本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『大学受験集中講義 福崎のセンタ-英語 Super live』福崎伍郎

2007年01月25日 | 大学受験【英語】参考書など


福崎のセンター英語.gif


現在の高3生、浪人生のみなさんはセンター試験が終わりましたので、使うことはないと思いますが、本書はセンター試験対策用のテキストです。今回のセンター試験は大幅に出題パターンが変わってしまったので、戸惑った人も多かったと思いますが、どうでしたか。


さて、本書はどうでしょう。帯にある、“たった1週間” というのが目に付きますが…(笑)。

今回は、『 速読英単語(風速寛:Z会) 』 を的確に分析してくれたKOU先生にお願いしました。



以下がKOU先生の解説です。


■■■

センター試験を問題形式ごとに傾向分析し、過去問の解説などを交えながら、読み物的に攻略法を伝授していきます。


著者曰く、大学入試センターが毎年発行する「大学入試センター試験-実地結果と試験問題に関する意見・評価-」を研究することで、問題のねらいを分析し、画期的な対策本にしたそうです。


その「斬新さ」をどう捉えるかは個々の読者の判断に委ねますが、センター英語対策本としては、役立つ知識がうまくまとまっていると思います。 まず、随所に挿入されるポイントのまとめは、よく整理されていてどれも納得のいくものです。


また、「先生質問です」と題されたコラムのようなコーナーも、センター分析や学習法アドバイスとして、極めて常識的で違和感のないものです。類題にチャレンジしながらこの1冊を通読することで、センター試験に詳しくなり、問題を解く際に意識すべきことがわかるようになると思います。


ただ、受験生として気をつけて欲しいのは、この1冊で「できるようになった気がする納得感」を感じて満足しないことです。


あとがきに、『試験の直前は過去問を本試験・追試験、合わせて1年分解いておこう』とありますが、2回分じゃ全然足りませんから!!

いや、既に過去問で安定して8割以上取れる実力を持っている人ならそれでもかまいません。ただ、このテキストを手にする読者は、そういう点数を取れるようになりたい人が多いでしょうから、こんな甘口のコメントを最後に残すのはいかがなものかと。

私ならこう書きます。


□何よりのお勧めは、巻末付録の「センター英語まとめ本」です。センター直前は、ここに書いてあることを全部覚え直しましょう。また、模試などでまだ8割程度取れていない人は、このテキストを読んだ上で、過去問を5年×2(本試・追試)=10回分、最低でも解きましょう。 □


いやいや、間違いなく売れなさそうだ(笑)。こういう耳障りの悪そうなことは、出版するとなると書きづらいものなのでしょうねぇ。

福崎先生が本当に1年分でいいと考えているとは思えないのですが…。

また、先日のセンター試験の傾向がはっきりと変わりましたので、問題形式別のところが現在のままでしたら、購入するのは、どうかと思います。改訂版を待ったほうが無難でしょう。
 


■■■



そうなんです。テキストの類は、“猿でも分かる” とか“バカの~”、英語の参考書なら “2週間完成” “10日間でマスター” というのば~っかり。


受験生諸君、はっきり言って、そういうものは、少なくともその倍、いや5倍かな?はかかるという覚悟が必要。内容自体は良くても、ついつい宣伝文句で短期間を謳ってしまう傾向があるからね。


それと紹介の中にもあったように、


●●●
センター試験の形式が変わってしまったことで、本書は使いにくい可能性があります。その点は注意です。絶対に “今年の” センター試験の問題を確認してから判断して下さい。
●●●



わかるよね。




高校2年生もそろそろ受験モードで!



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『大学受験集中講義 福崎のセンタ-英語 Super live』福崎伍郎
学習研究社:255P:1050円 

福崎のセンター英語―Super live

学研

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2007年 大学入試センター試験 「英語」講評 

2007年01月22日 | 大学受験【英語】参考書など


【センター英語に関して】(20日の見解)


難化することが予想された、2007年実施の大学入試センター試験ですが、英語もおそらく平均点は若干下がるものと思われます。


問題数(設問数)自体が増えましたし、今年は大きく問題形式が変わりました。第2問、第6問を除くすべての問題形式に変化が見られます。毎年、少しずつ変わるのですが、これほど大きく変更されることは珍しいですね。“センター試験・命” で同じパターンで繰り返し練習していた受験生が戸惑ったのではないかとちょっと心配です。


各設問ごと、時間配分まで徹底的にやっていた人ほど、予定が狂ったわけですから、気の毒です。パターンが変わってもあわてるなと常々指導しますが、これほどだと影響が出てしまうのは避けられないでしょうね。


問題のレベル自体はそれほど変化はなく、基本的な易しい問題が多いのですが、このパターン変更が平均を下げる方へ働くでしょうし、また、ただでさえ量が多すぎると感じていたのですが、今年はさらに英文が長くなりました。




実は、少し前まで、センター試験の平均点予想は私の得意技の一つ(笑)で、どこの大手予備校より、早く正確に当てる!などと豪語し、自信もありました。が、参加する私立大学がどんどん増える一方で、年ごとにセンター試験の規模が拡大するにつれて、読み切れなくなりましたね。


さまざまな学力レベルの受験生(つまり下位)が大量に参加するようになったため、こちらの予想より平均点が低く出はじめ、それでも全体の平均点を6割程度に保つようにするために、問題は相対的に易しくなり、上位校を受ける生徒たちはあまり差が出ないものになりつつあります。


つまり、テストの性格が、本来の国公立大学第一志望の生徒にとって、高得点を狙う、差を付けるというより、高得点で当たり前、失敗しないことが重要、そういうものになっているように感じます。

もはや、一つのテストで50万人の学力差を見るという発想自体がそもそもムリではないかと考えております。


ますます文法・暗記軽視、会話・実用・スピード重視の傾向が一層強まってきました。抽象的ですが、細かい知識はまったく必要なく、英語や国語的センスの良い人が有利ですね。

それ自体は一つの考え方なので、仕方ないのですが、私はこの傾向には反対ですね。リスニングが50点も入るわけですから、筆記の方はもう少しじっくり考えるタイプの問題が欲しいと…。

他の私立大学に比べても、処理すべき英文の量が非常に多く、本当に大変です。今年はそれがさらに増えたわけですから、私には残念です。量を減らすか、試験時間を延ばして欲しいとずっと以前から思っておりました。


何よりも、“国語的センス” とか “スピード” というのは大事な要素でありますが、もっとも訓練しにくい学力の要素です。逆にいうと努力があまり報われない分野なので、他の要素を重視して欲しいのですね。



個々の問題のレベルは決して高くなく、難しくありませんし、良問とさえ呼べるかもしれません。ただ、上で申し上げたような内容が改善されるよう強く強く希望します。




まぁ、英語に関してはとりあえずそんな感じです。問題に文句をつけましたが、逆にそれであるために救われる生徒もいるわけですから、難しいところですけどね。



さぁ、受験生諸君。一日目が終了しました。もう緊張もないでしょう。明日からまた、頑張って下さい。


さらなる健闘を祈る!


