同僚の友人が今日本にいるらしい。
よくありそうな話だけど、日本人の彼女を追いかけて行ったらしい。英語の先生としてどこかに雇ってもらえば、日本に住めるだろうという甘い考えで、何のあてもないまま行って、案の定仕事がなかなか見つからず、困っているという話。
「日本で就労ビザを取るのはそう容易くはないんだよ。そいつ馬鹿じゃないの。」
「でも、英語の先生ならなれるでしょう。」
「東京でしょ?英語を教えて金を稼ごうと思っている外人は山ほどいるよ。考えても見なさいよ、英語を母語とする人はアメリカ人だけじゃないんだよ。競争激しいよ。」
「でも、アメリカの発音がいいでしょう。オーストラリア訛りの英語をしゃべる日本人なんて笑っちゃうよ。」
「日本人に、オーストラリア訛りだとか、イギリス訛りだとか、わかるわけないでしょう。日本人にとっては英語は英語よ。日本語でも中国語でもない、英語という一つの言語なの。それだけよ。訛りまで気にするレベルになったら、日本にある英会話教室なんて行ってないって。」
「え~、ちょっとまった、いくらなんでもそんなことはないだろう。」
「ほんとだって。インド人が話す英語とアメリカ人が話す英語の聞き分けすらできないわよ。」
「うっそだろう?」
「あんたねぇ、日本の英語教育のレベル全然わかってないよ。だいたいねぇ、日本という国に住んでいれば、英語なんかできなくったって生活に支障はないの。よっぽど仕事でつかうとか、すごく興味があって個人的に留学したとかじゃない限り、学校で勉強しただけじゃ、全然そんなレベルにはならないの。」
「え~、じゃぁ何のために英語勉強してんだよ。」
これよく聴かれる、むかつく質問。世界中の人は英語を勉強しているんだから、英語がしゃべれないのはおかしいと思っている。むかつく、むかつく。
「あんた、高校時代外国語なにやった?」
私はいつもこの質問で反撃。
「スペイン語」
「スペイン語しゃべれる?」
「そんなわけないじゃん。」
ほらみろ。
「スペイン人が話すスペイン語と、メキシコ人が話すスペイン語の違いわかる?」
「そんなわけないじゃん。」
「じゃぁ何のためにスペイン語勉強したの?」
意地悪な私。
「カリキュラムで必須だったから。」
「日本人だって同じよ。高校受験や大学受験に必要だから勉強しているだけよ。あの人たちは英語がしゃべれなくてもテストで点を取るコツだけは知ってるよ。私だってそうだった。」
「なるほどねぇ。なんか納得できた。」
おせぇんだよ。自分ができもしないくせに、他の国の人はみんな自分の言葉を勉強してできるようになっていて当然なんて思うんじゃないよ。うぬぼれが強いんだからこの国の人は。
「もっとも時間を要して、もっとも役に立たない科目が英語よ。」
異論はあるだろうけど、私はそう思う。
「じゃさ、みんないろんな訛りの英語を勉強しているわけ?君の英語の先生は何人だったの?」
「日本人に決まってるでしょ。」
「じゃぁ、発音はどうやって教えるの?カセットテープ?」
「たまにはカセットも聞いたけど、ほとんど全部日本語訛りの英語で習った。」
これ本当の話。地元が田舎だから、先生の英語のレベルは低かった。
当時受験にリスニングはほとんどなかったから。今は知らないけど。
「日本語訛りの英語?なにそれ?」
目の前にあった英語の書かれた紙を拾い上げて、私はこてこてのカタカナ発音で読み始めた。笑われるかなと思ったけど、少しも笑ってくれない。
真剣な顔で
「すっげ~かっこいい。日本語に聞こえる。全然英語じゃないや。それすごいわ。」
え?かっこいいの?
それで他の同僚たちを集めだした。
「おいおい、この英語聞いてみろよ、めちゃくちゃかっこいいぜ。」
近くにいた同僚たちが何々?とよってきた。
「え?もう一回読むの?いいよ。日本ではねぇ、先生はこういう発音で英語を教えるのよ。」
またこてこてのカタカナは発音で読んで見せた。
みんなぽっか~ん。
「君、すっげ~かっこいいよ。日本語にしか聞こえない。英語がこんな風に変形できるなんてしらなかった。」
日本人にとってはこれは意図的な変形ではないんだけどね。
そして、また他のやつらも集まってきた。
「もう一回もう一回、ねぇお願いもう一回同じように読んでみて。」
私もなんだか面白くなってきた。
「いいよ。おはようは、グッモーニンじゃなくて、グッドぉモーニングぅっていうの。」
ジョークだったんだけど、笑ってくれない。
それどころか真剣な顔をして聞かれる。
「なんで『ド』とか『グ』とかを最後にくっつけるの?」
「日本語には子音で終わる発音がないのよ。必ず母音がくっつくの。あんたらねぇ、私の英語をこてこての日本語訛りだと思っていたでしょう。甘いね。言っとくけど私の旦那はこの本物の日本語訛り英語を理解できるツワモノなのよ。」
「うそ?理解できるの?それすげぇ~や、じゃもう一回読んでみて。」
また同じようにカタカナ発音でよんでやった。
「
すっげ~、英語とは思えん。全然わかんないや。日本語にしか聞こえん。でもかっこいい~。」
得意げになってカタカナ発音を疲労する私も私だと思いながら、なかなか面白かった。
しかし、日本語のカタカナ発音、やはり英語には聞こえませんねぇ。
今の英語教育は、私らのときに比べると、少しはましになっていることを願おう。
