白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

白杖は危険物?羽田空港で没収されました

2019-08-06 12:24:32 | RP
日本という国は、なんとも不思議な国で、道には点字ブロックが敷き詰められて、
ちょっとやりすぎなほど、障害者に優しい国かと思いきや、
突然「視覚障害者はご利用いただけません」とか、
露骨な差別を堂々と言ってのける。

空港では、車いすの人のために従業員が待機していて、手伝ってくれてたり。
なんとも、いたれりつくせりなサービスっと思いきや、

息子はセキュリティで白杖を「危険物」として取り上げられた!!!


いったいなんなんだこの国は???


アメリカは9・11の事件以来、飛行機のセキュリティはめっちゃ厳しいけど、白杖を取り上げたりはせんぞ~~~!!!


今回は北京経由だったけどもちろん北京の空港だって、白杖を取り上げたりはしません。


何?テロリストが盲目を扮して白杖を武器に飛行機に乗りこもうって?

白杖なんかでいいんだったら、わざわざ盲目のふりしなくったって、小さく折りたたんで鞄に入れちゃえばいい。
どうせプラスチックなわけだし。

結構小さくなるから、携帯には便利よ~。


んじゃ何?折りたたんで鞄に入れていればいいけど、使ってたらダメってこと?


そんなアホな。


長男も、「あー、そうですか」って渡さずに、「じゃあしまいます」って折りたたんじゃえばよかったのに。それでも、没収したのかなぁ?


「それがないと、歩けなくて困るんだけど」と言うと、搭乗口までついてきたらしい。

それをサービスがいいというのか、思いやりがあるというのか。。。


飛行機から降りて返してもらったらしいんだけど、それでも、ちょっとどうなんだろうね?


パラリンピックだってあるんじゃないの?
視覚障害者だって多く来るだろうに、
世界で唯一白杖を「危険物」として取り上げる国、日本!になるのかしら。



セキュリティーの手前に張り紙をしたらどうかしら。

「白杖は折りたたんで鞄に入れましょう」

セキュリティーの直前で鞄に入れて、直後で出して使う・・・。



あー、ばかばかしい。

少しは考えてルールを作ってほしいわ。














遊園地での障害者差別 その2

2019-07-16 12:42:09 | RP
これまた屋内遊園地でのお話。

その日は大変混んでいた。
小さい子を蹴飛ばしたりしないように、長男には白杖をしっかり持たせる。

そんな中での出来事。


長男は白杖を持っていたため、並んだアトラクションに乗ることを拒否されたのだという。

2時間も並んで、やっと自分の番になって「これから」という時に、「あなたは乗れません」って、ちょっとあんまりでしょ。

数歩トコトコと歩いて乗ってシートベルトを締める。
座ってしまえば見える人も見えない人も同じ。
終わったらシートベルトを取って、数歩トコトコと歩いて出てくる。


たったそれだけのこと。


目の前にあるその乗り物にのるだけなのに、座ってシートベルトをするだけなのに、

「あなたは目が悪いのでできません」

「いやできますよ。見ててよ。」

「いえ、決まりなので、ダメなことになっているので。」


夫が言うには、そのアトラクションは映像を見ながらシートががたがたと揺れるだけでいったい何がどう危険なのか、どうして目が悪いとだめなのか、わからなかったそうだ。


納得がいかないから電話をしてみた。


責任者の大崎さん(仮名)という方が私の対応をした。


私はなぜ白杖を持っていたら乗れないアトラクションがあるのかを聞いた。


「暗くて足元が見えにくいので、乗り降りの際、また避難をする際など危険ですのでご遠慮いただいています。」

まただ。

まるで障害者を守っているかのような口ぶりの差別、排除、締め出し。


私の頭の中には、いろんなことがよぎった。

まず長男は、視野は狭いけれど、中心視力は普通だ。
乗り降りだとか、階段だとか、気を付ける場所がわかっているのであれば何の問題もない。
問題は予期せぬ障害物であったり、小さな子供なのだ。


