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金魚cafe

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神々の山嶺

2016-01-06 22:14:47 | 読んだ本
夢枕獏著 集英社


角川さんからだと文庫本は一冊にまとめておられますが、集英社さんは上下巻でした。

蔵之介さんが阿部寛さん、岡田准一さんと一緒に出演される映画の原作です。

エベレストに登るというのはものすご~~くお金もかかるし(登山料だけでとんでもないお値段です)体力、気力と私なんかでは想像できないほど準備がかかりそれでも登れるか?失敗するかというものです。

なぜそこまでして登るのか?がここに描かれています。

カメラマンの深町がエベレスト登山に挑戦しますが、メンバーの2人が陥落死亡で失敗してしまい、失意のうちにカトマンズの街の故売屋で古いカメラを見つけて買います。

売り手はそのカメラの値打ちがわからなかったのですが、深町の興奮具合でこれは金になると深町からカメラを失敬してしまいます。

そのカメラはエベレスト登山で消息不明になったイギリスの登山家ジョージ・マロリーが所持していたカメラではないかと思われたのです。

登山に成功しなかったけれどこのカメラを見つけたことによって注目が集まると思っていた深町は盗まれたカメラを捜します。

そんなところにカメラの持ち主だと主張するピカール・サン(ネパール語で毒蛇)と呼ばれる日本人羽生丈二と出会います。

羽生は日本では有名な登山家でしたが一匹オオカミ的なところがあり、登山のパートナーであった岸が転落死したときに羽生は二人をつないでいたロープを切ったのではないかという噂もありで誰も彼と組みたがりません。

せっかくのエベレスト登山のチャンスも彼は蹴って消息を絶っていました。

その羽生とライバルであったのが蔵之介さん演じる長谷常紀です。

彼は羽生と対照的な穏やかないかにも山の神に愛されそうな雰囲気を持っています。

神に愛されていると言われていた長谷はK2の無酸素単独登頂に挑戦中に雪崩にあい亡くなってしまうのですが、映画の予告編をみると原作と映画とはかなり違うのだなあと

力強い文章にグイグイ引っ張られて読んでいきますと自分も主人公のカメラマン深町誠と登山家羽生丈二と同じようにエベレストに登って行く気持ちになります。

凍結した山壁を登って行くところであまりの険しさに落ちたら一巻の終わりというとこは読んでいたら冷や汗が出てきそうになるし、マイナス40度の世界の表現は顔のあたりがピリピリと痛くなるような感じがしました。

何がすごいってマイナス30度の世界で水は一日4リットル飲まなければならないということです。

それだけ水分が取られてしまって血がドロドロになってしまうそうです。

6000メートル以上になると固形物が食べられる状態ではないのでベビーフードのような流動食を食べるとか荷物はできるだけ軽く、鉛筆は極限まで削り、ノートは表紙も破り捨てて書けるところだけ持ち歩くとか何グラム減らすだけでかなり違うということです。

そして頂上に行けても空気が薄いところなのですぐ降りてこなければならない。

登った人にしかわからない世界があるのかもしれません。

どんなに偉い人でも自分の足で登らなければいけない。

昨日N○Kでエベレスト登山のドキュメント番組をやっていてチラッと見たのですが空の透明すぎる青さと夜の星がえ~~~っこんなにあるの~~!!というぐらいの空を見たらそんな気持ちになるかもと思いました。

一番天に近い場所ですものね。

映画も実際にエベレストに行かれたそうで楽しみです。

紙をつなげ!彼らが本の紙を作っている再生日本製紙石巻工場

2015-11-22 23:44:26 | 読んだ本
佐々淳子著 早川書房

これはABCのアナウンサーで蔵之介さんのトークショーで司会をしてくださっている三代澤康司アナがご自身のラジオの番組「ドッキリハッキリ三代澤康司です」で熱く語っていらっしゃいました。

