白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

難聴児に自信をもたせること

2012-01-21 15:50:23 | 難聴・手話
マー君が通っている小学校には難聴の特別プログラムが併設されているため、各学年に数人ずつ難聴の子がいる。

マー君のクラスも18人中4人が補聴器か人口内耳をつけている。

時々全校の難聴児を集めて勉強会のようなものが行われているらしい。
先日親子で参加できる勉強会があったので、夫と覗いてみた。

勉強会の目的は、一人ひとりが自分に自信を持つこと。
難聴だからって引っ込み思案にならないこと。

面白い説明のしかたをしていた。

「ある車椅子に乗っている女の子が転校して来ました。
クラスのみんなは車椅子を見たことなかったので、
『どうしてこれに乗っているの?』と聞きます。
女の子は心の中で『聞かないで、聞かないで』と叫びました。
クラスのみんなにその声は聞こえますか?」

子供たちがいっせいに答える。
「きこえませぇ~ん。」

「女の子はついに泣き出してしまいました。
クラスのみんなは女の子をいじめようと思って聞いたのですか?」

子供たちは口々に答える。
「違うと思う。ただ不思議だったから聞いただけ。」
「興味があったから聞いただけ。」
「珍しいから聞いただけ。」

「そうです、教えてあげればいいだけなんです。
自分を理解してもらうためには、説明して教えてあげればいいのです。
心の中で叫んでも意味がありません。
嫌な顔をしてみせてもだめです。
言葉に出して、ちゃんと教えてあげればいいのです。」

それから補聴器のことを聞かれたらなんと答えるかを、実際に声に出して練習。


数日前のこと、公園で遊んでいると6~7歳の女の子がマー君に話しかけてきた。

「ねぇ、どうして耳の中が青いの?」
女の子はイヤーモールドのことを聞いている。

今までは、補聴器のことを聞かれるとすごく嫌そうな顔をしていたマー君。
「僕のママに聞いて。」
などと言って、答えることはなかった。

それが今回はちゃんと答えている。

「この青いのはイヤーモールドと言って、補聴器に繋がってるんだよ。」
補聴器を触りながら
「ほらこれが補聴器。」

女の子はさらに聞いて来る。
「どうしてそれをつけてるの?」

「耳が悪いからさ。これをつけないと良く聞こえないんだよ。」
「デフなの?」
「デフじゃないけど、デフに近いんだ。だからこれをつけるんだよ。
ほらここがスイッチ。こっちの上の方がマイクで音を大きくするんだ。」

嫌な顔一つせず、はきはきと説明するマー君。
その後二人は何もなかったように遊んでいました。

す、すごい。

あの勉強会のおかげかどうかは知らないけど、
補聴器を少しも恥ずかしいとは思ってない様子。

『もう大丈夫』そう確信しました。




軍艦

2012-01-21 15:03:09 | イベント
今リッチモンドに古い軍艦が停泊中とのニュースを聞いた。
もう使わないため、修理して南カリフォルニアに送られ博物館になるらしい。

家は男の子ばかりですから、こういうのが大好き。
公開しているというので、家族で行ってみました。


うわぁ~、昔佐世保に来ていたのを思い出す。



戦艦アイオワという種類で、1943年に造られたもの。
もちろん日本と戦うために造ったわけです。

無条件降伏調印式が行われた戦艦ミズーリ号もこのアイオワという同じ種類で一緒に作られたものならしい。



甲板は木造というところが古さを感じる。

この船はサイパン、硫黄島、沖縄と激戦地に参加。
この大砲を日本に向けて放ったんだと思うと、無性に腹が立つ。
そんなに愛国心なんてないと思っていたけど、やっぱり私も日本人なのね。

夫が子供たちに説明をしていた。
「もうこの手の戦艦は必要ないんだ。だからもういらないし、今後造ることもないんだ。」

こんな破壊と殺人だけが目的の鉄の塊なんて、二度と作らないで欲しいわ。
でも、皮肉なことに”もういらない”の意味は、もっと高度な兵器があるからであって、兵器が必要なくなったわけではない。



戦闘機の実物大模型に乗るマー君。

展示物を見ながらママが一言。

「すごいねぇ、太平洋戦争で使った日本の軍艦なんて一隻も残ってないよ。ぜぇ~~~んぶ沈没させられました。戦艦大和なんてみんな写真でしか見たことないんだよ。」

っと言っていると、あら、なにあの模型?

あ、戦艦大和だ。

へぇ~、これはでかいなぁ。アイオワよりずっとでかいんじゃないかしら?

「マー君、日本の軍艦の模型があるよ。」
「え?ホント?うわぁ~、大きいねぇ。」
「この船はねぇ、お鍋で造ったんだよ。」
「は?」
ママ何言ってるの?っといった顔。

「本当だよ。日本にはもう鉄がなくてね、日本中からお鍋などの鉄を集めて造ったの。」

次の日マー君が学校で絵を描いてきました。
軍艦の絵。
こういう絵はうまいんだよなぁ。

ママを喜ばせようと思ったのか、あっちこっちに日の丸が描いてある。

「ママ~、日本のバトルシップの絵だよ。」

こっこれは、ちょっとやばいのでは、右翼っぽく見えるのは私だけ?
きっ気持ちだけで嬉しいよ、マー君。

アメリカ人は太平洋戦争が大好き。
でもやっぱりアメリカの視点でこの戦争を見るのはあまり好きではない。
マー君もたぶん何か違和感を感じて、ママがかわいそうだなぁって思っているんだと思う。

でも、日の丸は止めようねぇ~。
左翼ではないけど、なんとなく・・・ねぇ。