「白杖」イコール「視覚障害者」イコール「全盲」イコール「危険」は先入観と偏見でしかない。


二つ目、暗くて足元が見えないんだったら、かえって晴眼者の方が危ないんじゃないの?
全盲の人の方が見えない足元には慣れているわけで。



しかし、屁理屈を言うために電話をしたのではないため、この辺のことは言わないことにした。


私の目的は「守っているかのように見せかけた差別」に気付いてもらうことと、
「責任逃れのために張ったバリアが、結果、差別になっていること」に気付いてもらうこと。


私は続けた。

「大崎さん、ではこれはどう思われますか。ある映画館が『館内は暗くて足元がよく見えないため、視覚障害者の入館はお断りしております。』といったとしたら。」

「それは違いますね。」

即答だった。

「映画館がそんなことをしたら差別にあたるけれど、あなた方は良いという意味ですか?それはなぜでしょう?何が違うのですか?」

「それはー。」

「何がどう違うのですか?」

「それに関しては、後程回答させていただきます。」




避難時に危ないからという理由で視覚障害者の利用を断るのであれば、視覚障害者はどこにもいけないではないか。

「出入口が狭いので」
「階段は危険なので」

などという理由で、ありとあらゆる建物の出入りを禁じることが可能になるではないか。


「それに、〇〇の場合危険なので」という理由も、なんとでも作れると思う。


映画館も、スーパーも、デパートも、ホテルも、レストランもありとあらゆるものが「危険だから」という理由で視覚障害者を締め出すことが可能になってしまう。

「うちのレストランでは、熱いものを出しますので、ぶつかってやけどの危険があるため、視覚障害者の来店はお断りしております。」

「陳列棚にぶつかって、重いものが落ちてきては危険ですので、当店への視覚障害者の来店はご遠慮願っております。」

「うちのホテルは段差があるため、足をつまづいて転んでは危険ですので・・・」

まるで、"風が吹いたら桶屋が儲かる"状態だ。

そんな取ってつけたような「安全上の理由」を正当な理由として認めてしまえば、障害者差別のし放題になる。


誤解しないでほしいのは、「安全上の理由」がすべて間違っていると言っているのではない。
例えば車の運転など、目が見えない人が行うと危険な行為は実際にある。

私が言いたいのは「安全上の理由」と言ってしまえば何でもOKという風潮はおかしいということ。
少なくとも、事業者側はそのルールが本当に理にかなっているものなのか、しっかり吟味する必要があるし、それが当の本人から「不当だ、差別だ」と思われるのであれば、見直すべきではないのかと言っているのだ。



さて、電話の話に戻ろう。

私は長男が断られたアトラクションの話をしているのに、大崎さんはローラーコースターの話に持っていこうとする。

「危険だから安全のためにっ」と言いたいようで、
そのためには最も危険度の高いローラーコースターが都合が良いようだ。

でも私からしてみたら、ローラーコースターでも、椅子ががたがた揺れるだけの映像アトラクションでも、はたまた映画館でも、目が見えない人だけを除外する正当性はないと思う。

ローラーコースターだって、座ってシートベルトをしてしまえば見える人も見えない人も同じなわけで、目が見えないからと言って危険度が特に上がるわけではない。


大崎さんは言った。

「実際にうちでも死亡事故があったんですよ。」

「それは目が見えない人が、見えないことが理由で起こった事故ですか?」

「いえ、それは、まぁ普通の人でしたが。」

事故があったから、じゃー見えない人はダメにしようって、いったいどこから出てくる発想なの?
そんなに危ないなら、そのアトラクションは辞めればいい。

目が見えないからと言って、危険度が上がるわけではないけど、でもやっぱり危険なので、まー念には念を入れて目が見えない人はダメにしておこうっといったところか?