よくありそうな話だけど、日本人の彼女を追いかけて行ったらしい。英語の先生としてどこかに雇ってもらえば、日本に住めるだろうという甘い考えで、何のあてもないまま行って、案の定仕事がなかなか見つからず、困っているという話。
「日本で就労ビザを取るのはそう容易くはないんだよ。そいつ馬鹿じゃないの。」
「でも、英語の先生ならなれるでしょう。」
「東京でしょ?英語を教えて金を稼ごうと思っている外人は山ほどいるよ。考えても見なさいよ、英語を母語とする人はアメリカ人だけじゃないんだよ。競争激しいよ。」
「でも、アメリカの発音がいいでしょう。オーストラリア訛りの英語をしゃべる日本人なんて笑っちゃうよ。」
「日本人に、オーストラリア訛りだとか、イギリス訛りだとか、わかるわけないでしょう。日本人にとっては英語は英語よ。日本語でも中国語でもない、英語という一つの言語なの。それだけよ。訛りまで気にするレベルになったら、日本にある英会話教室なんて行ってないって。」
「え~、ちょっとまった、いくらなんでもそんなことはないだろう。」
「ほんとだって。インド人が話す英語とアメリカ人が話す英語の聞き分けすらできないわよ。」
「うっそだろう?」
「あんたねぇ、日本の英語教育のレベル全然わかってないよ。だいたいねぇ、日本という国に住んでいれば、英語なんかできなくったって生活に支障はないの。よっぽど仕事でつかうとか、すごく興味があって個人的に留学したとかじゃない限り、学校で勉強しただけじゃ、全然そんなレベルにはならないの。」
「え~、じゃぁ何のために英語勉強してんだよ。」
これよく聴かれる、むかつく質問。世界中の人は英語を勉強しているんだから、英語がしゃべれないのはおかしいと思っている。むかつく、むかつく。
「あんた、高校時代外国語なにやった?」
私はいつもこの質問で反撃。
「スペイン語」
「スペイン語しゃべれる?」
「そんなわけないじゃん。」
ほらみろ。
「スペイン人が話すスペイン語と、メキシコ人が話すスペイン語の違いわかる?」
「そんなわけないじゃん。」
「じゃぁ何のためにスペイン語勉強したの?」
意地悪な私。
「カリキュラムで必須だったから。」
「日本人だって同じよ。高校受験や大学受験に必要だから勉強しているだけよ。あの人たちは英語がしゃべれなくてもテストで点を取るコツだけは知ってるよ。私だってそうだった。」
「なるほどねぇ。なんか納得できた。」
おせぇんだよ。自分ができもしないくせに、他の国の人はみんな自分の言葉を勉強してできるようになっていて当然なんて思うんじゃないよ。うぬぼれが強いんだからこの国の人は。
「もっとも時間を要して、もっとも役に立たない科目が英語よ。」
異論はあるだろうけど、私はそう思う。
「じゃさ、みんないろんな訛りの英語を勉強しているわけ?君の英語の先生は何人だったの?」
「日本人に決まってるでしょ。」
「じゃぁ、発音はどうやって教えるの?カセットテープ?」
「たまにはカセットも聞いたけど、ほとんど全部日本語訛りの英語で習った。」
これ本当の話。地元が田舎だから、先生の英語のレベルは低かった。
当時受験にリスニングはほとんどなかったから。今は知らないけど。
「日本語訛りの英語?なにそれ?」
目の前にあった英語の書かれた紙を拾い上げて、私はこてこてのカタカナ発音で読み始めた。笑われるかなと思ったけど、少しも笑ってくれない。
真剣な顔で
「すっげ~かっこいい。日本語に聞こえる。全然英語じゃないや。それすごいわ。」
え?かっこいいの?
それで他の同僚たちを集めだした。
「おいおい、この英語聞いてみろよ、めちゃくちゃかっこいいぜ。」
近くにいた同僚たちが何々?とよってきた。
「え?もう一回読むの?いいよ。日本ではねぇ、先生はこういう発音で英語を教えるのよ。」
またこてこてのカタカナは発音で読んで見せた。
みんなぽっか~ん。
「君、すっげ~かっこいいよ。日本語にしか聞こえない。英語がこんな風に変形できるなんてしらなかった。」
日本人にとってはこれは意図的な変形ではないんだけどね。
そして、また他のやつらも集まってきた。
「もう一回もう一回、ねぇお願いもう一回同じように読んでみて。」
私もなんだか面白くなってきた。
「いいよ。おはようは、グッモーニンじゃなくて、グッドぉモーニングぅっていうの。」
ジョークだったんだけど、笑ってくれない。
それどころか真剣な顔をして聞かれる。
「なんで『ド』とか『グ』とかを最後にくっつけるの?」
「日本語には子音で終わる発音がないのよ。必ず母音がくっつくの。あんたらねぇ、私の英語をこてこての日本語訛りだと思っていたでしょう。甘いね。言っとくけど私の旦那はこの本物の日本語訛り英語を理解できるツワモノなのよ。」
「うそ?理解できるの?それすげぇ~や、じゃもう一回読んでみて。」
また同じようにカタカナ発音でよんでやった。
「
すっげ~、英語とは思えん。全然わかんないや。日本語にしか聞こえん。でもかっこいい~。」
得意げになってカタカナ発音を疲労する私も私だと思いながら、なかなか面白かった。
しかし、日本語のカタカナ発音、やはり英語には聞こえませんねぇ。
今の英語教育は、私らのときに比べると、少しはましになっていることを願おう。
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