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金魚cafe

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東慶寺花だより

2014-10-17 20:48:49 | 読んだ本
井上ひさし著 文藝春秋

今年のお正月にEテレの劇場中継で市川染五郎さんが新作歌舞伎として上演されていました。

中継だったので一幕だけしか観れませんでしたがコミカルでほのぼのとしたお芝居でした。

これをなんと!大泉洋さん、洋ちゃん主演で映画化されるのです。^^

洋ちゃん映画今年入って3本主演で次回作がこれ、ノリにノッてますね~~。

蔵之介さんも舞台来年は映画2本ひかえててこちらもノリにノッてます。^^

江戸時代の鎌倉に東慶寺というお寺がありました。

このお寺はとくべつなお寺で離縁したい女性がこちらのお寺に駆け込むと(自分が駈け込めなくてもさしていた簪をお寺に投げ入れてもOK)夫と正式に別れることができてあとは2年間東慶寺でお勤めをすれば自由になれるのです。

もちろんこれは訴えるのに費用がかかります。

費用が払えるゆとりのある人たちに限られているのですが。

もっともすぐ簡単に別れられるのではなく、東慶寺内にある御用宿でお役人が夫、妻、双方の証人の話を聞き調べたうえで駆け込みOKかどうかが決まります。

御用宿のものがこのお調の内容をすべて書き取っておくのです。

主人公の信次郎は御用宿の居候でお調の書記のようなことをやりつつ、医者の見習いでありかつ滑稽本の作者、どちらも中途半端なままで周りからどちらにするかそろそろ決めたらどうだと言われている飄々とした雰囲気の好青年。

女性たちはいろんな理由から夫と縁を切りたいと駈け込んできます。

信次郎さんは話し上手で聞き上手、女性たちが安心して気持ちを打ち明けられる人柄、洋ちゃんにピッタリかもしれません。

互いの言い分を聞いて離婚か離婚できないか公平な立場の第三者を話し合う、家庭裁判所のようなシステムがお江戸にあったとは、今と変わらないですね。^^




藁の楯

2014-10-08 23:15:01 | 読んだ本
木内一裕著 講談社。

映画化されましたが私は観ておりません。

三大新聞紙の一面に殺害依頼の広告がドカーンと載り、お礼として十億円お支払いたします。
蜷川隆興。

世界に冠たる家電メーカーに一代で押し上げた創業者。
資産数千億ともいわれています。
その彼の孫娘が清丸国秀という男に無残に殺害されました。
捕まって裁判にかけられても懲役十年ぐらいで出所となるのが許せなくこんな広告を出したのです。

清丸を殺害するためならお金はいくら使っても惜しくないとあらゆるところにばらまいて自分の依頼を実現させようとします。

そんなことをしては法治国家としてのメンツが立たずと、警察は清丸を逮捕し、無事に警視庁まで移送しなければと蜷川VS警察のせめぎあいが始まります。

清丸はかくまってくれていた仲間がお金に目がくらんで殺されそうになり、身の危険を感じて自ら出頭しますが、留置所でも命を警察官に狙われることに。

そんな清丸の護衛にと任命されたのがいつもはVIPを護衛するSPと呼ばれる警視庁警護課の銘苅、後輩の白岩、捜査一課の奥村、神箸、福岡県警の関谷の五名。

お金に目がくらんだ一般市民、賞金稼ぎ的なアウトローな人間、そして警察内部までもが敵。

なぜか追っ手を振り切っても彼らの居場所は蜷川に把握されて日本中に公開されている。

一緒に移送する五名の中に裏切り者がいるのではという状態。
ものすごく緊迫感がありました。

清丸というのが銘苅いわく人間のクズだけど殺されていいということにはならないと思っているのですが、あまりのクズさに真っ当な気持ちもグラッと傾いたりするわけです。

十億というのは人間の良心を狂わせる金額なのでしょうか?
一億二億ぐらいでは刑務所に入ったらどうなるのか?と躊躇しますが、十億だったら何年か刑務所入っていてもやり直せそうな金額に思えるんですね~。

銘苅と後輩の白岩のやり取りで「じゃあお前、清丸を殺そうと思ってるの?」「思ってないですよ!そりゃ十億にはちょっとそそられますけど、人を殺して十億手に入れても幸せになれなさそーだし。」その通りだと思うんですがやっぱり目の前に十億ド~ンと積まれてそういえるかな。

もし十億もらえたら今度はその人が日本中から追い掛け回されて清丸と同じ立場になると思うんですが。

そこまでは皆考えていなのですね。

作者の木内一裕さんは漫画を描いてらっしゃったのですが、最近漫画連載していないなあと思ったら作家になっていたとは。

びっくりでした。








パンとスープとネコ日和

2014-09-06 22:34:01 | 読んだ本
群ようこ著 角川春樹事務所。

今日のLIFE~夢のカタチ~は月二回だけ開店するスフレパンケーキの美味しいお店。

この小説も亡くなった母のお店を受け継いで自分のお店を開いたアキコさんと彼女の家族ネコのたろちゃんとの暮らしを描かれています。

LIFEのお店はいろんなスフレパンケーキが楽しめるお店に対してアキコさんのお店はサンドイッチとスープ、そしてサラダの一品のみ。

すべて従業員のしまちゃんと2人だけで一から手作りなので多くは作れず売切れたら閉店。

サンドイッチのパンがバゲット、ベーグル、リュスティックから選べるのですが、コーヒー、紅茶はお向かいに喫茶店があるためお客様に出せません。

この2つのお店が似てるなあと思うのは自分がこれはいいと思うもの材料にこだわり、そして一からすべて自分のお店でこしらえること、そして方針がブレないところ、だから月二回だけの開店でも、売り切れ御免でも足を運んでくださるお客様がいらっしゃるのです。