大崎さんは、この決まりができた経緯だとか、過去の例を話して、私を説得しようとする。
どの話も視覚障害とは何の関係もない話だけれど、責任を問われないようにと考えた挙句にできた決まりだということはよくわかる。

まぁ、説明されなくてもそれくらいのこと想像はつきましたけど。

この決まりを作るに至った経緯が何であれ、できたものが結果的に障害者差別になっているのだから、見直すべきだという私の意見に耳を傾ける気配はない。


数が少ないから、怒ってこなくなったところでたかが知れてる。
面倒な障害者が来なくなったら逆にありがたいくらいなところか。



自己責任を棚に上げて、何でもかんでも相手のせいにしてしまう人々。

責任を問われるのが面倒で、過剰にバリアを張り巡らすあまり、面倒な障害者を事前に排除してしまおうとする日本の社会。



アメリカは日本以上に訴訟の国だけれど、こういう不当な締め出しを食らったことは一度もない。
何も知らない他人が「あなたはできません」なんていう権利はないのだ。



できるかできないかは本人が一番わかる。そして本人しかわからないことがほとんどだ。
他人が勝手に「できない」と判断して行動を制限したり、サービスの提供を拒否することは人権侵害だ。


健常者と同じ入場料を払っているのに、乗り物まで歩いて行って、自分で乗ってシートベルトを締め、終わったら降りてくる、たったそれだけのことなのに、こんな白い棒を持っていたばっかりに「あなたはできません」と決めつけられて拒否された理不尽さ、屈辱。

こんなことってあっていいのだろうか。


長男は乗れなくてがっかりしたというより、すごくショックを受けていた。



私は大崎さんに伝えた。
「私を説得しようとするのはやめてください。あなた方がやっているのは、明らかに差別です。こういう意見が出たことを会議に上げて話し合ってください。」

おそらく、電話を切った後は「あー、またうるさい客だった。」と愚痴って終わったことだろう。


そして、また何にはばかることもなく堂々と「視覚障害者はこのアトラクションには乗れません」と露骨な差別を言ってのけるのだろう。

まるで障害者を守っているような顔をして。


以下障害者差別をなくすための日本の法律 (ウィッキペディアより引用)


障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件をつけることなどにより、障害者の権利利益を侵害すること。法は、事業者、行政機関等いずれに対しても不当な差別的取扱いをすることを禁止している。








長男の涙

2019-06-29 12:30:56 | RP
長男はおっとりとした性格をしている。
弟たちに暴言を吐かれようと、叩かれたり蹴ったりされようと、
「仕方ないなぁ」
と苦笑しながら許して、弟たちのわがままを聞いてあげる。

目のせいで、テーブルの上のものを倒したり落としたり、壁や物にぶつかったり、蹴飛ばしたり。
それでも「いってぇ~」と言いながらも「またやっちゃった~」と笑い飛ばす。

ある日長男が言った。
「家ができたら、また自転車で通学できるかな」

私は少し考えていった。
「マー君、自転車はもう無理なんじゃないかな。」

たぶん、それを一番わかっているのは長男だと思う。
わかっていながら言ったんだ。

「僕は自転車が好きなんだ。」
うつむいてぼそっと言った。

泣いていた。

一つまた一つと今までできていたことができなくなっていく。
代わってあげられるものなら、代わってあげたい。

白杖 周りの反応

2019-01-23 12:45:21 | RP
白杖を使いだして約2週間。
一番気になるのは周りの反応。

長男は特に何も言わない。
気になる母は聞いてみることに。

「ねぇ白杖使ってみてどう?」
「ああ、いいよ。」

・・・会話おしまい。

もぉー、これだから男の子は困る。

「ねぇねぇ、もっと教えてよ。周りの反応は?」
「よけてくれる。歩道歩いててもね、道に出ようとしてる車がバックして引っ込んでくれたり、白杖の威力すごいなぁって思う。」

そうでしょうよ。
でも一番気になるのは友達の反応よ。

「友達には何か言われた?」
「そんなに目が悪かったんだぁって数人の子に言われた。」

「それだけ?」
「うん」

淡白なもんだ。
そんなもんなのか?
私が気にしすぎだったのか?

