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『賃労働と資本』 カール・マルクス 長谷部文雄(訳)

2007年05月01日 | 教養


賃労働と資本.jpg



今日が本当の“メーデー” ですね(笑)。今日も代々木公園で集会があり、道路は大渋滞でした。メーデーの式典が4月と5月1日、別々の日にあるなんて、日本以外にあるんでしょうか。WIKIによると中国などのように、5月1日を祝日としている国もあるようですが、日本では労働運動が分裂している最も象徴的な現象ですね。


さて、マルクスです。本書は日本では昭和13年に発禁になり、戦後再刊されたものだそうです。もちろん私は、社会主義者でも共産主義者でもありません。


が、あえてご紹介するのは、経済学者であり、革命家でもあるマルクスが、思想史的にも非常に重大な影響を及ぼしたのは事実であっても、今の高校生はほとんどマルクスを知らないからです。20世紀最も影響力のあった思想家の一人だと言われているのにもかかわらず。

我々が高校で政治経済を習った頃は、ケインズ と マルクスが一番よく出てきたのですが、今はどうも違うようですね。資本主義VS社会(共産)主義の戦いはケリがついたということでしょうか、あるいはもっと経済が複雑化したということでしょうか。

いまや、あの中国までもが市場経済に移行しつつある中ですから、今さらマルクス経済や共産主義を学ぼうとする人が少なくなるのは当然ですが、世界を動かしたプロレタリア革命の根本的な考えとは何か、やはり知っておいた方が良いだろうと思って取り上げてみました。


マルクスといえば、『資本論』ですが、資本論はとても長く、難解なのだそうです。すみません。私も読んでいません。

本書はその入門書と位置付けられ、全くそういった、社会主義だの経済という学問的知識のない労働者相手にマルクスが演説をした時の内容が下敷きになった一冊で、読みやすくなっています。


わずか110ページほどで、平易な言葉で革命の必要性を説いています。100年以上も前、マルクスはこうして労働者たちに訴えたのかということがわかります。決して古くないなという印象で、勉強になりました。



P.S. ただ、それにしても… と思うのは、今、アメリカのブッシュ大統領は、イラク戦争の泥沼化が明確になってきて、日本でも、現在はどの国よりも嫌悪されて(北朝鮮は別格ですが) いるように感じます。しかしそのブッシュ政権を支えてきたのがネオコン。ユダヤ系資本と言われます。

で、本書の著者マルクスもそうですが…、まったく逆に、9.11直後から、ブッシュ大統領に批判的なチョムスキーもユダヤ人だそうですね。本当に世界は難しいと思います。正直、誰か答え教えて、と言いたくなりますが、自分で考えるほかなさそうですね。


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賃労働と資本

岩波書店

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資本論〈第1巻(上)〉

筑摩書房

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うわっ! (bucky)
2007-05-01 15:48:15
「出た!(失礼)マルクス」って感じですね。10代の頃突っ張って手にとったこの手の本の内容は、恥ずかしながら全くと言っていいほど覚えていません。(ホント、恥ずかしいな。私も資本論は読んでいません。)
共産主義の権威が失墜して、時代は変わりましたが、そうは言っても簡単に世の中の問題は解決しない。夢は国は無いんでしょうかね。
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と、コメント直後に (bucky)
2007-05-01 16:00:20
読みかけの内田樹氏の本に目をやると、
「マルクス主義が政治理論として破綻したことの大きな理由の一つは、「人間は収奪されることのうちに快楽を見い出すことができる」という危険な真理をどこかで見落としたことにあると私は考えている。
と、あるではありませんか。
これだけでは、よくわからないと思いますけど、あまりの偶然に再びコメントしてしまいました。
(『知に働けば蔵が建つ』内田樹著/文芸春秋 参照)
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buckyさん (VIVA)
2007-05-01 16:04:30
buckyさんも資本論読んでないんですか?暗記してるかと思っていました(笑)。うそうそ。

夢の国が北朝鮮だったら…。中国やらロシアやら、東ドイツなどなど、社会主義や共産主義の国はことごとくあとから、実態は平等どころかとんでもない国だったとわかったわけですからね。

ただ、マルクスの論理では、資本主義を経てから、共産主義になっていくというものだったようですね。本当に勉強不足でした。
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と、ご返事直後に (VIVA)
2007-05-01 16:07:15
そうですか。内田さんの本もおもしろそうですね。

でも、ご紹介の一節だけでは、???ですから、今度チェックしておきます。貴重な情報ありがとうございました。勉強になります。
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