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『ポレポレ英文読解プロセス50- 代々木ゼミ方式』 西きょうじ

2007年01月13日 | 大学受験【英語】参考書など

 

ポレポレ英文読解.jpg


これは私のお気に入りの読解テキストの一冊です。どこが代々木ゼミ方式なのか知りませんが(笑)。長文読解や多読の段階に入る前に、授業で使ったりもしますし、本書には“読解の基本”と書いてありますが、英文のレベルは高いものです。

S+Vの構造の発見から始まって、全部で50の英文が並んでいますが、平均して一つ、6~7行ほどです。英文の構造、簡単に言えば、語や句や節のつながりが難解なものを選んで、そのパターンを身に付けようという意図です。


私も、過去問から、本書で使われているような、つながりの複雑な文を選んで、ちょうど本書と同じくらいの長さ、単語数で100以内になるような文を抜粋してテキストを作りますし、その上のレベルの生徒には、英字新聞から選択してテキストにしています。

実はこういう類のテキストは、ありそうでなかなかないのです。特に上のレベルの生徒用は。非常に有用だと思うのですが…。

自分で英文を選んで、テキストにし、単語テストなどをするには非常に手間がかかりますから、今でもできるだけたくさん欲しくて、本屋さんで探すのですが、良いものがありません。そういう意味では本書は50だけと言っても、私にとっては貴重な英文読解の例文集なのです。


ただし、決定的に残念なのは、改訂がまったくされていないために、さすがに今となっては英文が古いということです。93年に初版が出ていますので、14年前。まぁ、つながりなどを身に付けるのが主眼のテキストですから、英文が語っている内容自体はそれほど重視されないのでしょう。

以前ご紹介した『入試超難関突破!解ける!英語長文(竹岡広信)』 の記事でも指摘しました。英文の内容より、英文構造の正しい把握の仕方や、読解のプロセスに重点を置いたテキストです。

確かに一流講師は材料が何であっても、味付けで立派な授業にしてしまう力を持っています。


しかしながら、同じやるなら、やはり頻出である地球温暖化などの環境問題や遺伝子やクローンなど最新科学や医療の問題は取り上げて欲しいと思いますし、本書は何と言っても、ウィンドーズ95より前ですから(笑)、コンピューターや携帯電話、ましてインターネット、ブログなど、新しい社会の話題はまったくないのは、一人で学習する生徒には薦められません。


特に、受験学年では、時間節約のためにも、読解と単語学習も兼ねたいという段階の人には不向きだと思います。 ですから、私が使うのは、高校2年生の読解演習として、または逆に、受験学年で、すでにほとんど最新の英文を読み終えている人の練習問題、あとは京都大学に代表されるようなつながりの難しい英文を和訳しなければならない生徒の練習用としてです。


また、一人で生徒が学習するとして、解説はすべて的を射たわかりやすいものだと思いますが、これ一冊で完成というタイプのテキストではありませんから、その点も注意して下さい。単語や熟語などの意味も載っていませんから、あくまでつながりをつかむ練習用です。


関係詞だけは、修飾関係ということで特別に取り上げていますが、その他の文法事項は名詞構文とか、省略、倒置、挿入などしかありません。例えば複雑な比較の構文などは含まれていませんし、わずか50の短文という分量から判断してもまだまだ不十分だと納得できるはずです。

西先生は私もそのキャラクターが好きなので、ぜひ改訂版と単語のまとめなんかを付けていただければ、イチ押しに近くなるのです。今の本書なら、塾講師が生徒の状況などを判断して、練習問題用として提供するのが最適だと考えます。

 

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ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式

代々木ライブラリー

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 時事問題、今日は、【ゼロ金利】です。確認しておくこと!

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『ポレポレ英文読解プロセス50- 代々木ゼミ方式』 西きょうじ
代々木ライブラリー:129P:795円

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『山口英文法講義の実況中継 (上・下)』山口俊治

2007年01月07日 | 大学受験【英語】参考書など

 

『山口英文法講義のタ況中継 (上・下)』山口俊。.jpg



英作文のトレーニング』 『ターゲット』 の書評を書いていただいた福原先生が、これも受験生の定番、英文法講義の実況中継について、感想や特色、注意点などを指摘してくれました。


私は文法の授業が大好きです。というのは、会話重視でオーラルコミュニケーションが入ってきたり、ゆとり教育で授業数が減ったりした影響でしょうか、生徒の英文法の理解度、定着度はかなり低下しており、一番授業の成果が出やすいからです。


高校の英語でも、“グラマー(文法)” と呼ぶ学校は減り、“ライティング” となって、ブラマーと従来のコンポジション(作文)が一緒になってしまったようです。


しかし、外国語を理解するうえで、文法の重要度はいくら強調してもしすぎることはありませんね。私の英語教育の現状に対する考えは以前、『小学校の英語必修化について』 で述べたとおりです。よろしければご覧下さい。

 

では、以下が福原先生の書評、アドバイスです。


■■■

いわゆる「実況中継」ものは科目を問わず数多く書店に並んでいます。英語の中でも「長文」「速読」「英文解釈」などテーマが多岐に渡ります。

どれにしようか迷ったのですが、生徒の皆さんにとって一番退屈(だと思われる)「英文法」を取り上げます。講師は参考書『コンプリート』の著者でもある山口俊治先生。


「実況中継」というくらいですから、授業の臨場感そのままに、時折ギャグも散りばめながら面白おかしく、無味乾燥な英文法もスイスイ頭に入ってきて、“英語の視点が180度変わった”(はしがきより)という内容を期待して早速読んでみました。

全体として、実にわかりやすく文法を説明してくれています。上述した『コンプリート』で網羅されているエッセンスを厳選して、会話調で生徒に伝えているという雰囲気です。 “(笑)マーク” も要所要所でしっかりと入っています(笑)。

「文型」で始まり「前置詞」まで一通りの項目が網羅されていますので、自分の苦手な単元を優先的に読んでいくというのもアリでしょう。

ただ「長文」とか「英文解釈」など、講師がそれぞれ独特の切り口を持っていて、その個性を全面的に押し出すのにはこの実況中継は絶好の形態だと思うのですが「文法」となると中々そうはいかないのかなという印象も持ちました。

単元ごとの淡々とした説明に終始して、実況中継的な臨場感が希薄に感じる部分もあります。実況中継という名に私が過大な期待をかけ過ぎていたせいかも知れませんが。

いずれにしろ分かりやすさという点では非常に優れた一冊だと思います。ただ、練習問題がほとんどついていませんので、この一冊はあくまでも理解の段階までであって実戦力は別の方法で鍛える必要があることもつけ加えておきます。


■■■ 

なるほど!の解説ですね。私は「コンプリート」には、文法書として中途半端だという印象を持ってしまいましたが、本書は使い方次第では、文法が苦手な生徒には役立ちそうです。

多少好みの問題も出てくるのでしょうか、わかり易く書かれていて、英文法嫌いな人が、人からではなく本から学ぶとすれば、一番とっつきやすい類の一冊と言えるでしょう。


ただ、上下あわせて、文法だけで、550ページに及び、ちょっとした辞典並みのボリュームなってしまいます。しかも福原先生の指摘のように、確かに実力を付けるための問題集は別に用意しなければなりません。

実況中継という、話し言葉でダジャレなども入れて書くとどうしてもこうなってしまうのでしょうね。それでも構わない、そこが良いんだという実況中継ファンには期待に応えてくれると思います。

