白杖のトライリンガル

難聴だけじゃない?網膜色素変性症を併せ持つアッシャー症候群の息子達の日常を母の目からつづります。

イヤーモールド

2010-04-26 13:30:02 | 難聴・手話
たい君はマー君の補聴器が羨ましい。
でも、これだけは貸してあげるわけにはいけない。
もし壊れた場合を考えると、ちょっとおもちゃにするには高すぎる。

先日、たい君が一人で粘土遊びをしていた。

「やっと一人で遊べるようになったねぇ」っと夫と話していた。
ん~、でもやっぱりちょっと気になる。

そっとのぞいてみると、耳に一生懸命粘土を詰め込んでいるじゃないですか!

きゃ~たい君、だめだめ粘土を耳に入れたりしちゃだめだよ。
上から上から無理やり押し込んでいるから、結構奥まで入っている。

お兄ちゃんのイヤーモールドの真似だったんでしょう。
かわいいけど、もうしないでね~~~。

日本語訛りの英語

2010-04-18 14:40:17 | その他
同僚の友人が今日本にいるらしい。
よくありそうな話だけど、日本人の彼女を追いかけて行ったらしい。英語の先生としてどこかに雇ってもらえば、日本に住めるだろうという甘い考えで、何のあてもないまま行って、案の定仕事がなかなか見つからず、困っているという話。

「日本で就労ビザを取るのはそう容易くはないんだよ。そいつ馬鹿じゃないの。」

「でも、英語の先生ならなれるでしょう。」

「東京でしょ?英語を教えて金を稼ごうと思っている外人は山ほどいるよ。考えても見なさいよ、英語を母語とする人はアメリカ人だけじゃないんだよ。競争激しいよ。」

「でも、アメリカの発音がいいでしょう。オーストラリア訛りの英語をしゃべる日本人なんて笑っちゃうよ。」

「日本人に、オーストラリア訛りだとか、イギリス訛りだとか、わかるわけないでしょう。日本人にとっては英語は英語よ。日本語でも中国語でもない、英語という一つの言語なの。それだけよ。訛りまで気にするレベルになったら、日本にある英会話教室なんて行ってないって。」

「え~、ちょっとまった、いくらなんでもそんなことはないだろう。」

「ほんとだって。インド人が話す英語とアメリカ人が話す英語の聞き分けすらできないわよ。」

「うっそだろう?」

「あんたねぇ、日本の英語教育のレベル全然わかってないよ。だいたいねぇ、日本という国に住んでいれば、英語なんかできなくったって生活に支障はないの。よっぽど仕事でつかうとか、すごく興味があって個人的に留学したとかじゃない限り、学校で勉強しただけじゃ、全然そんなレベルにはならないの。」

「え~、じゃぁ何のために英語勉強してんだよ。」
これよく聴かれる、むかつく質問。世界中の人は英語を勉強しているんだから、英語がしゃべれないのはおかしいと思っている。むかつく、むかつく。

「あんた、高校時代外国語なにやった?」
私はいつもこの質問で反撃。

「スペイン語」

「スペイン語しゃべれる?」

「そんなわけないじゃん。」
ほらみろ。

「スペイン人が話すスペイン語と、メキシコ人が話すスペイン語の違いわかる?」

「そんなわけないじゃん。」

「じゃぁ何のためにスペイン語勉強したの?」
意地悪な私。

「カリキュラムで必須だったから。」

「日本人だって同じよ。高校受験や大学受験に必要だから勉強しているだけよ。あの人たちは英語がしゃべれなくてもテストで点を取るコツだけは知ってるよ。私だってそうだった。」

「なるほどねぇ。なんか納得できた。」
おせぇんだよ。自分ができもしないくせに、他の国の人はみんな自分の言葉を勉強してできるようになっていて当然なんて思うんじゃないよ。うぬぼれが強いんだからこの国の人は。

「もっとも時間を要して、もっとも役に立たない科目が英語よ。」
異論はあるだろうけど、私はそう思う。

「じゃさ、みんないろんな訛りの英語を勉強しているわけ?君の英語の先生は何人だったの?」

「日本人に決まってるでしょ。」

「じゃぁ、発音はどうやって教えるの?カセットテープ?」

「たまにはカセットも聞いたけど、ほとんど全部日本語訛りの英語で習った。」
これ本当の話。地元が田舎だから、先生の英語のレベルは低かった。
当時受験にリスニングはほとんどなかったから。今は知らないけど。

「日本語訛りの英語?なにそれ?」

目の前にあった英語の書かれた紙を拾い上げて、私はこてこてのカタカナ発音で読み始めた。笑われるかなと思ったけど、少しも笑ってくれない。

真剣な顔で
「すっげ~かっこいい。日本語に聞こえる。全然英語じゃないや。それすごいわ。」
え?かっこいいの?

