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『学校:school』

2007年07月10日 | コラム・備忘録





以下は当教室の今月号のメルマガに、私が投稿した教育コラムです。

 よろしければお読み下さい。


 

■■■■■


『学校:School』


とにかく教育を変えたい、学校を再生したいということでしょう。安倍総理大臣が登場して、教育再生会議というものができて以来、教育問題に関して、実にいろいろな動きがあります。

確かに昨年の未履修の問題やいじめの問題など、教育界にはどこから手を付ければ良いのかというほど、まだまだ多くの課題が山積みです。

つい先日も教育再生関連の三法案が可決されました。これによって、学校の先生たちの免許が更新制になり、指導力不足の教員を排除するというのですが、これとてどう運用されるのか、まだ何も解決されていません。

いったい 『学校』 というものに何を求めるのでしょう。理想の学校というのは生徒ひとりひとり、また保護者によってもさまざまでしょうから、みなが納得するような学校像を描くのはひどく難しいと思わざるを得ません。


そもそも学校って何。たまにはそんなところまで考えてみましょう

学校は英語で school。この言葉の語源は、ギリシャ語の “ひま、余暇” です。そう、学校(school) というのはもともと暇な人たちが集まるところでした。日々、宿題や部活動に追われている生徒には意外でしょう。

古代ギリシャで、仕事をせずに学問ができるのは生活に余裕のある人々しかいません。そういう人々が余暇を利用して教養を身につけるためにできたのが school:学校です。

(余談ですが…、そうなると、時々、生徒たちが、塾で出された宿題ができなかった言い訳に使う、“学校の方が忙しくて…” というのは言葉の矛盾ですね(笑)。学校は暇な人が行く所ですから。)


さて、日本でも江戸時代から寺子屋はあったものの、今のように誰でも学校に行けるようになったのは、実は比較的最近のことです。われわれの一世代前、つまり生徒たちのおじいちゃん、おばあちゃんの世代は、家の仕事の手伝いがあるために学校へ行きたくても行けない子供は日本にもたくさんいました。

そういう意味では、現代の生徒たちは、仕事から解放されて学校に行けるだけで恵まれているのですが、では、その余暇を使って、学校で何をするのでしょうか。

今度は日本語の 『学校』 という言葉を見てみましょう。 『学』 はもちろん“まなぶ”こと。そして、“まなぶ” の元の意味は、 “まねぶ”、 つまり “マネをする” ことです。『校』 は “交” という字が示すように、人々が交わるところ。つまり、教える、学ぶ(まねる)の交流の場が学校です。

学習の 『習』 という字も “手本通りにすること” ですから、『学習』 というのは徹頭徹尾、人のものまねをするということ。それによって知識を身に付けるのが学習の目的です。


そうなると学校の先生と生徒の関係が実にわかりやすくなります。生徒たちは “先生のまねをするため” に学校に来る。そのお手本となるべき人たちがいなければ学校は、本来の学校ではなくなるということです。

日々の生活の中で、親が子の手本にならなければならないように、学校の先生方も生徒たちが 『学習』 したくなる手本でなければならない、そういう重い使命が課せられていることがわかります。そのために、みんなの税金でできているのが 『学校』 というものです。

難しい法律や複雑な教育のしくみが次々にできますが、やはりその根本にあるのは、『先生』 であると思います。優秀な若者が “教師になりたい” と思うような改革であること、そして “先生のようになりたい” と思う生徒がたくさん生まれる改革であることを願ってやみません。




