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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)

2006年10月30日 | 歴史
 

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大変おもしろい一冊です。本書はその綿密な調査で、発売と同時に大絶賛を受けたそうですが、筆者によれば、東インド会社の資料館のようなものには、誰も手を付けていない貴重な資料がまだまだ山のように残っているそうです。

大航海の時代、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダなどが胡椒やナツメグなど東インド諸島の香料を巡って繰り広げた争奪戦を描くノンフィクション。 途中イギリス船に乗った日本人傭兵が登場しますが、そんな話、聞いたことありますか。

まぁ大した役割はなく、だまし討ちにあったり、拷問にあったりして殺されてしまうのですが1600年前後、朱印船に乗った人々の中にそういう争いに巻き込まれた日本人がいたというのを不思議な感覚で読みました。

以前、使ったこの地図でじっくり見てみると、彼らの船は日本のすぐ下にまで来て、やりたい放題の悪さを働いていたんです。

map2.JPG← クリックで拡大されます。

  
彼らが、日本に興味を持ってしまったら、江戸時代以降、かなり歴史は変わっていたんだなぁ~と実感しました。ヨーロッパ人がもう少し足を伸ばしていたら、と考えるとぞっとします。

というのも、後半部分は “イギリスVSオランダ” の戦いが描かれていますが、ヨーロッパ人の冒険心や勝負の徹底振りはため息が出ます。この宿敵同士の戦いはすさまじく、殺し合いや裏切りは、日常茶飯事。

原住民などは人間と見なしていないのでしょう。捕らえては、拷問、虐殺、または奴隷狩りのような対象に過ぎません。『ちゃんと歴史の教科書に書いとけよ!』と叫びたくなるくらい(笑)。

ただ、私の生徒から、その時代、日本に最初に来た外国船には、仲の悪いはずのイギリス人(ウィリアム・アダムス、のちの三浦按針)とオランダ人(ヤンヨーステン)が一緒に来たと聞いて驚きました。

いずれにしろ非常におもしろく、香料、特にナツメグは肉の防腐剤としてヨーロッパでは非常に貴重らしいのですが、東インド諸島では、それがただ同然で入手できたそうで、巨万の富を築くために命がけでヨーロッパ諸国が争いました。

その後、日本は、出島は開港したものの、占領されず、無事に鎖国を続けられたのは、奇跡的な幸運だと思わずにはいられません。


スパイス戦争―大航海時代の冒険者たち

朝日新聞社

詳   細


http://tokkun.net/jump.htm 


P.S. 受験生は大航海の時代を復習! 例によって、genio先生のブログ

→ 『入試に出る!!時事ネタ日記』   ガンバレ!世界史受験生!

『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)
朝日新聞:362P:2940円

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
伊吹文明 (kazu4502)
2006-10-30 15:17:46
お世話様です、今、ちと仕事をサボって国会中継を見ています、思っていたとおり、伊吹氏はしっかりしています、これからもっと教育改革いや再生に対し期待が持てるのではないでしょうか、さてブログがアップしたと言うことで訪問しましたがYsbeeさんのブログはすごいですね、たいしたものです、米国の近況もわかりやすく素敵なブログだと思います、応援したいですね。

こちらは政治ブログに変更してからずっと下位の位地であまり動きがありません、やはり有名ブログの政治カテゴリーはレベルが高いですし、新参者にはなかなか上位に行くことは難しいです、でもがんばりますので今後ともよろしくお願いいたします。
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日本にスパイスが豊富だったら (bucky)
2006-10-30 15:45:25
歴史は違っていたのでしょうか?

それにしても、「スパイス」の役割をしているのは、今日冷蔵庫?味気ないかも。

こんな話題も世界史がわかると面白味が違いますね。履修問題の件は、どう整理させるんでしょう。「履修すれば良い」という問題ですまされるのかどうかが気になります。受験最優先?、北日本に予備校不足?、歴史は暗記、だから不要?、教養としての歴史の必要性、何が生徒のためか、どこから発覚?どうして10年も報知されたのが今?、教育基本法との関連は?等々多くの問題をはらんでますね。

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kazuさん (VIVA)
2006-10-30 19:30:42
そうですね。私も少しだけ見ました。確かに堂々としていて筋が通っている印象を受けました。教育の専門分野出身ではなくとも、当たり前の論理は、経済学でも何でも身に付いているんですよね。