全校生徒3000人を超えるマンモス校。
からかったり、いやみ言ったりする子がいても不思議はないんだけど。

たぶんバークレーという土地柄もあると思う。
障害者にとって世界で最も住みやすい町とかなんとか。

本『五体不満足』の乙武洋匡さんが本の中で書いているように、ジロジロ見る人がいない。
見ないように心掛けているというより、みなさん気に留めてないといったほうが近い。
いろんな人種、いろんな民族衣装、いろんな言葉、いろんな障害を持つ人、ありとあらゆる人がありのままで自由に暮らすバークレーだから、みなさん『違う人』に自然と慣れている気がする。
白杖持っているくらいじゃ、目を引くことはないのかもしれない。

まぁ確かに、白杖を持っている人を見かけることも珍しくはない。
シンボルケーンとして、使わずにただ白杖を持って歩いている人もみかける。

他人がどう思うか、自分がどんな目で見られているか気にするのは、私が日本人だから?

いや、きっとアメリカでも他の町に行けば違うでしょ。

きっとバークレーで良かったんだ。



白杖デビュー

2019-01-17 11:54:45 | RP
ついに白杖デビューを果たしました。
もっと抵抗があるかと思ったけど、意外とすんなり受け入れてくれた。

カバンの中に入れっぱなしにして出さないんじゃないかと思ってた。
「使え」って言う練習までしてたのに。



初めて使うのに勇気は要ったけど、1度使っちゃうとその大きなハードルはあっさりクリアしたご様子。
1週間ほどで、もう白杖なしでは不安で歩けないほど不可欠になっちゃいました。

歩くの怖かったんだね。

他の人には
「見えないことをわかってほしい」
と訴えながら

実は私の方が
「まだ大丈夫、まだいける」
と長男に無理をさせていたのかもしれない。

目の前のものに気付かなかったり、
躊躇なく壁に突進して派手にぶつかったりしたとき
つい言ってしまう。
「いったいどんな見え方をしているのか不思議だわ~。」

そのたびに笑いながら返す長男、
「どんだけ見えてないかわかったらびっくりすると思うよ~」


そうだよね。
彼がどれだけ見えているかなんて、私にわかるわけはなく、
「まだ大丈夫、まだいける」なんて、私が判断することじゃなかったんだ。

白杖使って堂々と生きていけ!

白杖が届いた

2019-01-09 10:25:00 | RP
目が見えない人の象徴、白杖。

高校で歩行訓練をしてくれている先生が長男のために注文してくれていた。

4つにたためる折りたたみ式。

「これからは、これもあなたの体の一部よ。補聴器やメガネとおなじ必需品であり、あなたの武器。これさえあれば無敵。どこでも戦っていける。」

武器という言葉が気に入ったらしい。

「武器かー」

ちょっとかっこいいと思ったかな?

「でもこれ使ってると電車やバスで本読めないね。」

白杖は全盲の人が使うという認識はアメリカでもある。

「関係ない。堂々と本を読んでいい。携帯を見ていい。あなたは何も間違ったことはしてない。何も悪いことはしてない。盲目のふりなんてしなくていい。ジロジロ見る人がいたらサラリと言いなさい。」
白状を持ち上げて
「これ?僕視野が狭いから」って。

人は知らないだけ。
あなたに会うことで
「ああ、そうか。」っと思えばそれでいい。

「堂々と使いなさい。」

とは言ったものの、周りの理解がないのは辛いだろうなぁーと心配する私。

そんな事言ってられない。
安全に歩くため、必要だから使うんだ。
他人の目なんて気にしてられるか。


ボート部入部

2018-09-19 12:25:08 | RP
早速長男にボート部のことを話してみた。

うちの子供たちは、カヤックに乗るのが大好きで、海や湖でカヤックのレンタルがあると、かならずやりたがる。

先週カタリーナ島に行った時も、ちょうどみんなでカヤックを楽しんだばかりだ。

長男はすぐにのってきた。

「練習きついよ~、厳しいよ~。忙しくなるよ~。ゲームする暇なんかなくなるよ~」

それでもやりたいという長男。
やったー、そうこなくっちゃ!


