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金魚cafe

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その日まで &名もなき花の 紅雲町珈琲こよみ

2015-04-26 00:05:53 | 読んだ本
吉永南央著 文藝春秋

「萩を揺らす雨」に続く紅雲町シリーズを一気に2冊読みました。

N○Kでドラマ化され富司純子さんがお草さんをなさるとか。

原作を読んでいると富司さんだと若いお草さんだなあと思っておりましたらお年はちょっと原作のお草さんのほうが上のようです。

私のお草さんのイメージは、自分ではそんなこと思っていないかもしれませんが、モテたのではないでしょうか。

ストーリーの中である人が、お草さんを「仕事をすぐ覚えてセンスもいい。」そんなふうに言われていました。

だから事情があって子供を置いて婚家を去って紅雲町に戻ってきてから再婚話もあったそうなのです。

お草さんの和食器と珈琲豆を販売する「小蔵屋」が繁盛しているのはお草さんがセンスよく和食器をディスプレイしているからで、なるほど~と思います。

「その日まで」ではそんな「小蔵屋」のライバル店が現れて「小蔵屋」に対して嫌がらせみたいなこともあります。

これは東京まで新幹線で1時間とちょっとの距離の紅雲町は何店舗も競争できる規模ではないのでそういう手段に出るのかもしれません。

そこにお草さんの再婚話の相手も出てきてどこでつながっているのかとお草さん独自に動きます。

ライバル店が気になるけれどもお草さんは「小蔵屋」で珈琲を淹れてといつも通り仕事をしています。

ぶれないというのが大事なのだなあと。

「その日まで」の次の作品「名もなき花の」ではいろいろ小さな問題はあっても「小蔵屋」は順調に営業しているようです。

今度はお草さんの幼馴染で一番の理解者である由紀乃さんの親戚の考古学の先生の論文の盗作疑惑をかけられて心配している由紀乃さんのためにお草さんが動きます。

紅雲町ではお草さんは周りからすごく頼りにされている人のようです。

他の人には言えないことをお草さんに打ち明けたくなる。

それはきっとお草さんの淹れてくれる珈琲がそんな気持ちにさせるのかもしれません。











俺が噂の左團次だ

2015-03-07 22:21:55 | 読んだ本
四代目市川左團次著 集英社

今日から「ソロモンの偽証」公開。
でも私は予定を入れてしまったためまだ観に行けません。

蔵之介さんはいろいろ番宣でていらっしゃいますが録画するのが精一杯、それでも録り損ねている番組もありまして、しばらく忙しくなります。
地元の図書館では古くなった本を利用者にお持ち帰りくださいとリサイクルしています。

そんな中で見つけたのがこの本、新品みたいにキレイだったのであまり借りられなかったのかな。^^;

1994年に発行されています。
丁度このころ市川左團次さんがTVに登場してえ~~こんな方がいるのか~~とびっくりしたことを覚えています。

中村勘三郎さんがまだ勘九郎だったときにトーク番組の司会をされていました。
確か「今夜も勘九郎」??とかいう題名だったとおもいます。
間違えていたらすいません。

歌舞伎俳優でこんな面白い人がいるんだ~と、思った私、他の共演者に勘九郎さんは「ねっ面白い人でしょ?」と紹介していました。

去年の俳優祭でも左團次さんはメイド姿で舞台に出られて共演の皆様も演技に集中できず笑ってらっしゃいました。

この方はこういうキャラなのだと皆さん認識されていますが、1994年当時歌舞伎のことを知らない人間がいきなりTVでそのままのキャラを見たらびっくりしてしまいます。

歌舞伎の世界というのは古典芸能なので格式高いのではないか、などと思っていましたので趣味がのぞき、ホモ、SMの話が大好きなんてTVで話す方初めて観ました。

それでも品の良さとナチュラルな雰囲気が好印象でした。

文章もきっと左團次さんがお話されたのを文章にされたのでしょうね。

歌舞伎のこと、プライベートのことをいろいろ書かれています。

左團次さんの生い立ち自体がこれってお芝居なのではないかというぐらいドラマチックでそれをさらりと語られる。

その自然体なところが良いのだと思います。

私は西に住んでる人間です、市川左團次というルーツは上方であったというのも親近感が持てました。

本でも「私は衣装屋さんと床山さんのお力をお借りして、芝居に出させていただいている人間です。ものはわかっておりませんので芸の話は聞かないでください。」なんて飄々とした中に芯が一本通っているようなそんな方のように私は感じました。

バラエティー番組に最近出演が多いですが、この前の八犬伝の左團次さんの敵役が貫録があり、八犬士はヒーローということで颯爽と、悪役はいかにも悪というので楽しめました。

やはり役者市川左團次さんがいいですね。

追憶の夜想曲

2015-02-09 23:56:00 | 読んだ本
中山七里著 講談社

贖罪の奏鳴曲という法廷サスペンスの続編で主人公の弁護士御子柴礼司というお金のためなら有罪も無罪もしくは執行猶予つきとひっくり返す悪徳弁護士。

被告からは感謝されるでしょうが、被害者からしたらたまったものではありません。

顧客もどこか後ろ暗いところがありで先生頼りにしてますといわれながらも周囲は敵だらけ。

そんな彼がお金にならないのにほぼ有罪で決まりの裁判の弁護を引き受けることがあります。

本人は注目されれば金になるといいますがこれには深い理由があります。

贖罪の奏鳴曲が続きそうな終わり方だったのでこれは続編が出るなあと思っていましたらやっぱり出ました。
会社を首になって働かない夫をカッとなって殺してしまった妻。

注目を集める裁判ではなかったのですが御子柴が弁護するということで世間で注目を集めるようになり、検察側も負けてなるものかと岬という優秀な検事が御子柴と法廷で争うことに。

