肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ダーク・ウォーター』、観ました。

2005-11-16 20:38:05 | 映画(た行)






監督:ウォルター・サレス
出演:ジェニファー・コネリー, アリエル・ゲイド

 『ダーク・ウォーター』、映画館で観ました(ネタバレあり)。
離婚後、新たな人生を踏み出すため、ダリアは6歳の愛娘セシリアとともに、
ニューヨークの外れのルーズベルト島のアパートに移り住むことになった。
しかし、部屋の天井に広がる黒い染みや、階上から聞こえる足音に不安を
感じたダリアは、次第に偏頭痛に悩まされ、悪夢を見るようになる‥‥。
 『セントラル・ステーション』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』の監督さん、
あのウォルター・サレスが、ただ“怖いだけのホラー”なんぞ撮るはずないと
思ったが、さすが並のヒューマンドラマよりも濃ゆい“母娘の絆”に、ジーンと
感動‥‥。特に、子供を持った経験のあるママさんには、是非ともオススメ。
観ながら、自分の子供の場合と置きかえて、“ヒロインの決断”に最後は
号泣しちゃう人も多いのでは??
 さて、本作は「ホラー映画」と言っても、“ショッカー(演出)”は無し、“CG”も
一切封印して、ひたすら“母娘の絆”に絞って描いている。子を想う母の愛情と、
母を慕う子の気持ち‥‥、その両者は片方だけが強過ぎても、片方だけが
弱過ぎても、決して成立しない。両者が求め合い、助け合ってこそ、本当の
“母娘の絆”となって成り立つんだよ。結局、この映画で、屋根裏を伝い、
天井から滴(したた)り落ちてくる“黒いしずく”は何だったのか??、ボクは
思うんだ、きっとそれは父に置き去りにされ、母に見捨てられ、死んだ少女の
“悲しみの涙”だったんだと…。その一粒一粒が、観ているボクの心に、
黒く静かに染みてくる。そして、その“悲しみ”は行き場もないまま、霊となって
この世を彷徨(さまよ)い続けていたんだね(涙)。
 だが、ここではその“死んだ少女の悲劇”の背景に、“もう一つの家庭問題”が
描かれているのを見逃してはいけない。それは、主人公ヒロインとその夫との
離婚問題だ。互いの主張だけを言い合い、“離婚”という親の都合によって
引き裂かれる子の気持ち…。挙句には、それが醜い“親権争い”にまで発展する。
まず、第一に二人は“子の幸せ”を考えなきゃいけないはずなのに‥。これは
「ホラー」という“超常的”なジャンルの映画でありながらも、実は幼児虐待や
離婚問題など、現代の“日常的な家庭問題”を扱った映画なんだと思うよ。
 ラストシーンは、子を見守る母の姿‥‥残酷な結末だが、不思議とボクに
後味の悪さはない。母の強さ??…いや、違う。“母の愛の深さ”が胸に残った。

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