練習はオークランドとアラメダ(島)の間でやるらしい。
うちから車で20分くらい。
駅が近いから、BARTでも行ける。

初日はボートに乗らずに、機械で漕ぐ練習をしたようだ。
二日目と三日目は、練習用のボートにのって練習をしたらしい。
でかくて、ひっくり返る心配はないけど、重くてのろい。

そして四日目、初めてレース用の8人乗りボートを使う。

私も含めて家族みんな、長男のボートに興味しんしん。

「どうだった?」

「すごく楽しかったよ~。すごく速いんだよ、怖いくらい速いんだよ。漕いでるというより、スピードに合わせてオールを動かすのが精いっぱいって感じ。ちょっとでも気を抜くと、オールが流れる水にのみこまれちゃうんだよ。」

嬉しそうに話す長男。

8人で漕ぐんだから速いだろうなぁ。
風を切って進むんだ(後ろ向きだけど)。

目が見えなくても、風を切って進むことができるスポーツ。
すばらしい、最高じゃん!

このあたりには大人のボートクラブもあるし、やりたければ続けることも可能。

汗をいっぱいながして、
友達いっぱい作って、
頑張れ!

ママは応援してるよ。








目が見えなくてもできるスポーツ

2018-08-10 12:49:36 | RP
長男は小学生のころテニスをしていた。

何歳になっても楽しめるようにと、私もせっせとお金をつぎ込んで、テニスクラスに入れていた。

でも・・・
目の病気のことを知ってからは、気が進まない。

そのうちに、ボールなんて見えなくなる。

初めからできなければ、そのスポーツをしたいとは思わない。
でも、ある程度上手になってできなくなると、できないことを辛く感じる。

できないほうがいい。

そんな風に考えるようになってしまった。


それからというもの、目が悪くてもできそうなスポーツを探してきた。


水泳を勧めたものの、本人はあまり乗り気ではない。

アーチェリーもやってみた。
広い視野は必要ないかなと思って。
でも、そのうち的も見えなくなるのかもという気持ちがつきまとう。

何かないか?


そんな時、高校から送られてくるEメールに面白いものを見つけた。

「ボート部です。興味がある方、夏休みに一緒に練習しませんか?」

ボート⁉
これだ!これなら目が悪くてもできる!
見つけた!
見つけた!

どうせ後ろ向きに乗るんでしょ。
座って漕ぐんでしょ。
いいじゃん、いいじゃん、できるよきっと。

目が見えなくなると、引きこもる人が多いらしい。
長男にはそうなってほしくない。
人生を通して楽しめるスポーツがあれば、どんなにいいことか。
それに高校時代、部活をやらないなんてつまんない。
汗と涙の青春を謳歌してほしい。
目がハンディーにならず、同じ条件でみんなとできるスポーツ。

よし、長男にすすめてみよう。







五体満足なんだから、いいじゃない。

2018-08-08 12:21:54 | RP
子供を使って競争してくるお母さん。
どこにでもいそうだけど、
私の身近にも、一人そんなお母さんがいる。

二人目不妊で苦しみ、お子さんは一人だけ。
ご主人とうまくいかず離婚。

家族五人、和気あいあいの我が家に対して妬みに近い羨望の目があるのはわかる。

子供だけは負けたくないと思うのか、
どんな些細なことでもすべてにおいて競争してくる。

そして、自分の子供のほうがどれだけ優れているか
自分の子供がどれだけ幸せかをアピールしてくる。


なんで、私と競争したいの?


