赤い水性の部屋

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課題曲2017

2017年02月12日 | Weblog
 全日本吹奏楽コンクールの今年の課題曲を合奏してみました。課題曲自体は2月に入って届ていたのですが、日々の活動や宿泊を伴うリーダー研修会、個人重奏コンテストなどが続いていましたので、本日、5曲とも演奏してみました。それぞれの曲の感想や気が付いたことはまた改めてということで、今回はそれぞれの印象と毎年のことながら、個人的に思うことをまとめてみようと思います。

1.スケルツァンド/江原大介
 音楽用語的には「戯れるように」ということですが、拍子の変化とアーティキレーションによるアクセントの位置、スラーの処理など、きっちり細かいことができるバンドが向いていると思います。スコア上では大編成に書かれていますが、楽器の配置がバランスよく、安定した響きが得られる楽譜だと思うので、多くの中学にみられるように、少人数でもしっかりクリアに演奏のできるバンドには、とても向いている曲だと思います。

2.マーチ・シャイニング・ロード/木内涼
 タイトルの通り、軽快で輝かしいマーチです。個々のパートが裸になるような部分がないので、総合力で勝負するバンドに向いていると思います。随所にセンスの良い、素敵な部分が見られ、この曲を選ぶ団体も多いのではないでしょうか?

3.インテルメッツォ/保科洋
 「間奏曲」といえば、カヴァレリアルスティカーナの間奏曲が有名ですが、この曲も作曲者の解説の通り「歌のある曲」で大変美しい曲です。サウンドと音楽性勝負のバンドに向いていると思います。小編成対応の楽器配置となっていますが、1のスケルツァンドの反対で、大編成で、クラリネットなどは3人ずつ!のような充実したバンドが演奏するとより効果的だと思います。大編成の利点はピアノ(弱奏)を作ることができるということだと思っています。

4.マーチ「春風の通り道」/西山知宏
 ゴージャスなサウンドが魅力のマーチ、反面、多くの声部が重なり合い、ともすると打ち消し合ってしまう場合もあるので、バランスをしっかりとるために、引き算の発想で考えていったほうが曲の良さを引き出すことができると思います。そういう意味でも、充実した編成で豊かなサウンドが自慢のバンドで、かつ響きやバランスをコントロールできる団体に向いている曲だと思います。

5.メタモルフォーゼ~吹奏楽のために~/川合清裕
 今年コンクールに臨む高校生にとっては、メタモルフォーゼといえばコチラ。しかし、楽曲のほうはそんな様子は全くなく、大変緊張感の高い、それでいて優美な面のある曲で、『火の鳥』のヴァリアシオンをも思わせるエレガントな曲だと思います。なによりも、スコアのある1ページを額に入れて飾りたくなるような美しさにも目を奪われてしまいます。15/16、9/32など、普段見慣れない拍子で練習を進めるのにやりにくいと思いますが、十六分音符単位で譜割を確認して言葉にしていくなど、地道に読み解いていけば解決できると思います。そして、その作業の向こうに素晴らしい音楽がまだ待っていることを考えると、時間をかけて取り組む価値が十分にあると思います。問題は自由曲への労力をどのくらい充てられるかでしょう。十分な練習期間(時間)が必要なのは言うまでもありません。