この岬という名前でどこかで聞いたことがあると思ったら、「さよならドビュッシー」で探偵だったピアニストの岬洋介のおとうさまだったのです。

中山センセーの小説はほかシリーズの登場人物とコラボすることが多いのですが岬洋介のおとうさま出てきましたか~。

贖罪の奏鳴曲を読んでいたらなぜ御子柴礼司がこの弁護を引き受けたのかなんとなくわかってしまってやっぱりそうだったのか~とそれだけでは終わらず大どんでん返しがあったりするのですがこのシリーズ面白いのにこれで終わっちゃうんじゃないかなと心配になったのですが。

なんといっても御子柴礼司という人が最初はなんなのこの人!!

と思ってしまうのですが、善か悪かと分けられないダークヒーローみたいな感じでとても気になる人物です。

できるなら岬洋介とコラボする作品でまたお会いしたいです。






泣き童子(わらし)三島屋変調百物語参之続

2014-12-30 22:39:18 | 読んだ本
宮部みゆき著 文藝春秋

このシリーズも三作目になります。

許婚を悲しい出来事で亡くしてしまった三島屋の伊兵衛の姪おちかさん。

あまりにダメージが大きすぎてふさぎ込んでいたのが叔父さんの代わりに三島屋の黒白の間でいろんな人の不思議な話を聞き役になることで少しずつもとの自分に戻れたようです。

百物語と題をうっているので宮部センセー百までお続けになるんのでしょうか。

魂取りの池、くりから御殿、泣き童子、小雪舞う日の怪談語り、まぐる笛、節気顔の短編からなっておりまして、心温まる話、背筋がヒヤリとする話、悲しすぎる話と、バラエティにとんでおります。

三島屋の黒白の間で話をする人というのはだた不思議な話や怪談話ではなく、今まで人に言えないもの秘めていたものをおちかさんの前で話すことによって気持ちが少し軽くなる、おちかさんはいろんな人の話を聞いて許婚を自分のせいで失ったという悲しみから立ち直れる、伊兵衛さんはそう考えたのではないかと思うのです。

宮部センセーのお江戸のワールドでこの世ものと思えぬ怪しいものが出てきますが、なぜ怪しが現れるのか?なにもないところから現れるわけでもなく、それにはちゃんと現れる理由があるのです。

納得できる理由でこの世に不思議な謎などないのだと、宮部センセーは現実的な方だと思いました。

自分の行いは良いことも悪いことも自分に帰ってくる、それを見ているのは鉄瓶長屋のお徳さんではないけれどお天道様なんだろうなあと。

今年は良いことも悪いこともどちらも穏やかに過ぎていきました。
来年も良いことも悪いこともトントンで良しとなればよいかなあと。

今年一年こちらにお越しくださった皆様ありがとうございます。

私は年末年始は休みなしで仕事となっておりまして、来年のお正月過ぎてからになると思います。

皆様に良い年となりますように。

来年もよろしくお願いいたします。<m(__)m>







萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ

2014-11-04 22:53:00 | 読んだ本
吉永南史(よしながなお)著 文春文庫 

紅雲町という北関東の町でもともと日用雑貨屋だった(小蔵屋)を和食器とコーヒー豆の販売のお店として商売替えして営んでいる数え年76歳の杉浦草(すぎうらそう)。

彼女のお店は無料でコーヒーを一杯飲ませるということで店内はちょっとした社交場になっています。

そんな小蔵屋の周りでおこる日常の謎をお草さんが解くというストーリーです。

画像をアップできていないのですが、文庫本の表紙は可愛らしくておばあさん探偵なのでほのぼのしたものかと思っておりましたが、なかなかシビアな内容でした。

おばあさん探偵といえばアガサ・クリスティのミス・マープル、清水義範さんのやっとかめ探偵団の波川まつ尾おばあちゃんなど有名です。

これらは彼女たちの推理力を高く評価する刑事さん、仲間たちが助けてくれる、あるいは彼女たちに謎を解いてくれと協力を求めてくるなどそれは現実ではありえな~い小説の中だけのことです。

お草さんにはそんな協力してくれる刑事さんもいないし、怪しいと現場を見張っていると反対に夜にうろうろして徘徊してるんじゃないかと誤解されたりして現実は厳しいものです。

彼女の親友であり理解者である由紀乃さんは脳梗塞をおこして左半身が不自由で自分のことも自分でできない状態です。

もっと厳しいのは彼女のこれまでの生きてきた道です。

恋愛結婚したのに3年も経たずに離婚され、残してきた一人息子は亡くなってしまい、両親を見送って一人残されてしまいました。

そんな彼女がPCの家庭教師をしてくれている大学生に語り掛けるところがあります。
じ~~んとする言葉なので文章からちょっとお借りいたしまして、「弱いと認めちゃった方が楽なの。力を抜いて、少しは人に頼ったり、頼られたり。そうしていると、行き止まりじゃなくなる。自然といろんな道が見えてくるものなのよ。」

いろんなことがあったお草さんがおっしゃるから説得力があるのかもしれません。

お店をオープンさせたのが65歳ぐらいの時で普通ならもうご苦労様でした~と言われるお年でやりたいことを見つけて実現した。

その凛とした生き方に憧れます。