そのときはまだ書店でも目立つところには置いてなかったような感じがいたしました。

でもそのあと平台にドンと積まれていてPOPもついてあるところから書店員さんもオススメなのだなあと。

買えばよいのですが、本を買いだすとどんどん積んでいっちゃって置くところがなくなってしまうのです。

図書館で半年待ちでやっと借りれました。

読みだすとノンフィクションで硬派な内容なのに結構字が大きくかなもふられていてオトナから子供まで読めるわかりやすさでした。

わかりやすいからといっても内容は濃いです。

まず「8号(出版用紙を製造する巨大マシン)が止まるときはこの国の出版が倒れるときです」と。

あのとき東北にはいろんな日本の生命線を握るような大きな工場がたくさんあったとはその時まで知りませんでした。

紙が無くなるので週刊誌(少年誌など)が出版できなくなるなど言われていたのを覚えています。

それでも本は出版され続けていました。

その陰に石巻でこんなことがあったとはあまり知らされていませんでした。

まず2011年3月11日に日本製紙石巻工場でなにがあったのか?そしてどうやって復興したのかが描かれております。

日本製紙石巻工場は地震発生と同時に社員全員避難したため出社していた人たちは普段から避難訓練を行っていて訓練通りに行動をしたのとリーダ―たちの的確な判断で全員無事でした。

それでも工場は津波に飲みこまれ工場内に瓦礫、近辺の住宅がい紙の原料のパルプがあちこちに流れていきでどうすればいいのかという状態でした。

住むところもない、自分たちの大事な人たちがお亡くなりになった人もいて仕事どころではなかったのです。

それでも半年以内に生産ラインを復興させるという無茶だ~~というのをやり切ったのです。

きれいごとだけではない人の裏表まで書かれていて秩序を持って行動していたというのも表面だけであったのかと、人のいろんな面を見ましたと人生変わっちゃうようなこともいっぱい書いてありました。

仕事をしつつも寝ずの番をする大変さ、現場と営業といつもは相いれないところもあるけれどこのときだけは皆一つになって復興へと進んでいったのです。

頑張って復興しても本の売れ行きは電子書籍に押されて下降しています。

それでも本を読む人のために紙を作り続けていくのです。

この本を手に取っていただけたらわかると思うのですが紙が柔らかくつるんとした光沢があってページがめくりやすいのです。

この本は石巻工場で作られた紙でできています。

冒険者たち ガンバと十五匹の仲間

2015-11-01 17:05:42 | 読んだ本
齋藤惇夫著 薮内正幸画 岩波書店。

映画を観てきたので原作も読んでみようと図書館で借りて来ました。

この本は蔵之介さんが少年のころ感動した本なのです。

結構分厚くて読みごたえあります。

蔵之介さんから本を読むイメージはあんまりないんですが少年時代によくこの長編を読了したものだとちょっと感心。

映画はTVのアニメより原作に近かったですね。

やっぱりガンバの親友はマンプクでしたしガクシャの設定は原作どおり冷静沈着。

あと仲間が15匹、みんな誰一人欠けてはならない仲間たち。



表紙の絵がリアルにネズミでアニメでは人間っぼく描かれています。



宿敵ノロイもなんか可愛らしい。

人間から見るとネズミとイタチが壮絶な戦いを繰り広げていたなんて気がつかなかったでしょうね。

ノロイだってあちこち渡り歩いていたのは自分達が住むところがなくなったのでということもあったかも。

町のネズミと田舎のネズミという物語がありましたが田舎の方がいいと帰って行ったネズミ、今なら町の方が安全というかもしれません。

桜ほうさら

2015-10-25 23:04:21 | 読んだ本
宮部みゆき著 株式会社PHP研究所

NHKでぼんくら2が始まり観る楽しみができました。

感想はまた書けたらいいなあと思います。

深川の富勘長屋で写本作りで暮らしている古橋笙之介、彼は上総の国搗根藩の小納戸役の次男坊。

母の関心は出来が良いといわれる兄勝之介に向けられていますがそれでも優しい父がいたので幸せでした。

ところが父が身に覚えのない賄賂の疑いをかけられ証明しようにも本人の筆跡の証文が突きつけられては弁解もできず切腹、お家は断絶のピンチ。

父は罠にはめられた原因は江戸にあるということで父の疑いをはらすよう密命を受けて貧乏で薪が買えない住人が塀まで焚きつけにしてしまう丸見えの長屋で暮らすようになりました。

