ひっそりと京都の北、大原の里の片隅に寂光院がある。
聖徳太子が父の用命天皇の菩提を弔う為に建立されたという。
かつて、平家が壇ノ浦で滅亡したとき、海から救い上げられた建礼門院が、ここで平家一門と我が子の安徳天皇の菩提を弔って、天寿を全うした地である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/08/42789e0898e8423fc1d8c79a8d67cbd2.jpg)
寂光院への門扉には菊の葉と花が一緒になった紋が付いている。建礼門院の標しだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/a3/f6a24b419b695528784c4e9ba75d3be7.jpg)
この家紋は抱き菊と言うのだろうか。普通は菊の葉が花を取り巻いているのが多い。菊の葉に乗る菊の紋は、建礼門院のものだろう。軒瓦にも抱き菊が付いている。
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本堂に行く石段の途中に、茶室への門がある。
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屋根の上は苔が密生していて下の屋根が見えない。門の框に「孤雲」と門札がある。
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池には睡蓮が植えられており、岸辺から鬼百合の朱色の花が垂れ下がっている。8月というのにこの紅葉は色づいている。静寂が支配する山ふところである。
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寂光院の山門は、豊臣秀頼の寄進によって、再建された当時のままの姿を残す。
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再建なった美しい桧皮葺の大屋根が光る。この本堂は、平成12年(AD2000)に火災にあった。白灯油で火をかけたという。
平家物語の潅頂(かんじょう)の巻の「大原御幸(おはらごこう)」から、寂光院の風景を書いた部分を抜き書きします。
「庭の若草茂り合ひ、青柳糸を乱りつつ、池の浮き草、波に漂ひ、錦を晒すかとあやまたる。
中島の松にかかれる藤波の、裏紫に咲ける色、青葉交じりの遅桜、春の花よりも珍しく、岸の山吹咲き乱れ、八重立つ雲の絶え間より、山ほととぎすの一声も、岩の絶え間より落ち来る水の音さへ、由ある所なり。」
(庭の若草もよく茂って緑が濃くなり、庭の中島の柳の枝も緑になって糸のように垂れ下がり、池に浮かぶ浮き草は池の波に漂って、ちょうど染めた布を水に晒しているのと見違うほどである。
中島の大きな姫小松に藤の枝が巻き付いて紫色の花を咲かせている。また、遅く咲いた桜の花が緑の葉の中に交ざっているのは春の桜とはまた違った風情である。
岸辺には山吹の黄色の花が咲き乱れ、山に次々と湧き出す雲の中から聞えてくる山ホトトギスの鳴く声も、庭の池に落ちる三段の滝の音を聞くにつけても、この土地は趣きのある美しい場所である。)
七五調で語られる平家物語の名調子は、この庭を、平家物語に合わせて作り上げたかとも思われるほど、見事な表現である。
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樹齢数百年の姫小松も、本堂の火災によって枯死してしまった。
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焼失前の本堂である。古色がいいか、新本堂がいいか。
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庭の西方に門が見えている。この門を出るとすぐに、建礼門院の隠棲した御庵室があった。現在は、その場所に遺跡の碑が建っている。
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左:諸行無常の鐘は無断で打ってはいけません。
右:庭の一隅にあった立札は、この寂光院門主智光作詞と書いてある。
聖徳太子が父の用命天皇の菩提を弔う為に建立されたという。
かつて、平家が壇ノ浦で滅亡したとき、海から救い上げられた建礼門院が、ここで平家一門と我が子の安徳天皇の菩提を弔って、天寿を全うした地である。
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寂光院への門扉には菊の葉と花が一緒になった紋が付いている。建礼門院の標しだろうか。
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この家紋は抱き菊と言うのだろうか。普通は菊の葉が花を取り巻いているのが多い。菊の葉に乗る菊の紋は、建礼門院のものだろう。軒瓦にも抱き菊が付いている。
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本堂に行く石段の途中に、茶室への門がある。
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屋根の上は苔が密生していて下の屋根が見えない。門の框に「孤雲」と門札がある。
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池には睡蓮が植えられており、岸辺から鬼百合の朱色の花が垂れ下がっている。8月というのにこの紅葉は色づいている。静寂が支配する山ふところである。
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寂光院の山門は、豊臣秀頼の寄進によって、再建された当時のままの姿を残す。
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再建なった美しい桧皮葺の大屋根が光る。この本堂は、平成12年(AD2000)に火災にあった。白灯油で火をかけたという。
平家物語の潅頂(かんじょう)の巻の「大原御幸(おはらごこう)」から、寂光院の風景を書いた部分を抜き書きします。
「庭の若草茂り合ひ、青柳糸を乱りつつ、池の浮き草、波に漂ひ、錦を晒すかとあやまたる。
中島の松にかかれる藤波の、裏紫に咲ける色、青葉交じりの遅桜、春の花よりも珍しく、岸の山吹咲き乱れ、八重立つ雲の絶え間より、山ほととぎすの一声も、岩の絶え間より落ち来る水の音さへ、由ある所なり。」
(庭の若草もよく茂って緑が濃くなり、庭の中島の柳の枝も緑になって糸のように垂れ下がり、池に浮かぶ浮き草は池の波に漂って、ちょうど染めた布を水に晒しているのと見違うほどである。
中島の大きな姫小松に藤の枝が巻き付いて紫色の花を咲かせている。また、遅く咲いた桜の花が緑の葉の中に交ざっているのは春の桜とはまた違った風情である。
岸辺には山吹の黄色の花が咲き乱れ、山に次々と湧き出す雲の中から聞えてくる山ホトトギスの鳴く声も、庭の池に落ちる三段の滝の音を聞くにつけても、この土地は趣きのある美しい場所である。)
七五調で語られる平家物語の名調子は、この庭を、平家物語に合わせて作り上げたかとも思われるほど、見事な表現である。
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樹齢数百年の姫小松も、本堂の火災によって枯死してしまった。
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焼失前の本堂である。古色がいいか、新本堂がいいか。
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庭の西方に門が見えている。この門を出るとすぐに、建礼門院の隠棲した御庵室があった。現在は、その場所に遺跡の碑が建っている。
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左:諸行無常の鐘は無断で打ってはいけません。
右:庭の一隅にあった立札は、この寂光院門主智光作詞と書いてある。