まず、自分のわからない分野の解説を、本屋さんで他の参考書と読み比べてから購入したら良いと思います。

 

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NEW・山口英文法講義の実況中継―高2~大学入試 (上)

語学春秋社

詳  細


『山口英文法講義の実況中継 (上・下)』山口俊治
(上275P・下282P) 語学春秋社 各1050円


『灘高キムタツの東大英語 ライティング&グラマー』木村達哉

2006年12月30日 | 大学受験【英語】参考書など

 

灘高キムタツの東大英語ライティング&グラマー.jpg


今年の“締め”をしようかなという、ちょうど良いタイミングで、灘高キムタツ こと、木村達哉先生の東大英語シリーズの最終版、ライティング&グラマー編が発売されました。何かの縁でしょう、せっかくですので、今年の本紹介のトリをかざっていただきます。(明日はごあいさつと写真でもUPします)


これまで 東大リスニング東大リーディング ともじっくり見てきましたが、本書がもっとも広い範囲の生徒に薦められるものに仕上がっています。(前の二冊は、東大合格専用テキストのおもむきです)

もちろん本書もターゲットは東大合格ですが、英作文のある中堅大学以上の受験生が使うのであれば充分役立ちます。 “役立つ” どころか、とても完成度の高い参考書に仕上がっていますので、ぜひ薦めたいテキストと言っても良いでしょう。


東大の英語、特に作文と文法問題は、難問奇問の類ではなく、正確な基礎力とそれに基づいた英語運用能力があるかどうかを測ることを目的に作られています。そこを徹底的に鍛えるわけですから、どの大学の受験生にとっても有用です。


また、同じ偏差値レベルの受験生の間で、英語力の差がもっとも如実に出るのは、読解ではなく、英作文です。また、英作文指導は、教える方のレベル、英語に対する考え方の差も出るだろうと思っています。

(そういえば先月の代ゼミの早稲田模試の講評にも、読解に比べ、全体的に英作文能力が極めて低いと指摘していました)


まず本書では、どの問題にも、解答例として、誤文が2例ずつあるのですが、その生徒の間違え方が抜群に良いのです(笑)。

どういうことかと申しますと、日本の高校生は、帰国子女でもない限り、全国どこの進学高に通っていたとしても、みな日本語を使って、同じようなカリキュラムや教科書、似た参考書で英語を学習しているために、間違え方もみな似ているんです。

アメリカの移民が Mother を Maza と書いてしまうような、アメリカ版スットコ的間違えは、日本の大学受験生には絶対にありません。同じところが苦手で、同じところしかミスしませんから。


採点する側からすれば、毎年、“ほ~ら、またやってる”、“これみんなできないなぁ~”という感じです。本書は解説の中でも繰り返し基本の徹底を言っていますが、3単現の S だとか、主語と動詞の不一致や時制の間違えなど、読んでいて微笑みたくなるほど、「そうそう、あるあるこういう間違い」そういう風に間違えてくれています。

他の大学受験の対策にも使えるという、もう一つの要因です。


こうした “模範的誤答” とそれに対するキムタツ先生の的を射た解説も出色ですが、何よりも本書の特徴、利点は、それを語り口調で、非常にわかりやすく、手間を惜しまずに説明していることです。いわゆる “実況中継” を聞く感覚で勉強が進められるはずです。繰り返し読めば、大きな学習効果が期待できます。

合格への具体的戦略やネイティブとの模範解答の比較は、我々英語教師にも勉強になりますし、巻末の文法のまとめも受験生にはぜひやってもらいたいものです。


今年のトリを務めるのに実にふさわしい一冊でした。見事です。




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『灘高キムタツの東大英語 ライティング&グラマー』木村達哉
アルク:240P:1890円



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以下は、書かなくても良い、従ってもちろん読まなくても良い“つけたし”みたいなものです。ここで記事を終えても良いのですが…、このブログを定期的に見ていただいている方は、私が時おり木村先生とお付き合いさせていただいていることをご存知だと思いますので、あまりにも他人行儀だなぁ~(笑) …


もう年末だし、いいや!今年を振り返る意味でも、今日はぶっちゃけたお話を書いちゃいましょう。


 【ぶっちゃけ書評】

今回、ありがたくも、キムタツ先生からご献本いただきましたが、見る前は正直、“あんまりできが良くなかったらなんて書こう”、な~んて考えておりました(あ~ごめんなさい)。

いやいやいや、まさか英語力を疑うんじゃないんですよ、もちろん。

心配するには理由があるんです。英作文のテキストは読解やリスニングとはわけが違います。書き方、要するに説明のしかたが難しく、実際に市場に出まわっている参考書も、本当に “玉石混交” なんです。


そうですねぇ~、リスニングのテキスト作りが富士山登山なら、リーディングはマッキンリー登山に挑戦するようなもの、さらに英作文のテキスト作成はK2やエベレストに挑むほどチャレンジングな仕事だと私は考えているんですね。

だからいくら灘高キムタツと言えども、今年の受験生向けに完璧に仕上げるのは、時間的に厳しいんじゃないかと。 たいがい、ちょっと売れた参考書の著者が、今だ!というので、その後に続けて出す本は、センセーショナルなタイトルとは裏腹に、手抜きが目立ちます、誰とは申しませんが…。


その上、灘高は今秋に、履修もれが指摘され、きっと英語とは無縁の雑務に追われるという環境下にもあったはずですし…。



実は、本書の執筆を始められた頃、キムタツ先生からお電話で、“~~こういう形にしたいと思うけれど、どうだろう” と意見を求められたのは今年の夏休み後半です。

その時期から生徒に実際に英作文をしてもらい、それを2例選んで、添削する形で進めたいということでした。あとは模範解答をキムタツ先生が書かれ、さらにネイティブにもう一例書かせるというのです。それを秋に出すと。率直な意見は、 今年の受験生に “間に合うのか” ということです。

アイデア自体に異論をはさむ余地はまったくありません。それだけのことがうまくできれば本当にすごい、理想的なテキストです。


が、しかし大学受験の英語教師ならお分かりだと思いますが、そもそも英作文の添削というのは非常にやっかい。文法の間違いを指摘するだけならどうってことないのですが、英作文の添削となると、正解は無数にあります。

その中で、生徒にその英文がなぜダメなのか、どうして別の表現が好ましいのかを説明するのはいっそう骨が折れる。教室ならまだしも、それを文にして、読者である受験生に納得のいく解説を施すというのは気が遠くなるほどの作業ですし、書けば書いたでどこからでもこっちの方が良い、などとケチをつけることも可能なんです。


だからこそ、竹岡先生の『ドラゴンイングリッシュ 基本英文100』のように、同じ英作文対策と、銘打っていても、暗記例文集という形にする方が、手間もリスクも圧倒的に少ないし、実際人気もあります。

英作文のコツは、例文暗記 “英作文は英借(しゃく)” と信じ込んでいる先生もたくさんおられますが、それは勉強の一過程に過ぎません。

例文暗記自体は大いに結構で、私も生徒にさせますが、100文暗記したら合格できるとすれば、東大レベルの受験生なら楽勝です。そうではないプラスアルファーの得点力が東大受験生は欲しいわけでしょう。