最初に私が危惧したのを、kazuさんが大丈夫だと太鼓判を押していただいたのが、今さらながら分かりましたよ。



ランキング、確かにすごいですね。上の連中は。でもどうなんでしょうか、私は確かに2位とか言って喜んでいて、kazuさんとinの点数は同じくらいですが、outはずっとkazuさんの方が多いですよね。



そうするとデカイところで勝負するのは、順位は上がらなくても、実質見る人が増えるというメリットはありますよね。
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buckyさん (VIVA)
2006-10-30 19:35:59
もう本当に、履修問題は日本の教育界の問題が凝縮されたような、典型的なできごとです。とにかく理念もないまま、制度をいじりすぎだと思います。



指導要領にしても、絶対評価にしても、総合学習にしても、現場の先生方は振り回されて大変だと思いますよ。



解決策はどれも一長一短というか、誰も説明できないほど、大きくなりすぎました。時間が限られているだけに難しいですよ。
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スパイスが先か、征服が先か (山ちゃん)
2006-10-31 02:04:27
スパイスが先か、征服が先か・・・。



いずれにしろ、進歩(大航海にたえる船の完成)が人間を幸せにしないのは核兵器も同じですね。



しかし、世界は狭くなったものです。人間はそれを自覚しないと自らを滅ぼします。ブッシュと大統領の座を争ったアル・ゴアが、地球環境問題で行脚しているそうですね。彼の行脚の様子をおさめた映画も来春公開されるようです。彼が大統領になっていたら京都議定書は批准されていたのでしょう。
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山ちゃんさん (VIVA)
2006-10-31 09:31:30
こんにちは。そうですか、ゴアはそんなことを。今度の大統領選では、あまり名前を聞きませんが、もう立候補の意思はないのですかね。



確か、ものすごいエリート教育を受けた人物と記憶していますが、ひょっとして環境活動家へ変身なんてこともあるのかなぁ。
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Unknown (milesta)
2006-11-01 08:46:51
ハンバーグにはナツメグを欠かさず、カルボナーラには本当に炭(カルポ)を撒いたようにコショウをかける私には、興味深い本です。
東インド会社の名前は誰でも知っているけど、こんな奥深いことまでは誰も(たぶん)知りませんよね。面白そうな本です。三浦按針なんて名前も、中学校以来の再会で懐かしい!

先日、VIVAさんのところで翻訳のことが話題になり、感化されて日本語の絵本の英語版を図書館から借りてきました。ブログにも書きましたが、単純な直訳でなく、文化の違いも訳に反映されていて、たいへん面白かったです。
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milestaさん (VIVA)
2006-11-01 10:41:49
私もそうでした(笑)。本当かなと思うほど、彼らは命がけで香料を奪い合うんですよ。

英訳されている日本の絵本があるんですね。イギリス文化では、子どもは大切にされないから、絵本などの児童文学書が少なく、外国のものを読ませると聞いたことがあります。ひょっとしてオーストラリアもそんなとこがあるんでしょうかね。

ロッタちゃん読みましたよ。いずれ記事にしますね。
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Unknown (milesta)
2006-11-01 12:11:07
オーストラリアはオリジナルの絵本が結構いっぱいあります。動物や恐竜ものや腕白坊主のハチャメチャものが多いんです。日本のようにしみじみしたものは少ない気がします。外国のものだと、だいたいイギリスの作品でアメリカからはあまり見かけません。『ひとまねこざる』も最近の映画で知ったみたいですから。日本のものは今回初めて見ました。

児童文学は、最近のものはオリジナルやアメリカのものをよく見かけます。古典的なのはイギリスのものが多いです。『秘密の花園』とか『小公女』とか。今度紹介するつもりですが、Enid Blytonという作家が古典的なものの中では一番多いと思います。もの凄くたくさんの作品を書いています。VIVAさんならご存じかな?

ロッタちゃんの記事、楽しみです。
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milestaさん (VIVA)
2006-11-01 18:47:53
そうでしたか。いつも貴重な情報ありがとうございます。Enid Blytonさん、全く存じません。また、milestaさんのブログで勉強させてもらいますね。
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