昔ながらの商店街でのお店の経営というのはご近所さんや母の代からのなじみのお客様に気を使ったりと料理以外にも大変なことがあります。

そんなアキコさんをいやしてくれるのが開店前にお店の前で拾ったネコのたろちゃんです。

この子は招き猫だわと言われて自分ちの子にしてしまったアキコさん。

食べ物をあつかってることもあり部屋から外に出せず家猫状態、本来ならば外にお散歩にも行きたいでしょうが最近の事情を考えますと猫ちゃんには住みにくい世の中になってるかもしれませんね。

それでもアキコさんの愛情を一身に受けているたろちゃんは幸せな猫ちゃんだと思います。

反対にたろちゃんから元気をもらってるアキコさんいい関係です。^^

これはWOWOWでかもめ食堂のチームが小林聡美さんの主演でドラマになってるんですが、我が家は観れなかったのです。(T_T)

フードコーディネーターが飯島奈美さん、きっと美味しいサンドイッチとスープが登場したのでしょうね~。

いつかドラマも観てみたいです。^^


ロング・グッドバイ

2014-08-25 22:56:25 | 読んだ本
レイモンド・チャンドラー著 村上春樹訳 早川書房

今年の春のドラマでNHKで放送された日本を舞台にしたロング・グッドバイが出演者、小道具、衣装にいたるまですご~く気合入ったドラマだなあと思ってい観ていました。

BARのカウンターでスーツをビシッと着こなした探偵が煙草を吸いながらお酒を飲むシーンがカッコよくてこれはオトナのためのドラマだわ~と。

法でもお金でも権力にも動かされず自分のルールで動く、かっこいいけれど関係者からみたらちょっと面倒くさい人間、これが探偵。

このフィリップ・マーロウが日本の探偵ドラマにすっごく影響を与えてるんですね~。

同時期に他局で放送されていたリバースエッジ大川端探偵事務所もその雰囲気はありました。

酒とたばこは必需品、いくらお金を積まれても、拳銃で脅かされても自分が気に入らなければ引き受けない。

なぜそんなに強いハートを持てるのか?

一人だから束縛がなくて自由だからなのかなあと。

ある事件で政財界の黒幕からプレッシャーかけられたり、警察から探偵の免許を取り上げるぞと脅されたりしても自分一人ならなんとかなるわけでマーロウは恐れてはいません。

失うものがないというのは逆にマーロウは相手にとってはやっかいな人ですね。

そんなマーロウが守りたかった、友人テリー。

2、3度一緒にお酒を飲んだだけで相手のこともよく知らない、テリーは飲んだくれてどうしようもない人なのにどこに惹かれたのか?

彼のためにマーロウはいろんな方面から責められて大変な目にあいます。

一緒にお酒を酌み交わしただけで相手のことがわかってしまうんでしょうか?

あまり飲めない私にはわからない世界です。

話の本筋とは外れているのですが、これが出版されたのが1953年、マーロウが借りている小さな一軒家には、TVもあり、電気冷蔵庫もあるのです。

その時の日本は一家に一台TVもないし、冷蔵庫もまだ電気じゃなくて氷で冷やしてる冷蔵庫がほとんどだったはずです。

やっぱりアメリカってすごかったんだ~~と感心しちゃいました。

訳者あとがきの村上春樹さんのこの作品に対する思いが40ページも使って書かれていてこんな長いあとがき読んだの初めてでした。








かばん屋の相続

2014-08-23 00:06:43 | 読んだ本
あの「倍返しだ~~!!」を流行らせた池井戸潤著 文春文庫。

銀行とその周囲の人々を描いた短編集です。

題名になったかばん屋の相続は題名を見てこれってちょっと前に巷をにぎわせた有名なかばん屋さんのこと??
と思ったらどんぴしゃりでこれってそのままじゃあないの~~。

いいのかなあ~~。これが真実ではないだろうけどそういう感じだったみたいなことをあちこちで書かれてました。

ネタ元になってるかばん屋さんはすべてハンドメイドちょっとお高いですが、一つは持っていたいなあという私たちの間ではあこがれのお店だったので騒動が報道された時はどうなるの??買いに行けなくなるの?と話題になりました。

お店はすぐ騒動も収まって今まで通りで良かったね~とまた今度お店行こうねとまたが話に花が咲いたのでした。^^

人のお商売を外から見ていたら自分だったらもっと売り上げを伸ばしてやる~とか自分のほうが上手く商売できると思ってしまうんですね。

家業を継ぐのを嫌で出ていった兄が遺言状を楯に自分が社長になる、自分がもっと会社を大きくしてやると意気込んでもそんな簡単にうまくいくわけもなく、従業員の人たちだって一緒に苦労してない人にはついて行かないしで結局会社をピンチに陥れるわけです。

社長になったからなんでも意のままになると思っていたのが仕入先、お得意さんから総スカンをくらっちゃってというところリアルでした。
会社というのは周りに人たちに支えられてやっていくんだというのを忘れるとこういうことになるんだなあと初心忘れるべからずですね。

他の短編は銀行員の人が倍返しのドラマのようにお金を融資している自分たちのほうがえらいんだ~という感じの悪~い人ばかりでホントに銀行にお金預けて良いのか?とギモンを持っちゃいますが、かばん屋の相続に出てくる信用金庫の人たちはお金より情に厚い人たちでこの方たちなら信用しても大丈夫そうだわと。

大きなお金が動く世界は私にはピンと来ない世界の話ですが、こうやって身近な話題で銀行はどんな立場で接するのかとか、お金がどんなふうに動くのががわかりやすく書かれていました。^^

池井戸さんのドラマまたいろいろ放送されますが人気があるのがわかります。