 

さて、そんなことを考えながら、本書を読んでみると、キムタツ先生はその困難な仕事を見事にやり遂げています。実際に読んでいたときは、“いや~よくできている、”と何度口にしたことでしょう。うちの教室には私より優れた英語教師が何人もいますが、彼らも異口同音にそう言いました。

ですから、英作文のある生徒は本書をどんどん使って下さい。


本心を言えば、最初に書いた、私の浅はかな考えはまったくの杞憂だったとホッとしているんです(ホント失礼)。


キムタツ先生は、「VIVAちゃん、本送っといた。うまく書いて、頼むで~」 な~んていう姿勢でご著書を寄こしたのではまったくなく(超大失礼)、「自信作だ、VIVA見てくれ!」 ってな感じだったんだと痛感したわけでございます。ハイ。

とにかくすばらしいできばえであることは間違いありません。さすが日本有数の進学校、灘の英語教師の力を見せつけられました。

灘高キムタツの実力と熱意にあらためて敬服し、勉強させてもらいました。売れりゃあ、何でもいいという風潮の出版業界の中で、夢を追う生徒たちのために、ますますの活躍が期待されます。

 




■■ 良い参考書、良い先生と知り合えた2006年に乾杯!■■

そんな気分です。ダブルタイトルとはできすぎの2006年。日々応援してくださる方々が、ランキング上位にしていただいたおかげで、それを見て訪問してくださった方も多いようです。本当にありがたいことです。

このブログが少しでも、そうした生徒やご父母のお役に立てれば本当にうれしいのですが…。


 さぁ、受験もブログランキングもラストスパート! 

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P.S. おもしろくなってきたんでどんどん書いちゃいましょう。年忘れ、言いたい放題(笑)。

実はキムタツ先生のテキストにも、手抜きはあるんです。ボクは見逃しません!

先生の生年月日、1964生まれのはずが、61年になっている。(ブログにあるように64年生まれならボクより年下、61年なら年上ですから気になったんです(笑)。)

実は、以前、東大リスニングのテキストでそれを発見し、61年になってますよと連絡したら、最初の反応は “まじっすか?” でした(笑)。 今回もまさかと思いましたが、何気なく見るとまた“61年生まれ”。連絡しますと、“まじっすか?ほんまに?”でした。これは明らかな手抜きです(爆)。アルク~、ファイト!
 

灘高キムタツの東大英語ライティング&グラマー

アルク

詳細


 

P.S. これはやや高度になりますが、キムタツ先生と見解の異なる部分を列記しておきましょう。私の勉強のために。
P76  合格答案の文で最後の一文 someone より anyone 
P104 very various は多少くどいが可能。
P134 合格答案最後の文で will より should または原形。
P191 leave a large amount of garbage behind  も可能。
このあたりまで考えられる生徒は、近くの先生に聞いてみたらよいと思います。
わからない人は、私VIVAが教えますので、来年の入塾をお待ち申し上げております(笑) 

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『音読英単語Stage2』岡田賢三、温井史朗 【英語、単語帳・覚え方】

2006年11月21日 | 大学受験【英語】参考書など
 

音読英単語2.jpg   音読英単語1.jpg   音読英単語 基礎1200.jpg

今日は、音読英単語シリーズを取り上げます。本書は、私立、公立問わず、かなりの数の高校で使われていますね。学校で渡された人も多いはず。

今回の書評は、 Stage2 大学受験用に関してのものです。


紹介してくれるのは、初登場、アメリカの大学を出て、お父さまも現役の塾講師という、筋金入り、英語講師のサラブレッド!代々木の Jonny 先生です。


以下が、Jonny 先生の書評、解説です。



■■■


単語は繰り返し何度も接すれば覚えられる、ということを強調したいろいろと工夫のされた一冊です。

CDも付いており、例文もテーマごとに分かれていて、その中で同じ単語や類語が何度もくどいくらいに繰り返し出てくるので、覚えるということにおいては連想もしやすく、派生語も含めて思い出しやすいようにできているのではないかと思います。

各テーマは一応のストーリーとして前後の文がつながっているので、文を読んで解釈しながら単語を覚えていくとよりいいでしょう。

ただ不安に感じるのが、例文は繰り返し同じような意味を含むことに重視しすぎたのか、実用的にはやや強引というか、語法としては実践的な文が含まれていることが一つ。

他に、一つのテーマの下にグルーピングすることにこだわりすぎた反面、そのテーマのイメージが強く残り、いざその単語をランダムに個々で問われた時、また違うテーマの下に出題された時にどこまでその意味を思い出すことができるかという点です。

特にテーマの異なる長文で、その単語をきちんと文脈に即した判断ができ、正しい意味が言えるかといえば、それは別問題になるでしょう。


CD、反復練習を通して機械的に覚えさせようとする単語帳は最初の段階としてはいいのですが、いざ実践となるとそこからは単語帳としての役割は100%とはいえないのが現実です。

どの単語帳にもいえることですが、単語帳を勉強する時は、単語もやりつつ、長文も同時に進めてその単語が実際の文でどのように使われているかを考えながら学習していくことが必要です。



■■■



私、VIVAの感想としましては、CD自体はなかなかリズムがあって良いのですが、ひとつひとつ番号を読むのが、個人的には耳障りですね。あと、私の授業では、単語とフレーズのディクテーションテストに、文を読んでくれる“間” がちょうど良いので、使ったりします。


Jonny先生の感覚は、ネイティブレベルですから、不自然な文が気になるのですね。なるほど、私も参考になりました。


もう一点、単語のレベルが、センター試験の域は出ないかなという気がしますので、トップレベルを狙う生徒が使うにはちょっと物足りないですね。 例えば 『ターゲット』などと比べると、かなり易しい印象です。


音読英単語 基礎1200

ビーエスエス

詳  細




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『音読英単語 Stage2』 岡田賢三、温井史朗 著 Z-kai
増進会出版:1260円

『速読英単語(必修編)』 風早 寛著 (増進会)Z会 【大学受験 英語 参考書(単語集)】

2006年11月14日 | 大学受験【英語】参考書など


速読英単語 必修編.jpg


以前申し上げましたが、当教室には私なんぞより優秀な英語教師が何人もおります。これまでも、“ターゲット”や“キクタン” を取り上げましたが、今回は、中川校のKOU先生に、これも単語学習の定番、“速読英単語(増進会)”を紹介していただきました。

以下が、KOU先生の書評・解説です。


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こんにちは、VIVAさんと一緒に、高校生に英語を教えているKOUです。他人の家におじゃましたみたいで、緊張しますね(笑)。

本書は、先日立ち寄った有隣堂でも、受験用英単語帳人気第1位になっておりました。

「文脈の中で単語を覚えさせる形式」 の草分けであり、その分野では対抗馬が見当たらない状況の本書ですが、私が受験で使った頃はまだまだ認知度が低かったので、隔世の感があります。

また、当時は増呈版でしたが、現在は改訂第4版が流通しており、以下のような改善点が見られます。



まず、文章内容に多くの変更点はないものの、①「かなり平易な英文に」書き換えられています。必須1500語(改訂版は1850語)レベルの単語帳なのに、かつての英文では難易度が高く、速読教材として必ずしも適当ではなかったので見直されたのでしょう。


