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スペンサー・ジョンソン「チーズはどこへ消えた?」

2010-01-11 | 新書・社会
変化は吉にも凶にもなり得る。それはあなたの考え方次第である。本書は、「チーズ」の本質とそれが人生で果たす役割を理解すれば、誰しも変化をありがたく思うようになるだろう、と呼びかける。

これは人生を迷路になぞらえた寓話。

そこには4つの生き物が暮らしている。

スニッフとスカリーはネズミ。分析力も判断力もないが。 スニッフは、いちはやく変化をかぎつけることができる。スカリーは、すぐさま行動を起こす。チーズを求め、手に入れるためならどんなことでもしようとする。

ヘムとホーは「小人」の人間だ。彼らのチーズに対するかかわり方は、ネズミたちとは違う。2人にとってチーズは単なる食べものではなく、自己イメージだ。彼らの生活や信仰のシステムは、見つけたチーズを中心に形成されていく。

ヘムは怯えて変化を認めず、変化を嫌いいつまでもそこにとどまり衰弱する。ホーは、このままじゃ駄目だと悟り、もっといいことがあるに違いないと、変化への対応を努力する。

どのような行動をとろうと、私たちみんなに共通していることがある。

迷路の中で、自分の道を見つけ、時代の変化の中で、望みを成就せねばならないと言うことだ

この物語の中のチーズとは、我々の生活手段、たとえば仕事や職歴、仕事で携わっている産業に関係があると、気づくはず。そればかりでなく、チーズは健康から人間関係にいたるまであらゆるものの象徴と受け取れる。

「我々はいつもチーズの変化に敏感でなければならず、チーズがなくなったときに新しいチーズを求めてすぐさま行動を起こせる姿勢でなければならない。」

   ドクター・ジョンソンは多数の著書を持ち、『The One Minute Manager』の共著者でもある。この寓話は、変化を恐れたり反発したりする人々がいそうな場所、たとえば企業、教会団体、学校、軍隊組織などに向けて発信されている。分析好きで懐疑的な読者のなかには物語が単純すぎるとする向きもあるだろうが、本書の素晴らしさは、94ページ足らずで万物の変遷の歴史をまとめ上げてしまった点である。物事は変化する。これまでもそうだったし、これからもずっとそうだ。そして変化への対応方法が人それぞれ異なる限り、変化に気づかないふりをしている者はいつも同じ目をみることになる。…チーズがなくなる、という憂き目を。

寓話の後に対談が載っているが。

一概にネズミのように行動するのが良いと言うわけでもない。

4登場者の。全てに。当てはまることが一人の人間に備わっていると思うし。総合的に、バランスよく、物事を多方面から考え、行動できると良いのだと思う。

ただ、ヘムのようになってしまっては、行き場が無くなります。そういう人間は結構多いと思うし、考え方が固執して意固地になった人間ほど、悲しいものは無い。衰弱していくヘムは、もう誰の言葉も信じることができず。過去にすがるだけなのだ。

ホーが、恐怖に怯えながらも、1つ1つ探し、さまよう姿は、最も人間らしい行動であるし、変化に対応できない相棒のヘムのことをいつも、思っていることも。じーんとくる。

自分を幸せにしてくれるのは、ただチーズを手に入れることでない。と分かったことは嬉しかったと。新しいチーズをヘムに届けても、かれは喜んではくれなかったが。それでもなお。そう思える。ヘムが素敵だと思った。

対談では。仕事以外に、私生活にも、例えられるが。二人の中を、かなり古いカビが生えているチーズと捉え。駄目になった関係に見切りをつけることではなく。古いチーズはこれまでの行動の意味であって。本当に捨てる必要があるのは、関係を悪化させている行動であり、より良い考え方、ふるまい方がチーズと捉える。

新しいチーズは、同じ相手との新しい関係。

つまり関係に見切りをつけるのではなく、これまでも行動を改めること。

ふるまいが変わらなければ、結果も変わらない。ということ。

社会で、会社で、人間関係で、ひとりひとり価値観が違うと思うが、何をチーズと捉え、その変化への対応について、つねに敏感に感じ取り。

変化を恐れず、行動を楽しむ。深刻に考えすぎず、自分と自分の行動を笑えるようになると、状況は好転し、いつか探していたものが見るけることができるのだと思う。



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