あなたのお子さんは、見える目と聞こえる耳を持っているじゃない。
それだけで、十分でしょ。

そんなにうらやましいならすべて代わってあげていい。
その代わり、見える目と聞こえる耳をちょうだい。

すべてのことと引き換えにしていい。
見える目が戻ってくるのなら。








悪気はないのに

2018-07-27 12:38:41 | RP
今日は職場でバーベキュー。
長男は近くでボートの練習があったため、練習の後会社に遊びに来た。

食べていると、同僚たちが話しかけてくる?


「え?ハズバンド?にしては若すぎるよね。」

「まさかお子さん?えーー、こんなに大きなお子さんがいるの?」

アジア人は若く見られるため、露骨に驚かれる。
私44歳なんですけど。
息子は14歳、
ごく、ごく普通の親子。

私の同僚たちが、長男に握手を求めて手をだす。

でも長男は知らんぷり。

いくら手を出しても、長男は応じようとしない。

私は肘で長男の腕をつつく。
「ちょっと、手を出されているんだから、あなたも手を出しなさいよ。」

言われてやっと気づく。

んも~、そういうのとっても失礼でしょ!

無性に腹が立つ。



帰りに長男が言った。

「人としゃべっているときは、相手の顔を見ているから、手を出されても気づかない。
みえないんだよ。」

え?見えてなかったの?

不便なだけならまだしも、誤解を招くのは嫌だなぁ。

わざとじゃないのに、悪気はないのに、こういうの、どうにかできないのか?
マーカスの目が悪いことを知っている私でも、気づかなかった。

難しい。。。


白杖の勧め

2018-07-03 12:36:15 | RP
私の考えは固まっている。

長男には早い段階から白杖を使わせる。

自分の意志だけではなかなか勇気が出ない。
だからまだ子供のうちに、持たせる。
親の私が背中を押してやる。

勇気が要るのは一回目だけ。

考えは固まっているものの、なかなか言い出せない自分もいる。

やっぱり目が見えない人の象徴的杖だし、
ショックを受けるんじゃないか、
いやだとおもうんじゃないか。

心配でなかなか言い出せない。



本人に言う前に夫に言ってみた。

同じような病気を持つ人は、なかなか白杖を持つ勇気がなくて苦しむこと。
その原因のほとんどは「昔を知っている人たちの目」が気になるからだということ。
だから、長男には早くから使わせたいこと。

私なりに一生懸命説明した。

でも夫はきっと考えたことがなかったんだろう。
「白杖」という言葉に、明らかにショックをうけていた。
あきらかに抵抗があるご様子。

「あの子はまだ見える。まだ必要ない。」
そうとでも言いたげなご様子。

これだけ、転んで、つまずいて、ぶつかって、けがが絶えないのに必要ないってどうしていえるの?
痛い思いをしているのはあなたじゃない、長男なんだから。

足元が見えないゴーグルつけて散歩してこい。
どれだけ歩くのが怖いか。

夫が考えていることはわかる。
もしマー君が白杖を使ったら、彼の家族はどう思うか。
それが心配で仕方ない。
隠したくて仕方ない。

現に、彼の家族には目が悪いことがばれるまで言わなかった。
どうしても秘密にしておきたかった。

ばれてからも、
「大したことない、全然大丈夫」
っと言い続けているようだ。

情けない。

心配かけたくないと言えばかっこいいけど、
そんなんじゃない気がする。

なんで?
体裁?
見栄?