それで他の同僚たちを集めだした。
「おいおい、この英語聞いてみろよ、めちゃくちゃかっこいいぜ。」

近くにいた同僚たちが何々?とよってきた。

「え?もう一回読むの?いいよ。日本ではねぇ、先生はこういう発音で英語を教えるのよ。」
またこてこてのカタカナは発音で読んで見せた。

みんなぽっか~ん。

「君、すっげ~かっこいいよ。日本語にしか聞こえない。英語がこんな風に変形できるなんてしらなかった。」
日本人にとってはこれは意図的な変形ではないんだけどね。

そして、また他のやつらも集まってきた。

「もう一回もう一回、ねぇお願いもう一回同じように読んでみて。」

私もなんだか面白くなってきた。

「いいよ。おはようは、グッモーニンじゃなくて、グッドぉモーニングぅっていうの。」
ジョークだったんだけど、笑ってくれない。
それどころか真剣な顔をして聞かれる。

「なんで『ド』とか『グ』とかを最後にくっつけるの?」

「日本語には子音で終わる発音がないのよ。必ず母音がくっつくの。あんたらねぇ、私の英語をこてこての日本語訛りだと思っていたでしょう。甘いね。言っとくけど私の旦那はこの本物の日本語訛り英語を理解できるツワモノなのよ。」

「うそ?理解できるの?それすげぇ~や、じゃもう一回読んでみて。」
また同じようにカタカナ発音でよんでやった。

すっげ~、英語とは思えん。全然わかんないや。日本語にしか聞こえん。でもかっこいい~。」

得意げになってカタカナ発音を疲労する私も私だと思いながら、なかなか面白かった。
しかし、日本語のカタカナ発音、やはり英語には聞こえませんねぇ。

今の英語教育は、私らのときに比べると、少しはましになっていることを願おう。

体験入学申し込み

2010-04-17 14:11:01 | 子供
この夏に日本に帰ることにした。
夏は飛行機代が高く、4人だと飛行機代だけでも$4000以上かかってしまう。
それでも帰りたいと思った理由は、マー君を日本の小学校に体験入学させたいから。

当の本人は嫌がっているんだけど、アメリカとは全然違う日本の小学校を体験させてあげたいのよね。
だって、せっかく日本人の母親を持ったのに、日本を知らずに育つのは惜しい。
それに、日本の小学校で日本人の子の中に入ったら、彼の日本語も刺激を受けて伸びるのではないかっと。。。

今年を逃したら、日本語に差がつきすぎて、もっと難しくなるような気がしたから、どうしても今年入れたかった。


それで、日本語教室でお知り合いになったお母さん友達に体験入学について色々と聞いてみた


「学校によってすごく歓迎してくれたり、迷惑がられたり、拒否されたりずいぶんと対応がまちまちだから、まず行きたい小学校に問い合わせてみたら?」
っとのこと。

聞くところによると、田舎の学校のほうが珍しがって歓迎してくれるらしい。
東京は体験入学者が多いから迷惑がられる・・・とか。
特に港区ではあまりにも多すぎて全面廃止になったといううわさもある。

考えてみればそうだよなぁ、言葉もままならなくて、日本の文化もルールも良くわからない子供が数週間だけ来ては出て行かれたら、先生からしてみると迷惑極まりないよなぁ。

とにかく問い合わせてみることにした。

嫌われちゃ困るから、礼儀正しく礼儀正しく。
あまりアメリカかぶれしていると思わせたら、嫌われるかもしれない。
ここは純日本風に話そう。
特に気をつけなきゃいけないのは、カタカナ英語。
英語的な発音になったり、英単語を無理にカタカナ化して使ったりしないように気をつけなきゃ。

「お忙しいところ大変恐れ入ります。この春一年生になる息子がおりまして、この6月に体験入学を希望しているのですが、貴校では体験入学を受け入れていただけるのでしょうか?」

ドキドキ、なんていわれるだろう。

「あ、はい。息子さんは日本語はできますか?」

うわ、なれたもんだなぁ。
あんまりできないんだけど、できないなんていって拒否されたら困るから、ここはちょっと張ったりをかけよう。

「はい、問題ないと思います。」

はっきりと言ってのける私。でもちょっと・・・嘘はよくないよね。

「もちろん日本で育っている日本人の子供に比べると、少々劣りますが。」
これで大丈夫でしょう。

「お国はどちらですか?」
「アメリカです。」
「お子さんは日本に来た経験はありますか?」
「はい、ございます。2歳半のときに一度一ヶ月ほど滞在しました。」

そんな調子で矢継ぎ早に質問をされた。
本当に慣れたご様子。
でも結局滞在先が学区外ということで、教育委員会の電話番号を渡されてしまった。

じゃぁ、教育委員会に電話してみよう。

同じように電話をしてみると、こちらも大変慣れたご様子。
さっきの電話で聞かれたこととほぼ同じことを質問された。
ただ、ちょっと困ったのが・・・

「息子さんの生年月日は?」

「はい、2千・・・」っと言いかけて、や、やばい、西暦じゃだめでしょ。
あ、マー君は平成何年生まれなんだ?
もうアメリカに来て10年、年号を使わないからどうしても覚えられない。
まず、今年何年だっけ?
いやぁ~ん、こんなところでアメリカかぶれしているなんて思われたくないわ。
でも、わからないものはどうしようもない。