◎“先生”というのは単に “先”に“生”まれただけでは務まらないんですね(笑)。もちろん、塾の先生である我々の自戒を込めて…。



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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
先生 (Dan)
2007-07-10 15:25:32
今、先生になりたい方が減ってきているのでしょうか。先生という職業は、それはそれは責任重大ですよね。昔、昔のそのまた昔は、「先生にでもなるか」という頃もあったと聞きますが、自分自身がその職についてみて、生徒の一生を左右しかねないかと思うと、「よし、頑張ってやり続けよう」と思えなかったです。無責任ですけど。主人なんて、「早く辞めてよかったね。被害者を増やさなくて」なんて失礼なことを言いますが、よくよく考えると、う~ん、そうかも・・・なんて。勉強だけを教えるのではなく、そのほかの事が大変ですものね。私と同期の男性教諭は、心身症になり、1年持たずに辞職してしまいました。書き出すときりがありませんが、生徒のことを思って一生懸命しようと思っても、管理職サイドと対立してしまったり、とんでもない保護者があらわれて、無理な要求をしたり。先生って本当に大変!先生を天職と思って、頑張っていらっしゃる方にエールを送ります!
VIVA先生は塾で、キムタツ先生は灘で、ずっと先生で頑張ってくださいね♪
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早々に辞めてしまって、言葉もありませんが・・・ (街中の案山子)
2007-07-10 16:08:08
ずっと続けている中学、高校の同級生は、「あと何年…」と退職の日をカウントダウンしているし、身内の教職についている人も、子供が大学を卒業するまで、との話。
近頃は、ますます先生稼業、やりにくくなったのでしょうか。
子供の生命力を受け止めて、鞴(ふいご)で空気を吹き込むように、ちょっと力を貸す、それが教師の役割、なんていったら、現役のVIVAさんに、甘い甘いとお叱りを受けるでしょうね。
「4年生になったから、ここまで到達すべきだ、中学生だからここまで。そして少しでも早めに習得して、他を先んじようとする。それはおかしい。子供の立場からすると、生まれて10年ここまで伸びた。その子供の目線を意識して育てています」
かつて家庭訪問の担任の先生に、こんなことほざいていた母親です(笑い)。
10歳は10歳。14歳は14歳。その時、その時を満喫して大きくなってほしいものです。
安部首相は「教育政策」で何をしようとしていらっしゃるのでしょう。
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Danさん (VIVA)
2007-07-10 19:33:33
そういえば『でもしか先生』ってありましたね。今は教員志望は減りましたね。これだけ学校の評判が悪いと、よほどの勇気がないと難しいかもしれません。システムも悪いですね。資格は取れても採用がない状態が長く続きましたから、私の知り合いでも、絶対有能だと思う人間が何年も非常勤とかに甘んじたり、塾に流れてきた人がいます。

やっと大量退職という時代になったようですから、今度は一気に採用が増えるかもしれないとラジオで言っていましたが、そうすると質が下がるとか…。難しいですね。

親の要求も多様になってやりにくい面もあるでしょうね。学歴も一世代前よりぐっと上がっていて、若い先生以上に知識も経験もある大人がまわりにいそうですからね。
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街中の案山子さん (VIVA)
2007-07-10 20:01:35
街中の案山子さんも先生でしたか。まいったな、学校の悪口随分書いちゃって…。お許しを

↑で書きましたがそりょあ先生方はやりにくいと思いますよ。本当に同情します。精神疾患になる教員も多いと聞きます。特にゆとり教育導入以降はことさら報道なども学校に厳しくなりましたからね。

宿題が無いといって文句が出るかと思えば、宿題が多いといって文句が来る(笑)。生徒の個性・自由を強調しすぎたのが、裏目に出て収拾が付かなくなっている印象です。地域社会との信頼関係がないと公立の小・中学校はまともに機能しないと思うのですが。

仕方なく事なかれ主義が蔓延しているという気もしますが、そのくせ先生はやたら忙しい様子です。どこから手を付けて良いのか…。とりあえず、人と予算を増やさないと現状かなり無理がかかっているようです。

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熟読玩味 (ましま)
2007-07-11 10:02:57
教育現場からはすっかり遠い存在になった者にとって、現在の教育を観察し考えるいい文章でした。たまたま、私のリンク先で幼稚園ですが、お母さんの考えも見せてもらったので、紹介します。
(虹色オリハルコン)
http://blog.goo.ne.jp/hanamiduki87/e/6f4c24e38fed93ef58bf6630af1daa3f
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とってもご無沙汰!してました (bucky)
2007-07-11 10:30:07
拙ブログにも少し書きましたし、あまり表だって書けないところもあるのですが、この間の学校を巡る話に、いささか「何だかな・・」と思う気持ちがあったのは事実。保護者会の集まりが良くない、という話を聞かされても、毎回毎回6年間同じ展開、そのことをかつて副校長にも何人かで話したことがあっても変わる気配がない。また、こんな進行か、と「飽きる」わなやっぱり。
一時が万事。でも、発言や文書には異常なくらいに気をつけている。
良い意味での権限を、ほとんど委譲されていない現場、という感じがして責める気にもなりません。
こうしてますます締め付けが厳しくなったら、公立の学校は、先生は何をしたら良いのか・・・
先週の記事になっていた足立区の採点の問題も、学校間の競争が早速裏目に出た気がして、これを子供たちが”まね”したら、とますます気が重くなりました。
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ましま先生 (VIVA)
2007-07-11 14:25:45
先生のような方に“熟読玩味”とおっしゃられては、どうも恥ずかしいだけなのですが、もったいないコメントありがとうございます。

ご紹介のブログも拝見しました。興味深いですね。やはり親の姿勢なのか、教育機関の問題なのか、どう見ても、社会問題がいやもうなしに双方に影響を与えていると考えるべきかと思います。
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buckyさん (VIVA)
2007-07-11 14:33:17
はい!いらっしゃいませ。

学校の校長先生次第で変わるとことも大いにあるようですが、まだまだ形だけの保護者会とか手続きのためだけの集まりが多いということなんでしょうか。

つい先日のテレビ、確かTBSの報道特集だったと思うのですが、現在のさまざまな教育改革の狙いは、組合つぶしだと解説していました。すでに弱体化と言われている日教組などですが、そういう意味で締め付けているんでしょうかね。
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