんだ。
そんなもんなのか?
私が気にしすぎだったのか?

全校生徒3000人を超えるマンモス校。
からかったり、いやみ言ったりする子がいても不思議はないんだけど。

たぶんバークレーという土地柄もあると思う。
障害者にとって世界で最も住みやすい町とかなんとか。

本『五体不満足』の乙武洋匡さんが本の中で書いているように、ジロジロ見る人がいない。
見ないように心掛けているというより、みなさん気に留めてないといったほうが近い。
いろんな人種、いろんな民族衣装、いろんな言葉、いろんな障害を持つ人、ありとあらゆる人がありのままで自由に暮らすバークレーだから、みなさん『違う人』に自然と慣れている気がする。
白杖持っているくらいじゃ、目を引くことはないのかもしれない。

まぁ確かに、白杖を持っている人を見かけることも珍しくはない。
シンボルケーンとして、使わずにただ白杖を持って歩いている人もみかける。

他人がどう思うか、自分がどんな目で見られているか気にするのは、私が日本人だから?

いや、きっとアメリカでも他の町に行けば違うでしょ。

きっとバークレーで良かったんだ。



アメリカの教育制度(スキップ)

2019-01-21 12:24:10 | 子供
アメリカではスキップ(飛び級)という制度があることを知っている人は多いだろう。

しかし、大きな勘違いがある。

日本人は、「頭がよけれあスキップするもんだ」と思っているようだ。
それは違う。
スキップをする子供たちは、スキップさせることを目的に特別な教育を受けさせられたっとでも言おうか。

頭がいいから学校がどんどん先を教えて結果的に3年生なのに4年生の勉強終わっちゃったってことはほとんどない。
まぁ、どっかの私立の学校ならそういうこともあるかもしれないけど、
公立の場合断言していい。
学校が一人の生徒のために、そんな手間をかけるなどあり得ない。
たいていの場合、先生たちは遅れている子供を引っ張ることで精いっぱいだ。
そして、「最低レベルに達している子が何パーセントいるか」で学校は評価される。

スキップする子供は、親がスキップさせることを目標にして、自分が教えるなり、家庭教師をつけるなりして勉強させるのがほとんどだ。

アメリカの小学校のスタンダードはめちゃくちゃ低い。
うちの子供たちでさえ、たいくつで仕方なかった。
だから、よっぽどのアホでもない限り、それを目的にやれば、一学年のスキップくらいなら難しくないと思う。

じゃぁ、金持ちは誰でもやらせるかと言うと、それも違う。

だって、子供時代って重要。
精神年齢が近いほうが友達と遊んでいても楽しい。

昔就職面接にやけに若く見える女の子が来た。
アメリカでは年齢を聞くのは違法なので、誰も彼女の年齢を知らなかった。
監査はクライアント先に出向くので車の運転が必要だといったところ、
15歳だからまだ免許を取れないという。

15歳でもう大卒?
確かに若く見えるけど、みんなびっくり。

普通なら高校生で青春を謳歌している時期に、もう働きに出る?
それって幸せなの?

頭がいいことを見せびらかしたいなら、スキップじゃなくても方法はいくらでもある。
例えば数学オリンピックとか、
American Math Compitionとか。

例えばAMC8は8年生レベルに作ってある。
8年生以下ならだれでも挑戦できる。
優勝するのは8年生とは限らないのが面白い。

AMC12の優勝者が小学5年生なんてことも聞く。
明らかに、その子は頭がいい。
ものすごく頭がいい。
天才的に頭がいい。

でも、スキップはしてないわけです。
少なくとも数学は微分積分まで勉強済みなわけです。
スキップできないというより、スキップに興味がないといったほうがいい。

アメリカの公立学校のレベルの低さを愚痴るとよく言われる。
「じゃぁスキップしないの?」

「成績良い=スキップ」でもなく
「頭が良い=スキップ」でもないということ、お判りいただけたかしら?



白杖デビュー

2019-01-17 11:54:45 | RP
ついに白杖デビューを果たしました。
もっと抵抗があるかと思ったけど、意外とすんなり受け入れてくれた。

カバンの中に入れっぱなしにして出さないんじゃないかと思ってた。
「使え」って言う練習までしてたのに。



初めて使うのに勇気は要ったけど、1度使っちゃうとその大きなハードルはあっさりクリアしたご様子。
1週間ほどで、もう白杖なしでは不安で歩けないほど不可欠になっちゃいました。

歩くの怖かったんだね。

他の人には
「見えないことをわかってほしい」
と訴えながら

実は私の方が
「まだ大丈夫、まだいける」
と長男に無理をさせていたのかもしれない。

目の前のものに気付かなかったり、
躊躇なく壁に突進して派手にぶつかったりしたとき
つい言ってしまう。
「いったいどんな見え方をしているのか不思議だわ~。」

そのたびに笑いながら返す長男、
「どんだけ見えてないかわかったらびっくりすると思うよ~」


そうだよね。
彼がどれだけ見えているかなんて、私にわかるわけはなく、
「まだ大丈夫、まだいける」なんて、私が判断することじゃなかったんだ。

白杖使って堂々と生きていけ!

白杖が届いた

2019-01-09 10:25:00 | RP
目が見えない人の象徴、白杖。

高校で歩行訓練をしてくれている先生が長男のために注文してくれていた。

4つにたためる折りたたみ式。

「これからは、これもあなたの体の一部よ。補聴器やメガネとおなじ必需品であり、あなたの武器。これさえあれば無敵。どこでも戦っていける。」

武器という言葉が気に入ったらしい。

「武器かー」

ちょっとかっこいいと思ったかな?

「でもこれ使ってると電車やバスで本読めないね。」

白杖は全盲の人が使うという認識はアメリカでもある。

「関係ない。堂々と本を読んでいい。携帯を見ていい。あなたは何も間違ったことはしてない。何も悪いことはしてない。盲目のふりなんてしなくていい。ジロジロ見る人がいたらサラリと言いなさい。」
白状を持ち上げて
「これ?僕視野が狭いから」って。

人は知らないだけ。
あなたに会うことで
「ああ、そうか。」っと思えばそれでいい。

「堂々と使いなさい。」

とは言ったものの、周りの理解がないのは辛いだろうなぁーと心配する私。

そんな事言ってられない。
安全に歩くため、必要だから使うんだ。
他人の目なんて気にしてられるか。