そこへ行けば、救われるのか。富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、前世を信じる女の黒い夢、一家心中で生き残った男の記憶…光と望みを探る七つの傑作短篇
森の奥~富士の樹海での自殺未中年男と謎の男
遺言~同性愛者の純粋な恋愛の過程。と貫いた人生へ。二人だけの世界。残すことば。
初盆の客~ウメばあちゃんの不思議な体験と二人の夫。家族への想い。と子どもたちの温かな想い。
君は夜~夜(夢の中)と昼。現実が交差し、夢の中の衝撃的な結末は、現世にも巡る。
炎~謎に包まれた。憧れの先輩の自殺の真相。
星くずドライブ~事故でなくなった彼女の霊が見える男。の一生は?
SINK~一家心中で生き残った少年のトラウマ。
7編の短編はすべて、死に繋がる物語。表紙も暗いが、内容も…。ブラック感たっぷり。生きるということと背中合わせの死。死が生と混じり合って…。どっちを生きているのか?分からなくなる不安を感じる。人は死んだら、どうなるのでしょうね。
いま、生きているこの時に、意識的に死を選ぶということは?エゴだと思う。残された者の深くのしかかる想いの重苦しさ。を感じます。
どの短編も、楽しいお話はありませんが。ちょっとやるせない人間の感情や思いがグルグルと胸にとどまります。
三浦さんの新たな作風を感じますが。文楽好きの影響があるのかな。心中とか、自殺。不慮の事故などの死にまつわるモチーフをその背景。人情味な盛り込んで。短編につぎ込んだという感があります。