目の悪い息子を一番受け入れることができないでいるのは父親の彼自身だということにどうして気づかないんだろう。

もうしらない、夫のことは無視して私だけでどうにかしよう。

数日後機会を見計らって長男に話をしてみた。

「白い杖知ってる?」
「うん、目が悪い人が使う杖でしょ。」
「あれねぇ、マー君が使ってもいいんだよ。あんたはPartially Blindだから。」

反応が心配だった。
すごく嫌な顔をされたらどうしよう。
困った顔をされたらどうしよう。
又は悲しい顔をされたらどうしよう。
ショックを受けるかな?
拒否されるかな?

「え?ほんと?使っていいの?」

よろこんでる?

うそ?
こいつ明らかに喜んでる。

うっそ~~~。

「たい君がさぁ~、どんどん先に行って、僕のこと遅い遅いっていうんだけど、転びそうで追いつけないんだよねぇ。」

あ、そっか。
マー君速く歩くのが怖かったんだ。

よかった、これならいける。

それから私はいろいろな話をした。

白杖は周りに自分の目が悪いことを伝える役目もあること。
歩行者としては絶対的な優先権を与えられていること。
逆に、もし目が悪いことを隠して(白杖を持たずに)歩行して、小さい子供とぶつかってけがをさせたり、信号や道路標識に気付かず無視して事故に合ったりしたら、責任を問われること。

冗談まで出てきた。

「白杖は水戸黄門の印籠みたいなもんさ」

「この白杖が目に入らぬか~」笑笑笑



良かった。
とりあえず、第一関門突破。













東北大学治験開始か?

2018-06-18 12:38:41 | RP
こんな見出しが出ていました。

東北大、2018年度中に網膜色素変性症の医師主導治験を開始
(2018.06.18 08:00)

『東北大学大学院医学系研究科教授の阿部俊明氏や同助教の永井展裕氏の研究グループは、埋め込み型徐放デバイスを利用して網膜色素変性症を対象にした医師主導治験を2018年度中に始める予定だ。網膜色素変性症は遺伝性の網膜疾患で、場合によっては失明に至る重篤な疾患だ。新たに開発したデバイスを利用して、長期にわたって薬剤を局所投与する。』

やっと治験開始かぁって感じ。
前から注目はしてたけど、いまいちよくわからない。
どれだけの効果があるのかしらね?
幹細胞の注入の方が効果があるような気がする。

まぁそれでも、これまで治療法皆無だったのが、すこしずつ手の届きそうなところにまで来てるんだから、喜ばなきゃね。

もう一歩。






絶えないケガ

2018-06-17 12:38:59 | RP
どうしても、ぶつかってしまう長男。

ドアの広さが分からないのか、肩のあたりから体当たりするように、ドアの枠にぶつかる。

足元が見えないため、しょっちゅう物を蹴飛ばしてしまう。
床に物を置くなといくら言っても、した二人はいつも床に物を置きっぱなしにし、
それを長男が踏んだり蹴飛ばしたり。

先日はコーヒーテーブルを蹴飛ばして、右足の小指の爪が剥げてしまった。

額にはいつもたんこぶがある。
前のが治る前に、同じところを打つものだから、額の同じところに常にたんこぶがある。

夏休みに入って、子供たちはデイキャンプに行くことになった。
毎日バスで山や海や湖に行って遊ぶ。

長男は、グループリーダーの補佐役として参加した。


「森の中で鬼ごっこするんだよ。なんでみんなぶつからずに、転ばずに走れるんだろう?」

あまり考えてなかったけど、山や海のようなところでは足元に注意しなきゃいけない。
そしたら、木の枝にぶつかってしまう。

危ない。
大丈夫か?