また、②「読み下し式の和訳」③「語源コラムの充実」④「出題頻度順の語義」⑤「熟語・コロケーション・語法解説の充実」など最近の英語学習における流行をそつなく網羅した感がありますね。

さらに、学習法はもちろんのこと、別冊では⑥「出題英文の簡単な解釈解説」とご丁寧に⑦「英語学習Q&A」までついていますから、一人で学習する際に困ることは少ないでしょう。


ただ、他の単語帳もそうであるように、誰にでも薦められるわけではありませんので、以下のことに注意して下さい。



まず、「英文法はひと通り学習してあり、簡単な解説と和訳で英文の仕組みを理解できること」。そうでないと独習は厳しいでしょう。

次に、「この単語帳を使って学習する十分な時間があること」。英文読解を含みますので、他の単語帳よりも格段に時間を要します。学習法通りきちんとやったら1単元に1~2時間は必要です。

最後に、「英語長文を読むのが大嫌い、ではないこと」。英文を読むのに苦痛を感じるようだと、途中で投げ出すか、英文を読まずに単語だけ覚えることになりがちで、そうであれば始めから別のタイプに取り組んだ方が効率的です。


まとめると、「学校・塾などで英文を読んで、出てきた単語・派生語を覚える」王道と呼べる語彙増強法を、ある程度一人でできてしまうよくできた単語帳ですが、それなりの忍耐力と時間を要しますからその覚悟はして下さい、ということですね。

また、速読英熟語のイディオム、さらに難関大学志望なら速単上級編の語彙も必要になりますから、そこまできちんとこなして、となると、ますます時間を要します。かといって、これだけで英語学習はOK!でもありませんから、そういう意味では、帯に短したすきに長しになりかねない、意外に扱いの難しいテキストかもしれません。


■■■


なるほど、さすがKOU先生ですね。私もそんな気がしておりました(笑)。大変良くできた単語集なんですが、単なる暗記のための単語帳というより、テキストレベルですから、この一冊で英語を磨くというくらいの気合がないと続けられない。

完璧を求めた単語集で、そのとおり仕上がっているために、返ってヘビーな本になって、完全に単語集というものの概念を越えてしまった、あるいは変えてしまった一冊ですね。完璧すぎるのがあだになっているというか…。


しかもボリュームたっぷりですから、やるには相当な根性が必要かなという気がします。


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速読英単語(2)上級編 [改訂第3版]

Z会出版

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『速読英単語(必修編)』 風早 寛著 (増進会)Z会
増進会出版:464P:1050円


『英単語ターゲット1900 (4訂版)-大学入試出る順』 宮川幸久【英語・参考書】

2006年11月07日 | 大学受験【英語】参考書など
 

英単語ターゲット1900.jpg



前回の 『英作文のトレーニング』 の解説が好評だった、独身、ハンサム、英検1級の福原先生にお願いしました。

単語暗記といえば、ターゲット、根強い人気があります。いかがでしょう。

以下が福原先生の書評・解説です。


■■■■■

こんにちは。今回取り上げるのは、『ターゲット』、単語集の定番です。“target”という単語の意味を知らないけど「ターゲット」はとりあえず持っている、そういう高校生さえいるとの噂です。(未確認情報)

10月に改訂版が出ました。結論を言いますと、配列や例文などをマイナーチェンジしたようですが、旧版を捨ててまで買う必要はないでしょう。

私がよく使っていたのは、さらにその前の第2版ですが、トップに登場する単語は昔も今も変わらず “succeed”。 このこだわりは良いとして、続いて“accomplish” や “fulfill” など、同系の意味の単語が続くというグルーピング。

どうなんでしょうか。見た目の整合性はありますが、「成功する」→「やりとげる」→「果たす」と一連の流れの中で答えていくだけでは個々の単語は身に付かない気がします。


そして、この弱点(?)を補うべく、単語カードが別売りされています。1セット1260円で3セットまで買わないと、本体に収録されている全ての単語をカバーできないという見事な抱き合わせ商法ぶりですが、本体をただじっと眺めているよりははるかに効果的だと思います。(なお最新版対応のカードはまだ本屋さんで確認できていません)
また、CDも欲しいところですが、CD付きだと、5枚も!あって 2310円。


「ターゲット」に限らず、単語集というのは、買ってからの「使い方」次第だと思います。手にすることによって、“これさえ覚えれば完璧だ”、という安心感はターゲットならではですが、誰もが同じような商品を買っているわけですから、使いこなしを工夫しなければ差はつけられません。

単語でお悩みの際は、いつでも相談に乗ります。代々木教室 で待っています。



■■■■■


う~ん、そうですね。ターゲットは、何でこんなに人気があるのでしょうか。バイブルと化しているような気がします。

ブラッシュアップテストが日本語訳の三択なんですが、これはちょっと使えないですね。当たってもあまり意味がないし…、問題形式にも工夫が欲しいですね。


かなり高度な単語まで含まれていますので、志望校の過去問などをよく検討して、本当に全部覚える必要があるのかどうか考えて欲しいですね。 他に様々な工夫のほどこされた単語集がたくさん出てきましたので、その点でもやや見劣りするというのが私の意見です。


いずれにしろ、キクタンのところで言ったように、●単語集の鉄則● を思い出して下さい!


ブランド信仰、禁物!

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英単語ターゲット1900 4訂版[CD]

旺文社

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 『英単語ターゲット1900(4訂版)-大学入試出る順』 宮川幸久
旺文社:475P:1050円


『キクタン-コーパス英単語【スーパー12000】』 アルク(聞く単語集)一杉武史【英語・参考書】

2006年11月07日 | 大学受験【英語】参考書など

キクタン.jpg


他の先生に頼らずに、私VIVAも一つ(笑)。 

実は、単語集のコメントも欲しいという要望が多いのですが、これまで、単語集の紹介や解説は避けてきました。

というのも、単語集は、他の参考書以上に、生徒の好みや、学力や志望校によって、合う、合わないという面が強くありまして、ネット上で相手の学習状況を知らずに、“お薦め” というのは “危険” です。

もう一点、やる気満々ではじめても、丸々一冊、完全に覚え切る生徒が極めて少ないため、それをあてにしてしまい、他の単語学習をやらない場合、結局どちらも身に付かず、最悪です。それよりも授業で使った単語の暗記を徹底して欲しいから、という意味です。


当教室では、ほとんど授業で使ったテキストや過去問から単語を選び出し、それに同意語や関連語などを羅列して覚えていく方法がもっとも効果的だという方針です。東大、京大、早稲田、慶応、上智であれ、それで十分おつりが来ます。


そう信じてまるっきり疑っておりませんが、こうしてブログをはじめると、読者の方はこちらの生徒ではありませんし、それぞれの特徴だけでも良いから、専門家の目で判断したことを教えて欲しいという声があり、当塾にもほとんどの単語集はそろっておりますので、それにお応えしようということです。


というわけで、他の英語講師から、『これ、なかなか良いですよ』 と持ってきてくれた一冊、灘高キムタツ先生が、ブログで絶賛しておられたのが本書ですが、私は少し異なる意見です。教える相手が、灘高生という、日本有数のトップクラスか、それ以外かという違いかもしれませんね。


