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『国見発:サッカーで人を育てる』 小嶺忠敏

2006年09月13日 | サッカー関連

ヘラクレスにいた平山選手が、帰国し、FC東京に入団しました。ヘラクレスともめているというような情報もあります。彼は、『学業を続ける』 と言って退団したらしいのですが、筑波大学は中退していたと報道されています。


平山選手は、あの国見高校の出身です。ご存知のように、国見は数多くのOBを日本代表クラスに送り出しているサッカーの強豪校です。アテネオリンピックでも、平山の他、大久保、徳永といずれも個性のあるその三選手が国見出身です。本書には、サッカーにうとい私でさえ、名前の知っている選手が他に何人か出てきました。

小嶺氏はかつて国見サッカー部の監督、現在は総監督であると同時に、国見の校長先生でもあります。本書は小嶺氏が、これまで培ってきたサッカー論、教育論を展開します。

長崎の小さな町の県立高校でしかない国見が、タレントの集まる都会の私立高校やJリーグのユースチームと互角以上に戦い、タイトルを総なめするような強豪校になっていく過程がよくわかります。すべては指導者、小嶺氏の意気込みからはじまります。  

小嶺先生は本当に厳しく緻密な指導をします。練習を見学に来るファンに、選手がいすを勧めたりするそうです。選手だけでなく、多くの指導者を育成することが氏の大きな目標で、そちらも成果が出ているようです。    

マスコミから批判されることの多かった“時代遅れの国見サッカー”は、実は、今いるだけの選手を最大限に活かす指導の結果でした。戦術に選手を合わせるのではなく、選手の力を生かせる戦術を考えた結果らしいのですが、それで勝ってしまうのですからすごいですね。

お正月やお盆休みもないという、ハードな練習だけではありません。服装の乱れや遅刻、あいさつの仕方にも厳しく注意します。そういえば国見の選手はいまだに丸坊主でしたっけ。

もちろん部活動だけでなく、自分の授業(社会)にも普段から全力を尽くし、普通の監督とは目指すべきところがいっそう高いというか、深いのだろうという印象を受けました。校長先生自ら、社会の授業にも全力投球するわけですから、他の先生にも刺激になるはずです。

とにかく書名からも察せられるように、サッカーを教えるというより、『人』 を育てるということが基本になっています。『 オシムの言葉 』 もすばらしい一冊でしたが、本書はサッカーファンならずとも、教育関係者にはぜひお読みいただきたい一冊です。



国見発 サッカーで「人」を育てる

日本放送出版協会

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