『ヘッジファンド』 とか『デリバティブ』 といった経済用語が新聞などマスコミに出てきます。高度な数学とコンピューターを駆使して投資をし利益を得るという、金融工学と呼ばれる分野です。難しそうですが、どういうものか知りたくて本書を読みました。
読んでみますと、本書は専門書ではなく、入門書。しかも金融工学を説明するのではなく、それと対峙する、“行動ファイナンス理論” を紹介するのが目的です。あれ?
簡単に言えば、『数学』的な市場把握に対して、『心理学』的な市場理論です。数学的に必ず儲かる投資理論があるとすれば、数学者は誰も損はしないはずです。先日ご紹介した『天才数学者、株にハマる』 で書いたとおりです。
あるいは市場というものが常に合理的で情報を共有していれば、バブルは起きないし、ぼろ儲けもありません。そういう現象を、心理学を基本に人間の市場での行動や、そのメカニズムを扱うのが行動ファイナンス理論です。
証券アナリストの試験にも最近出され始め、この理論でノーベル経済学賞を取った学者が出て一気に注目が集まりました。伝統的経済学理論ではバブルなどは“例外的事項”として説明は放棄されていたそうで、そこに光を当てたわけです。
筆者は投資を実践するように進めていますが、マネーマーケットに関係なく心理学の本として読んでもおもしろい一冊で、お薦めできますが、“最強のファイナンス理論”という題名はかなりずれがあるかなと(笑)…。
http://tokkun.net/jump.htm
最強のファイナンス理論―心理学が解くマーケットの謎講談社詳 細 |
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金融工学の本を見ると、いろいろ数式が出てきますが、なんか人間の感情の方により大きく相場が左右されているような気がするのです。
「市場が限りなく効率化すれば・・・」という経済学者の言葉ほどまだ市場は成熟していないのでしょうね。