極めて個性的な一冊です。最大の特徴は、チャンツと呼ばれる、音楽を流しながら、【英単語→日本語→英単語→まとめ】 という流れで、どんどん聞きながら進められることです。

正直、音楽というのはどうなんだろう、飽きるんじゃないかと思いましたが、そんなことはありませんでした。 単語は文の中で覚えるというのが、王道ですが、文やフレーズはテキストに任せ、CDでは単語のみを次々聞かせ、効率よく頭に残してしまおうという作戦です。

テキストの方も予想以上に丁寧。フレーズ、文、派生語までしっかり書かれており、その点は高く評価できます。

アルクで試聴できます。こういうところは良心的。ぜひ聞いてみて下さい。本物より音質は悪い気がしますが…。

→  
http://shop.alc.co.jp/spg/v/-/-/-/7006064/


さて、問題は、このスーパー12000は明らかに、大学入試レベルを越えています。使うとしても、その下の6000語レベルで充分でしょう。本書は、上智大学や慶応の総合政策や環境情報の受験者で、英語が極めて高度で、配点が高い受験生だけでよいでしょう。

よく見たら帯に、ハーバードだって行けるかも!だって(笑)。このレベルは英検一級、あるいは、TOEIC満点ねらいですね。


もう一点、アルクは本書の単語選択に、SVL12000という分析を使っているようです。それ自体は非常にすぐれた、英語学習や、ボキャブラリービルディングの目安になりますが、その重要度のランク付けが、受験英語と若干違う印象を私は持っています。


その意味でも、本書は単語学習の中心にするのではなく、6000レベルに留めて、それ以上は、別のテキストや過去問などからひろったらどうでしょうか。

利点は、通常、本でいちいち文を確認しながら進めるというのは、相当な忍耐力が必要ですが、本書なら、音楽を聴きながら覚える方法を取っていますので、格段に継続しやすい点です。

仮にテキストに飽きてしまっても、CDだけなら、何とかなります。ただし、それでも、聞いたことがないものばかりの、難し過ぎるのは危険です。

通勤通学で、時間をかける人には、向いている一冊だと思います。


●単語集の鉄則● 

どんなにすばらしい単語集だと、先輩や先生が言ったとしても、万人に合うものはない。自分の目で判断するか、自分の実力や性格を良く知っている人に判断してもらおう。なるべくなら、別売りでなく、CDが付いているものが良い。何よりも、学校や塾の授業で出てきたものは、最優先で覚える。

(使い方が間違っている人も多い。その点に関しては、また別の機会に)



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『キクタン-聞いて覚えるコーパス英単語【スーパー12000】英語の超人になるアルク学参シリーズ』 一杉武史
アルク:376P:1680円

キクタン Super12000―聞いて覚えるコーパス英単語

アルク

詳  細

キクタン Advanced6000

アルク

詳   細

『英作文のトレーニング』石神勉 著(増進会出版社・Z会出版)【大学受験・英語 参考書】

2006年11月03日 | 大学受験【英語】参考書など


英作文のトレーニング【入門編】.jpg      英作文のトレーニング 【タ践編】.jpg

大学受験用の英作文の参考書です。当塾には私なんぞよりすばらしい英語の先生が何人もおります。

本書に関しては、代々木校の福原先生に解説してもらいます。福原先生、英検1級持っていらっしゃいます。独身です。ハンサムです。いかがです?(何が?)

以下が福原先生の書評・解説です。

■■■■■

はじめまして、VIVA先生と一緒に英語を担当している福原と申します。よろしくお願いします。
【入門編】
英作文の1番の上達法は 「先生に見せて、添削と解説を加えてもらうこと」 ですが、この方法を問題集の中で再現したのがこの『英作文のトレーニング・入門編』です。入門編といってもそこはZ会、ある程度の文法力と語彙力、そして日本語力がないと門前払いを食らいます。

生徒が間違える⇒先生とネイティブが突っ込みを入れる、というパターンで100題収録されています。日本語と英語の発想の違いについての解説は実に参考になりますが、それ以外の文法、語法、構文に至るまでそれこそ「かゆい所まで手が届く」網羅ぶりが読んでいてちょっと辛いかも。

これなら文法、語法の問題集を別にやった方が効率的な気がしないでもありません。問題文は全てオリジナルで、しかも実によく練られた日本文ばかりなので、本屋さんで自分との相性をチェックしてみる価値はあると思います。
 
【実戦編】
一方、実戦編の方は、全て大学入試問題からの収録で70題。問題文が長く複雑になった分、英語を書き始める前の戦略に重点が置かれています。

英作文の核心ともいえる 「日本文に対する分析力」 を鍛えてくれます。この時期の受験生なら入門編を飛ばしてこっちから入ってもいいでしょう。英作文の解答例を見て「なあんだ、この程度の英語なら書けるよ」と思ったことはありませんか? 

この考えは禁物です。試しにその英文をもう一度日本語に訳し戻してみましょう。きっと最初の日本文とはだいぶかけ離れたものになるはずです。この日本語のギャップを埋められるかどうかが英作文の難しい所だと思います。

すぐれた問題集は数多くありますが、「日本文に対するアプローチ」「日本語と英語の発想の違い」に特に力を入れているという部分で、今回この2冊をご紹介しました。 

■■■■■

ということです。福原先生のブログはありませんので、ご質問や、他に取り上げて欲しい書籍などの要望は、私のブログか、当教室のHPに直接書き込んでください。

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実戦編 英作文のトレーニング

Z会出版

詳   細
入門編 英作文のトレーニング

Z会出版

詳   細


『[入門編] 英作文のトレーニング』石神勉
増進会出版社:240P:1020円

『[実戦編] 英作文のトレーニング』石神勉
増進会出版社:240P:1225円 


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『安河内の英語魂』 安河内哲也 (ダイヤモンド社)

2006年10月28日 | 大学受験【英語】参考書など


eigo魂.JPG

副題は 『 偏差値50から東大・早稲田・慶応・上智に受かる英語力を身につける究極の勉強法 』。

表紙うらには、でかでかと、『死ぬ気でやってみろ!』 と書いてあります。 びっくり。


産経新聞の書評では本書を、“入試まであと4ヶ月に迫った受験生にはうってつけ”であるとし、

文法の形や理屈だけを覚えるのではなく、“聞いて話し、読んで書く”実践的な英語を身につける方法論を述べている。「英語、英語」と頭を悩ませる受験生を抱える親の方も一読して、いっしょに英語を勉強してみては。』 と好意的に書かれていたので購入してみました。

安河内先生の本は、以前、『きめる!センター英語リスニングトレーニング』 をご紹介させていただきました。テキストには注文を付けたのですが、BGM付きCDは気に入っておりましたので、期待をして読みました。

そうですね、単語暗記など、英語の勉強方法をずらっと紹介しているのですが、通り一遍と言っては申し訳ないのですが、もう少し掘り下げて欲しかったです。

これなら少し前にご紹介した『東大生が教える!超暗記術(徳田和嘉子著)』 の方が、ずっと実践的だと思います。 確かにいくつかは参考になる指摘もありますが、とても、副題にあるような、早慶上智レベルではありません。英語の指導経験があって、方法を工夫したことのある人間であれば、アルバイト学生でもアドバイスできるのではないでしょうか。