最初の週、いきなり大けがをして帰ってきた。
傾斜の急な坂で、木の根っこにつまずいて転んでしまったらしい。
傾斜が急なので、そのままころころと転がってしまったとかで、
肩から足まで、体中すり傷を作って帰ってきた。

痛かっただろうに。
不便なだけじゃなくて、痛い思いまでしなきゃいけないなんて。

2か月分お金は払っていたけど、サマーキャンプはもうやめにした。
長男には無理だ。

友達の助け

2018-06-15 12:42:06 | RP
いよいよ中学も卒業。

この学校は本当にいい学校だった。
お金はかかったけど、親として最高のプレゼントだったんじゃないかな。

お金持ちのご子息ご令嬢ばかりなんだけど、みんな本当に良い子たちで、
見ていてとても微笑ましかった。

長男は卒業したくないと、ずいぶん嘆いていたけど、
長男だけでなく、親の私も卒業してしまうのが寂しくて仕方ない。

仲の良い10人くらいのグループがあって、
みんなマーカスの目のことを知っている。

暗いところでずいぶんと助けてもらったようだ。

最後の日、レストランを貸し切ってパーティーをした日も、
夜9時まで遊んで、真っ暗な中どうしたのかと心配したけど、
夫が迎えに行ったとき

「ヘイ、マーカス、お父さんが迎えに来てるぞ!」

っと長男の手をとって夫の方に歩いてきたらしい。

「目の前に椅子があるぞ、気を付けろ」
などと、周りにいた子たちも声をかけていたそうだ。

そんな友達の中にいたから、長男は学校がすごく楽しかった。
ぶつかったり転んだりしても、
「またやっちゃった」って
笑っていられたんだと思う。


卒業式の日、狭い校舎にたくさんの人が来ていた。
長男は人込みをきらう。
どうしてもぶつかってしまう。

卒業生が退場するとき、
長男は自然と手を友達の肩にのせた。

人と一緒だと安心して歩けるから、自然に身についたものだと思う。

のせられた友達も、嫌な顔一つせず、普通に自然に一緒に退場してきた。

なんか、感動した。

友達のすばらしさ、大切さ。
そして気が付いた。
親ができることなんて、ほとんど何もないんだ。

今後ますます親と一緒にいる時間は少なくなる。

長男は、時間のほとんどを友達と過ごす。

良い友達に恵まれること。それが一番必要なのかもしれない。

たぶん将来は、彼女や奥さんが長男の助けになるんだろう。


親ができることなんてなにもない。

白杖を使うことへのハードル

2018-05-22 12:26:19 | RP
同じような目の病気を持つ人のブログや掲示板などを見ていると、白杖を持つことのハードルがすごく高いことに気付く。
多くの人は白杖を使う勇気がなく苦しむ。
そして勇気を出して使うようになると「こんなに楽になるんだったらもっと早くに使い始めればよかった」という。
「移動に不自由しているけど、なかなか使う勇気がない」といった書き込みがあれば、他の人が早く使えと励ます。

白杖か~。

目が見えない人の道具であり、象徴。
気安く使えるもんじゃない。


でも私は息子にそんなことで苦しんでほしくない。
便利なものはすべて使って、少しでも楽に生きてほしい。

色々な人の意見を読んでいると、どうやら勇気がないメインの理由は、
「他の人がどう思うか気になる」からのようだ。

子供の時は普通に遊んでいた友人、
若い時からの知り合い、
目が見えていたときの自分を知っている人たちが、白杖を持っている自分を見てどう思うかが気になり、持つ勇気がない。

なるほど。わかる気がする。

じゃ、子供の時から使えば?
結局は白杖を持っている自分に周りが見慣れてくれたらいいんでしょ。

でも、どれくらい目が悪かったら使えるんだろう。
視力何以下、視野何度以下といったルールがあるんだろうか。

色々調べてみてわかった。
どうやらアメリカも日本もルールは同じで「視覚障がい者」なら使っていいようだ。
じゃぁ視覚障がい者とは?
眼鏡をかければ見えるのであれば視覚障碍者ではない。
眼鏡をかけてもよく見えない、又は視野が狭い人。
その程度は特に定義がない。
本人が必要であれば使っていいっといったところだろうか。

そっか、使っていいんだ。
なんだ、使っていいんだ。