肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『仄暗い水の底から』、観ました。

2005-11-27 21:07:07 | 映画(は行)
仄暗い水の底から

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 『仄暗い水の底から』、観ました。
離婚して娘との新しい生活を始めた淑美だったが、新居に定めたマンションでは
怪奇現象が起こり、娘に奇行が見られるようになる。一連の現象が母娘の絆を
揺さぶり始める‥‥。
 早速言わせてもらうと、只今公開中の『ダークウォーター』は、“ホラー”
というジャンルの枠を超え、母子愛を描いた“女性映画”の傑作だと思ってる。
ならば、そのオリジナルである『仄暗い水の底から』は如何なものか‥‥、
そんな思いで観たのであるが、やはり勝敗をつけるなら、圧倒的にリメイク版。
でも、オリジナル版を観れたことで、改めて『ダークウォーター』の良さを
再確認出来たところもあって、これはこれでなかなか良かったです。
 さて、この新旧の2作品を観て思うのが、その“恐怖”の根幹には、母が
我が子を想う“愛情”と、その愛に飢え、死んでいった少女の“深い悲しみ”が
あるんだってこと。ひとつ残念なのは、リメイク版ではその両者のバランスが
うまく保たれているのに対し、このオリジナル版では“母の愛”は感じても、
少女の霊を“グロ”として描いてしまって、“少女の悲しみ”までは届かない。
その比重の置き方によって、少女への「憐れみ」と、「同情」と、「母性愛」と…、
終盤に訪れる“母の決断”シーンの感じ方が、全く違ってくるんだよね。
まぁ、それは単純に、中田秀夫監督とウォルター・サレスの“演出力の差”、
強いては黒木瞳とジェニファー・コネリーの“演技力の差”でもあるんだけどさぁ。
それから、ラストシーンにしても、リメイク版の方がスッキリまとまっていて…、
そうだなぁ、イメージ的には“未来に広がっていく感じ”。ボクはリメイク版を
オススメするね。
 ただ、このオリジナル版にも良いところはあって、必要なキャラとそうでない
キャラとの色分けがハッキリとして、人物設定も分かり易く整理してある。一方で、
リメイク版は意味がありそでなさそなキャラが若干(?)あったように感じました。
まぁ、好き嫌いは別にして、この機会に見比べてみるのも楽しいと思うよ。