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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

瀬尾まいこ「おしまいのデート」

2012-03-17 | 小説
いろんな形の「デート」、あります。
待ち合わせが生み出すワクワクする気持ち、楽しいひととき、別れる時のちょっとした切なさ。

祖父と孫、元不良と老教師、特に仲良くもない同じクラスの男子同士、協力して一緒に公園で犬を飼うOLと男子学生。何気ないのに温かい人と人のつながりを軽やかに描く、5編収録の作品集。
 
いわゆる恋愛中の男女のデートではなく。
人と人二人で会って過ごす時間。時間を待ち合わせ。約束の相手と過ごす。心優しき時間。どれも温かく包み込まれるような瀬尾さん独特の人間模様に心和まされる。
 
出会いもあるけど。終わりもある。「ランクアップ丼」は、本当に終わってしまうデートを描いているだけにちょっとせつない。
 
表題の「おしまいのデート」は。離婚した親をもつ子とおじいちゃんの交流。かなり微妙な関係だと思われるが。今は、おしまいのデートとなっても、いずれ時が経って、大人になったら。またデートしてほしいなあと思った。新しい家族の弟の実君の登場も、やさしい気持ちにひたれる。
 
最終話「デートまでの道のり」。きかん坊のカンちゃんが、大好きなのは先生だって。みんな知っているのに当のせんせいだけは。懐いてくれないと困惑している。よくありがちなテーマだけど。ほのぼのして。良いです。最後にカンちゃんが先生にデートの誘いをするところはほんと。可愛くてたまらないです。
 
それにしても、すべてがアットホームでほんわかして心地よい作品。
小説って、読んだ後、幸せを感じるものがやっぱり良いわ~としみじみ…。
 
最近、難しい本は読みたくなくなって。ひたすら。心優しき温もりを感じたくなるのは。何故だろう。
時代のせいかしら。年のせいかしら。
東日本大震災を経て、また真っ暗闇な日本経済まっしぐら。超高齢化年金問題。。
でっかい夢より、小さな幸せ。
生きているだけでも幸せなんだなあ。
という感覚にはまっているのかもしれないです。
マズローの欲求でいえば、かなり低めの土台辺りで満足できるのかもしれない。


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