英語の参考書なのか、英語に関するエッセーなのか、残念ながらやや中途半端な印象を持ちました。 誤植も目に付きます。特に、分数の解説のある、P171は肝心のところでミスがあるので、受験生は戸惑うでしょう。

非常に売れている、泉忠司先生の『歌って覚える英文法完全制覇』 も肝心なところでの、誤植の多さに驚きました(そういえばこれも産経の書評に出ていた)が、英語の本ですから、英語の部分だけでも細心の注意を払っていただきたいですね。ホントに。


英語の勉強すべてを網羅しようとしているため、結局、リスニングにしても、文法や作文にしても、説明や例文が少なく、それを補うように、各課の最後にご自分の別の参考書を紹介されています。実際、本書よりそちらの方が良いでしょう。

厳しい書評になりましたが、安河内先生は、アマゾンで見ますと、著作が60冊以上になっています。また、東進ハイスクールのカリスマ英語教師と言われ、受験生に対する影響力はかなり大きいはずですから、もう少し丁寧に作って欲しかったですね。

英語を教えた経験のないアルバイト講師が、指導方法の参考にするのが良いかもしれません。失礼ながら…、安河内先生! 『死ぬ気』で書いていただきたかった。


http://tokkun.net/jump.htm 

安河内の英語魂 偏差値50から東大・早稲田・慶応・上智に受かる英語力を身につける究極の勉強法

ダイヤモンド社

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『安河内の英語魂』 安河内哲也
ダイヤモンド社:214P:1365円 


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『灘高キムタツの東大英語リーディング』 木村達哉

2006年07月15日 | 大学受験【英語】参考書など

待望の、灘高キムタツこと、木村達哉先生の東大英語リーディングが発売されました。『東大英語リスニング』が高い完成度を誇っていましたので、注目していました。 ( リスニング3部作について )

本書、東大英語リーディングでは、リスニング以上に、“東大” に特化しています。すべて東大の出題形式に合わせ、しかもそれぞれの問題形式の難易度を、本試験と同程度、それより易しいもの、本試験以上と3タイプに分けるほどの徹底振りです。

従って、当然使える生徒も絞られます。東大を冠するに恥じないレベルを維持しており、同じカリスマ英語教師といわれる、竹岡広信先生の『 超難関突破!解ける!英語長文 』 と好対照です。竹岡先生のテキストでは、英文はとても易しく、短くし、解説に紙幅を割いていましたが、やはりセンター試験レベルという印象を持ちました。本書はまるっきり逆です。

英文も長く、ハイレベルです。文法解説も限られていますから、基礎力がないと使いこなせません (使いこなせない人は私が教えますから当教室へどうぞ!(笑))。要するに、本書では、文法、構文解説を省いてでも、多くの英文を読ませようという意図があることは間違いないでしょう。

さて、本文に使われていて、目に付いた難しい単語を無作為に10個あげてみましょう。

whizz:pester:cryonics:venison:braids:flimsy:batch:slouch:averse:adamant

いかがでしょう。これらの単語の意味がすらすら言える受験生はほぼ皆無でしょう。このテキストではこういうものが容赦なく出てきます。

で、ポイントはここなのですが、本書の主張は、『こんな単語は知らなくても良い。未知の単語は誰にもあるし、本番の東大入試でも遭遇するだろう。ただ、難しい単語を知らなくても得点できる方法は、このようにいくらでもある』 そんな感じでしょうか。

戦略的な読み方を披露し、本試験以上のレベルのものまで、解き方を伝授しているわけです。パラグラフリーディングやディスコースマーカーなどですね。時間配分にいたるまで、細かく指示します。このあたりは丁寧で、私立上位校受験者にも通読させたい内容です。

(一点だけ:P45の解説に(8) 【 any とあるので複数形にする】、とありますが、【 are があるので】 としていただきたい)

CDは付いていませんから、ぜひ東大リスニングと併用して欲しいですね。(もう一点:アルクに言って、一つだけでもいいので、キムタツリスニング日記 からでもログインして、購入した人は住所氏名などを記入の上、音声ファイルがダウンロードできるなんていのはどうでしょうかね。みんなiPod持ってるでしょ?)

それはさておき…、やれば、飛躍的に力は付くでしょう。しかし、問題は一人でやり切れるかどうかでしょうね。この問題集で、キムタツ(失礼)は本書文中の優しい言葉とは裏腹に、まるで『どうだい、このレベルの英文と互角に戦えるかな 』 と東大志望者を挑発しているかのようです。

じっくりやるなら、夏休みからでないと間に合わないでしょう。明日からの連休中にでも、書店で手に取り、最高峰への道の険しさにひるんで、他を探すか、あるいは、この強敵との戦いにあえて挑むのか、じっくり見てください。トップレベルを目指すなら、チャレンジしたら良いでしょう。


ついでにもう一つ。まぁ、考えてみてください。東大を受験する生徒は毎年、1万人程度(前期)しかいません。センター試験なら50万人以上います。どっちを対象に参考書を書いたら得か、小学生でもわかるでしょう。あえて究極の参考書を作ろうとしたキムタツ先生のチャレンジスピリットが立派、そして見事に作り上げた実力にも敬意を表します。


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『灘高キムタツの東大英語リーディング』木村達哉
アルク:228P:2310円


P.S.  例によって本書には、東大生インタビューもあります。受験生は読みたがるんですよね。赤本の特派員通信とか…(笑)。我々、塾講師は読まないし、時には不適切なアドバイスがあります(合格した高揚感からついつい…)から、『正直いらない、その分、解説にまわして』 と書こうかどうしようか、ずいぶん迷いました。ところがですよ、本書には私と同じ高校を卒業した東大生、つまり後輩が出ているではありませんか!キムタツ先生がインタビューしているではありませんか!しかもその彼女、良いこと言っているじゃないですか!私もついつい読みましたね~(笑)。

灘高キムタツの東大英語リーディング

アルク

詳細


せっかくですから、今日はキムタツ風でやってみましょう。

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『入試超難関突破!解ける!英語長文』竹岡広信

2006年06月08日 | 大学受験【英語】参考書など
 

ドラゴンイングリッシュの竹岡先生の長文問題集、16題の長文からなります。CDが音読用に1枚付いています。

竹岡先生をTVで拝見し、その情熱、共感できる指導方法など、すばらしいと思っておりますし、これまで 『ドラゴンイングリッシュ基本英文100』や『センター英語[文法・語句整序・リスニング]の点数が面白いほど取れる本』 も満足できる参考書でした。

しかし誠に申し上げにくいのですが、本書の英文はとても超難関突破のものではありませんし、かなり古く10年以上前のものも含まれており、すでにどこかのテキストに載っているものや、私の知っているものばかりでした。

その上、易しすぎます。確かに学力低下は顕著だと感じておりますが、このレベルでは家で予習すれば、ほとんど間違えないでしょう。東大の英語は、英文自体は易しくても、設問が難しく、ワナがあったりしますが、それにしても、という気がします。せいぜいセンター試験、私立中堅レベルで、“超”難関とはとても呼べない。残念です。

