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誉田哲也「武士道セブンティーン」

2010-02-02 | 小説

早苗は成績重視・結果主義の剣道強豪高へ、香織は個人主義から部に忠義を尽くし始める。ふたりの武士道の時代(研究中)が幕を開けた?。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、正面打ち二本目

~わたしたちは、それぞれ別の道を歩み始めた。でもそれは、同じ大きな道の、右端と左端なのだと思う。その道の名は、武士道。わたしたちが選んだ道。わたしたちが進むべき道。果てなく続く、真っ直ぐな道。

二年になり、福岡に転校した早苗。だけど、強豪校に転校したことも剣道をやめるって、別れ際に香織に告げる…。「戦友だった。あの人は、同じ気持ちで、同じように前を向いて、一緒に戦ってくれた、たった一人の、同志だった」と別れて気づく。

一方、先輩となって、後輩の田原が懐き、鍛える香織。ちょっと性格丸くなったかな。時々、早苗のこと思い出しては…。「離れても思い合う心。素敵じゃない。 」と河合先輩に見抜かれて。

香織の成長ぶりが、惚れ惚れする。~すべてが丸く収まるということは、誰も誰かを恨んではいけないということでもある。それはそれで苦しいものだ。憎まれっ子は、一人くらいいた方がいい。と、ミーティングでの発言。対する先輩たちの意見も。一人一人のそして皆の心が繋がる。

まずは観る。観の目を強くし、見の目を弱くする。一歩引いた視点から、目に見える動きだけでなく、相手が放つ気も含めて、全体を観るのである。~決して心は動かさない、動かさず、それでいてどこにもつけない。いつでも動ける。でも動かされない。そういう心で、相対する。

距離が縮まった父の言葉。武士道~義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義、克己…。世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らない。日本人なら誰の心の中にもあって、ふとあるとき気づいたり、合点がいくものなのかなあ。と

心の中で、呼びあう。早苗と香織

早苗は新しい環境で、同化と分離。敵対と共闘。引き裂かれる、心と思考。いま誰と共に戦おうとしているのか、心を寄せるのは、敵は?目の前に立ちはだかるのは、一体何ものなんだろう。福岡弁で話すとき、意志を持っている、自分に気づく。

再会。がいい感じだ。正反対な二人。この二人を繋ぐのは武士道。戦い方も全く違うけど。

早苗の姉も、高卒で社会の荒波に揉まれただけあって、たまには姉らしく…「正しい論理とは、誰にでも分かるように、ごくシンプルなものなんだ」悩める妹への一言。

警官である香織の父。「武者の生業は戦うこと。武士の生業は、戦いを収めること。武士の戦いの目的。いくつ勝ったかより、1つ1つの戦いをどう収めたかを重視する」

ほか、たつじい。桐谷先生。吉野先生。彼女らの成長に多大なる影響を与え、支えてくれる大人たち。

弱気な早苗に、励ますのではなく。「武士道だろうが。忘れんなよ。武士道があるから、剣道は剣道なんだろうが。武士道がなかったら剣道は暴力になって、スポーツにだって、簡単にかわっちまうんだよ。分かるだろう。それっくらい。なあ。しっかりしてくれよ、早苗っ。」「お前はあたしに二度も勝っている。一度は黒岩もあたしに勝ってっけど、奴の剣道があたしのより上だとは今も思っていない。あたしは認めない。あたしが認めているのはお前だよ。お前の剣道だよ。お前なら勝てる。黒岩に、絶対に勝てる」う~んここ。さすが香織。あなたはできるって人から心から、告げられた早苗の孤軍奮闘ぶりも、応援したくなる。

香織と父の実社会での武士道。も。ハラハラものです。

武士道において、なすべきことはただ1つ。戦いを収める。相手を殺さず、暴力のみを、封ずるのだ

「剣道は、どこまでいっても…路上でやっても、防具がなくても、心に武士道が在れば、武道たい。暴力に成り下がってはいけんし、暴力に屈してもいけん。剣道は、武道は、武士道は相手の戦闘力ば奪い、戦いを収める。そこが終着点たい。相手の命も、自分の命と等しい、たった1つの命…。試合や稽古で相手をしてくれるのは敵ではなか。恒に、同じ道を歩む、同志たい。やけん礼に始まり、礼に終わる。そういうこったい」「剣道は、斬り合いや、殺し合いのためにある技ではなか。おまえ達の剣道は、誰も殺さんですむように、誰ひとり傷つけんですむように、そういう社会を築いていくために、生まれてきた技たい」吉野先生の言葉

しかし…日舞の早苗。黒岩に勝つとは。恐るべし。

一方まさかの早苗に負けた黒岩レナの成長も気にかかる。

~果てしなく続く、真っ直ぐな道。そしてまたいつか、共に歩むべき道。

あ~エイティーンが楽しみだ。

スッキリと気持ちのよいマンガ風?スポ根ものもの。清々しくって。いいです。 



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