それでもそこから見える一本の桜を眺めるのが楽しみというのんびりした気性で長屋の人たちとも仲良く暮らしています。

その桜の下にたたずむ仕立て屋の和田屋の和香という女性に心惹かれます。

宮部センセーは何不自由ないお嬢さんに試練を与えなくちゃいけないと思ってらっしゃるのか和香さんには人前に出られない理由があり笙之介との恋もなかなか進展しません。

そしてお得意のもつれにもつれた糸を解きほぐして真相にせまっていく。

兄勝之介は母の期待に添うように必死な自分に比べてのんびりしていて父親と長屋の皆から愛されてる弟がうらやましかったのではないだろかと。

兄弟でも平行線のまま、いつかはわかり合えるといいのですが、古橋家が望むような結果にはならなかったけれど桜の木を眺めて楽しめる幸せはつかめたのかなあと思いました。

宮部センセーの小説を読むと毎日元気に働けて美味しくご飯をいただけたらそれが一番幸せなのだとそんな気がいたします。

桃ノ木坂互助会

2015-10-03 00:43:58 | 読んだ本
川瀬七緒著 徳間書店

本の表紙がアップできなかったのですが、色とりどりの野菜を家に見立てた可愛い表紙で桃ノ木と題名なので可愛らしい内容なのかなあと思ったら違いました。

川瀬センセーは昆虫学者を主人公にしたミステリーを書かれていてそれが昆虫の生態を詳しく描きすぎていてちょっとグロテスクな描写もあるのです。

そのセンセーがカワイイ表紙の本だからといってほのぼのしたストーリーなわけがなかったのでした。

横浜埠頭の近くの桃ノ木坂町の町内に住む光太郎、清司、と紅一点の菊美は幼馴染の70代。

ずっと生まれ育ったこの街も古い家が取り壊されてマンションになったり、新しい住人が入ってきたりで昔の風情がなくなって古い住人と新しい住人とのトラブルも起こってると嘆いています。

昔から住んでいる老人が有志であつまって桃ノ木互助会というのを結成して町の清掃や登校下校のの見守りなど活動していますが、それは表の顔で実は裏では町内の面倒な人たちを必殺仕事人のごとく退治していました。

こう書いたらよく似た「3匹の~~」というのもありますが、あちらはスカッと勧善懲悪で爽快感があります。

こちらはキヨ、シゲ、ノリのおっさんよりも10歳上なのであんなに若者相手に腕っぷしでは勝てません。

ゴミを不法に捨てる人や町内のお店でトラブルを起こす人、老人、子供を威嚇するような警察のお世話になるところまではいかないけれど悪の芽は早く摘むに限ると法律スレスレの嫌がらせをして町から出ていかせているのです。

80歳の老人が経営しているアパートの家賃を踏み倒して乱暴する男性が次のターゲット。

いつものように退治してくれようとしたらなぜか上手くいかず反対に脅される始末。

そして別の人間が怪しい動きをしている。

何が何だかわからず警察にまで嫌がらせはやめなさいと怒られて何かがおかしいと桃ノ木互助会はさぐろうとするのですが。

自分たちが生まれ育ったところが再開発のため町の面影が無くなってしまう。

一番の寂しいのはやっぱり人なんでしょうね。

生まれた時から知ってる人たちだと何も言わなくても何を考えているかとかわかるわけですが、新しく越してきた人たちとのコミュニケーションが取れない。

新しく越してきた人も何年かしたら古い住人になるわけでまたコミュニケーションで悩むのだろうなあと。

いざという時は皆さん協力しないといけないんでコミュニケーションは大事ですね。^^