ただし、解説自体はすばらしいです。さすがです。通常の長文読解テキストには出ていない説明がたくさんちりばめられています。それはいくつもあるのですが、一番単純な例で、私もどうしてテキストに載っていないのだろうと思っていたテクニックの一つに『アー』の発音があります。 【要するに、hard と heard などの違いです】

生徒はみんな悩みます。しかし、例外もあるのですが、単に【 ar のつづりと ar以外のもの 】と区別しておけばほとんど正解できると思います。これがうれしいことに本書には出ています。私ははじめて見ました。(ただし、【 ar と ear は違う 】さらに、【 例外は heart と guard 】、と書かれているとより親切ですが)

こういう竹岡先生ならではの、受験生にとって得がたい情報がいくつも載っています。
結局、竹岡先生ほどの力があれば、料理する英文がなんであれ、そこにいろいろな味付けを加えて、内容の濃いテキストに仕上げられるということでしょう。選択した英文だけが悔やまれます。

教える側からすると、確かに英文を選ぶ作業は大変で、ついつい予習や細かなチェックの要らない、知っている英文に頼りがちです。痛いほどわかりますが、やはり竹岡先生には、その労をいとわず、最高の問題集を作って欲しかったですね。

(そういう事情があり、灘高キムタツ先生の東大リスニングのような英文を読解に使いたいと申し上げたわけです)



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『入試超難関突破!解ける!英語長文』竹岡広信
旺文社:208P:1428円


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入試超難関突破!解ける!英語長文

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『歌って覚える英文法完全制覇』 泉忠司

2006年04月22日 | 大学受験【英語】参考書など


                        

本書は“超人気カリスマ大学講師”と呼ばれている、泉忠司先生の著作です。何と言っても、歌って覚えるというのが、目新しい作戦で、CDに文法上の構文が歌として11曲も入っており、かなり売れています。ただ、残念ながら、私にはとても生徒には薦められないものでした。

まず、CDですが、プロの歌手と泉先生ご本人が熱唱しておられるのですが、ネイティブではないので発音が悪く、カラオケを聴かされている気分です。ジェイポップだと割り切ればまぁ楽しめますが、さすがに英語の教材として薦めるのは難しいと私は考えます。センター試験でリスニングが課せられている時代ですから…。

本の方ですが、英語が苦手な生徒を対象としているためか、英文法は簡単だということを強調するためか、基本のところや、考え方自体は記述もわかりやすく良いのですが、やや高度なものに対して解説が少なすぎます。これを『史上最強の一冊』と呼ぶのはかなり苦しい。

明らかに誤記だと思われるものもいくつかあります。例えば、P134の大きな図のまとめ、せっかく良いまとめ方なのに、『副詞相当語句』のはずが、『名詞相当語句』になっていて、偏差値30台の生徒ではまったくわからない恐れもあります。また、P180の“仮定法のif節にwillが入る場合”というところでCDの一節を抜き出し“If you would give me another chance, ~”とあり、“この文のようにwillが入ることがあります。”となっていますが、この文にはwillが入っておらず、willとwouldの違いを説明するところですから、きっと生徒は混乱します。またif節のwillを用いた文を仮定法と言ってしまうのも、私とは見解がまったく異なります。

仮定法に関して、さらにp176に“If you insisit that saying goodbye is for the best, I'll sail this ship alone."のCDに入っている文を出し、これを動詞が“現在形”であることから、【仮定法現在】と解説していますが、これでは中学で習う副詞節で現在形を用いる形がすべて、仮定法現在となり、【時、条件を表す副詞節だから現在形を使う】という文法事項とどこが違うのか、これも理解不能になってしまうと思います。仮定法現在とは、『現在形ではなく“原形”』を使わなければならない形の英語のことをいうのが一般的でしょう。

他にも多くの疑問をはさみたくなる記述が散見されます。いわゆる「くじらの公式」について “ただ、はっきり言ってこの構文は大学入試以外で見たことがありません。” とありますが、もしこれが本当なら、失礼ながらかなり英語に触れる量が少ない方だと感じます。

(ちなみに今年の京大入試にもくじらの公式と仮定法現在を含んだ以下の和訳問題が出されました)

『If rational examination revealed that we had been unfairly treated by the community, philosophers recommended that we be no more bothered by the judgement than we would be if we had been approached by a confused person bent on proving that two and two amounted to five.』

(recommended that we be の be が仮定法現在)

生徒の負担を軽くしたい、効率を上げてやりたいという意図で、なかなか良い記述もたくさんあるだけに、残念な一冊になってしまっています。同じ文法説明なら、ドラゴンイングリッシュの竹岡広信先生の著作の方に軍配を上げざるを得ないと感じます。

http://tokkun.net/jump.htm


歌って覚える 英文法完全制覇(CD付)

青春出版社

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『センター英語[文法・語句整序・リスニング]の点数が面白いほど取れる本』竹岡広信

2006年04月06日 | 大学受験【英語】参考書など
 
ドラゴン桜、ドラゴンイングリッシュの竹岡広信先生の本です。題名からもわかるように、本書はリスニング専用の教材ではありませんが、受験生なら知りたいでしょうからコメントします。

全体で300ページ近くあり、かなりのボリュームですが、リスニングに割り当てられているのは、そのうち50ページほどです。表紙に【0からはじめて100までねらえる】とありますが、リスニング対策としては不十分と申し上げなければなりません。0からの人にとって、これだけでは解説も問題量も大幅に不足しています。しかもCDの問題には試行テストのものが入っており、すでに受験生の多くが、どこかで聞いているでしょうから、新しい情報はさらに少ないことになってしまいます。

実は、本書の中で、★短期間でリスニングの得点力を上げるにはリスニングテスト用の教材が最適である。(中略)だから設問がついたリスニング教材で集中力を磨くこと。(中略)まずはこの本のCDからすぐに始めよう!★

と、暗にリスニング対策は本書だけでは不十分だと正直に認めています。これ一冊で完璧、などとは書いていないわけです。さらにリスニングは簡単だと宣伝するものが多い中で、竹岡先生は

★「毎日最低15分はリスニングしよう」なんて「ぬるい」ことを言っていては伸びない。(中略)「もうリスニングと音読なんていやだ」とため息がでるほどやること。★
と他書と違い、リスニング力アップの困難さを率直に認めており、非常に好感が持てます。

リスニング以外、つまり語句整序や文法に関してはセンター対策としては本書で充分でしょう。かなりの問題量と丁寧な解説が付いています。英語講師が見ても、参考になる問題分析・解説があり、あとはまとめ方、すなわち生徒自身が本書を実際に手に取り、使いやすいかどうかで判断すれば良いでしょう。ただここまで徹底してやるにはかなりの時間の確保が必要で、直前向きではありません。

また、CDの後半に発音・アクセント対策の部分が入っていますが、これらはセンターに限らず、大いに活用できそうです。こういうまとめ方をしているCDはありそうでなかなかありませんから。
センター試験英語〈文法・語句整序・リスニング〉の点数が面白いほどとれる本

中経出版

詳  細


http://tokkun.net/jump.htm

『センター英語[文法・語句整序・リスニング]の点数が面白いほど取れる本』竹岡広信 
中経出版:295p:1470円