「あ~、申し訳ありません、2004年は平成ぃ・・・?」
息子の誕生日すら知らないのかこの母親は!
なんて思われたらどうしよう。。。

でもよかった、いい人だった。
「あ、そうですね。ははは。2004年はえ~っと、平成16年になりますね。」

よかった、嫌われなかった。
あ、もう一つ忘れちゃいけないことがある。

「あの、もう一つ、うちの子は補聴器を着けています。補聴器さえ着けていればとくに会話に支障はないし、こっちでも普通の小学校に通っているのですが、一応前もってお知らせしておいたほうがいいかと思いまして・・・。」
それを理由に断られても困るし、こんなんでどうだろうか。

あっさりと
「はい、わかりました。聞こえに問題がないのであれば、大丈夫だと思いますよ。」
あ、問題ないわけじゃないけど、これ以上色々いうと、拒否されちゃ困るから、黙っていよう。

結局そこの小学校と協議をした上で決めるとのことだった。

3日後協議の結果を聞きに再度電話をかける。
協議の結果は、問題なしとのこと、やった~~~。
よかったぁ~。
だめと言われたら、梅雨の真っ只中の日本で、いったいどうして毎日過ごそうかと思っていたところ。


っで、ためしに聞いてみた。

「体験入学を希望する人は多いのでしょうか?」

「そうですね、この時期は毎年50人ほどの問い合わせがあります。練馬区には約60校の小学校があるので、一校に1人か2人といったところでしょうか、珍しくはないですよ。」

うわ、そんなにいるんだ。
田舎育ちの私としては、体験入学なんて聞いたこともなかった。
やっぱり東京はちがうねぇ。
慣れているのもそれなら納得がいくわ。

っということで、問題なく受け入れてもらえることになった。

でも、どうなるんだろう。
マー君、大丈夫だろうか?




日本語教室入学式

2010-04-04 14:49:13 | 子供
今日は日本語教室の入学式。

面接を受けたときはどうなるかと思ったけれど、あれから一ヶ月ちょっと、毎日平仮名を書く練習をさせ、全部ではないけれどだいたい書けるようになった。


ちゃんと一張羅の洋服を着せて・・・。


一年生二年生3年生合同の写真。


マー君は右の端っこ。
ほとんどみんなハーフの子だねぇ~。

日本風の厳かな入学式。

マー君の日本語の名前を教えて、何度も何度も書く練習をさせたけど、自分の名前がわかるだろうか。。。

いすに自分の名前が日本語で書かれてあるのをみて、マー君大喜び。
あ~、良かった、自分の名前だと認識できた様子。

入学式の最後に先生が一人ずつ名前を呼び、呼ばれた生徒は「はい」っと返事をして立つことに。
え?マー君できるかしら?
一応昨日教えたけど。
「名前を呼ばれたら、はいって言うんだよ。」っと。。。。

夫も私を見て、「できるかなぁ。」

マー君の名前が呼ばれた。
1秒、2秒、3秒、「あ~だめだ。」
そしたら先生が合図を送ったのか、大きな声で「はい」
あ、できた。ほ


式は最初から最後まで日本語。
子供たちも日本語でお話。
書かれてある文字も日本語。
そしてその日本語を、ここに通っている子供たちは読める。
す、すごい。

なんだか胸がいっぱいになる。

式の後、先生に呼ばれて、補聴器のことを聞かれた。
完全に忘れていた私。
あ、そうだった、補聴器をしているんだった。
「子供たちに話しておきましょうか?」っとのこと。
確かにそうだわ、みんないったい耳に何をつけているんだろうっと思っているはず。
「あ、そうですね、お願いします。」
まぁ、少人数の教室だし、そう問題はないでしょう。

その後12時まで国語の授業があった。
早速出されました、たくさんの宿題。
プリント7枚。
毎日一枚することになっている。
それから教科書の音読。

日本の公立小学校で使われている、日本の教科書。
この教科書を毎日必ず音読すること。

担任の先生は日本の小学校に9年勤務し、サンフランシスコの日本語補習校で20年勤務したあと、この日本語教室の先生になったベテランの先生。
アメリカに住む子供の日本語の欠点をよくご存知の様子。

最後の保護者説明会での言葉が耳に残る。

「できるだけ学校の話をさせて、生活で使う言葉を超えた会話をして語彙を増やすように心がけてください。」

確かにその通り。
日本語が話せると言っても、「片付けなさい、さぁご飯よ、それとって」などの生活用語だけで、ちょっと違う話になると、語彙が全く足りない。
日本語に触れる機会が私との会話だけだから、生活を超えた語彙が全く増えない。

学校に行くことで、少しでも幅広いことを日本語で理解できるようになったら言いなぁと思う。

途中でやめていくこが多いらしいけど、
10歳までに身に着けた言葉は、一生の財産。
後になって後悔しても遅いんだから、絶対に挫折はしないわ、させないわ。

頑張るぞ!!!