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コラム 『英語を子どもに教えるな』市川力

2006年05月19日 | コラム・備忘録

書評として当ブログを見ていただいている方には、おきて破りで申し訳ないのですが、もう一度本書をブログに掲載します。というのも、さきほど、フジテレビのニュース番組の特集で、市川先生のお姿をはじめて拝見し、また、もう一つ、たまたま今月の当教室のメルマガに小学校英語について、私がコラムを書いたばかりで、私の意見をブログに残しておきたいためです。明日はきちんと別の書評を載せる予定です。


本来の本書の書評はこちらにあります。ご覧いただければさいわいです。




『小学校の英語必修化について』
                    
英語学習は早ければ早いほど良いとお考えになるのは理解できます。しかし英語や英語教育に関しては、『通説』を通り越して、ほとんど『神話』と言っても良いほどの誤解があることを、まずは確認していただきたいと思います。

よく言われる“中高大学と10年間英語をやっても、しゃべることができない”、という言われ方です。“アメリカなら5歳の子でも流暢に話すのに…”というやつですね。そう言いたい気持ちはわかりますが、的外れです。

これを聞くたびに私は漢文の例を出すのですが、“返り点、一二点”などを駆使して中国人にはまったく伝わらない読み方を発明し『師いわく…』などと日本語に“読解”し、味わい、そこから何かを学んできたのが日本人です。漢文は読めても話せないではないかという批判は聞きませんし、英作文ならぬ『漢作文』など入試でお目にかかりません。

英語も同じです。大学入学後、英語で専門書を読むのが目的ですから、大学が求めているのは読解力。入試にリスニングなどを課す大学がいまだに少数なのはそのためです。発信型の英語ではないのですから、話せなくて当然なのです。外国のことを学ぶため、昔は漢文、明治以降は英語を正確に読み、知識を吸収することによって、驚異的な成長を遂げてきたのです。

話せないかわりに、日本のトップレベルの大学受験生は、欧米の標準的な18歳よりも難しい英語を読むことができます。外国人に入試問題を見せると一様に驚きます。“本当に日本の18歳はこの英語を理解できるのか”と。そういう時には、『当然だ、難しくない』と答えることにしています(笑)。

また、日本人の英語力がトイックなどの国際比較の点数でアジア最低と言われる時に、必ず付くコメントが、『文法はできても生きた英会話ができない』という英語教育に対する批判です。これは英語の専門家の中にもかなり蔓延しているひどい誤解です。日本人の点数が低いのは、会話ではなく読解です。

実は今の日本人は国際的に見ても会話はできるのです。得意であったはずの読解ができないために、点数が下がっているのです。

以上のようなことをふまえて、小学校ではどうするべきかを論じてもらいたいのです。現状分析を誤っては、対策も的外れになります。といってももう紙幅がありません。小学校の英語必修化の問題点をあげておきます。

①教える人:小学校の先生方が担当されますが、英語を教える経験も資格もありませんから、ネイティブスピーカーが補助をします。ALTと呼ばれる彼らは、ほとんどが子どもに教えた経験すらない、アルバイトの人々です。

②統一性、効果と評価:『日本教育新聞』の数多くの例を見ますと、各小学校、進め方はバラバラです。近くのアメリカンスクールと交流するというものもあれば、毎日、英語に時間を割いていたり、劇をやったり、歌を歌ったりなどなどです。これでは結局、効果を比較できず、良し悪しの評価も定まりません。

③連携:一方、中学英語は何も変わらず、1年生として同じ中学に入学してくる別々の小学校の出身者の英語をどう扱うべきか苦慮します。ちょうど、ゆとり教育でも、公立校の学習内容が減っても、大学入試レベルが変わらないために、高校・大学の学習面のつながりがなくなりました。

④低学年ゆえの危険性:ベッキーや宇多田ヒカルのようにバイリンガルをめざすには、環境が整っていない場合、実はかなりのリスクがあります。心ある研究者たちは、必死でそれを訴えています。言葉の『話す』以上に大切な役割は『考える』道具ですから、どっちつかずになると精神的に不安定になます。(市川氏など)

⑤教科時間:ただでさえ少ない授業数を、さらに英語にまわし、結局、国・算・英どれも中途半端にならないかという心配。国際人を目指すなら、まずは日本語で日本のことをしっかり説明できるだけの教養を身につける方が大切です。
英語を子どもに教えるな

中央公論新社

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14 コメント

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繰り返される問題ですが・・・ (bucky)
2006-05-19 16:43:39
私はVIVAさんの考えに賛成です。自分も得意とは言えない英語ですので、単純に「流暢ならいいな」という思いはあります。けれども、「日本語で表現できない、感じられないことが英語で表現で出来るのか。」やはり、ここに行き着くと思います。ずいぶん前ですが、陸続きのヨーロッパのある小さい国の外国語教育について書かれた本に、興味深い話がありました。ヨーロッパの小国であるその国には、もちろん、その国でのみ使われている言葉があるのですが、その国が生きながらえる為には、外に英語、ドイツ語、フランス語が必要である。従って、高校生くらいになると4カ国語を使い分ける輩も少なくない。ちょっとした案内や簡単な話はすぐ出来る。但し、同時に1カ国語に秀でていない、ということが、深い思考を難しくし、国はそれに頭を悩ませている、といった内容でした。一つの言葉に習熟し、それで深い思考が出来る、その事が本当に本当に大切だと思います。そこまで思考できるようになれば、英語のナントヤラは自ずと考えるようになるであろうと思うのですが・・・理想論ですかね。すみません、長々と失礼しました。
ありがとうございます! (VIVA)
2006-05-19 17:13:30
buckyさん:少しごぶさたでした。まさかこのコラムにコメントいただけると思わなかったので感激です。実際、ほとんどの小学校で英語をやるのは、親ごさんの要望があるためで、正直、見切り発車でやらざるを得ない状況に追い込まれているようです。



ただ、親ごさんが悪いというのではなく、そもそもこういう流れになってしまったのは、“ゆとり教育”の目玉として、総合的学習の時間を中途半端に設けたためだと考えています。当時も、私はあれにも大反対でした。



本格的にやろう、効果を上げようと取り組めば、学校の先生方の準備はとても大変です。そこで、悪い言い方ですが、国際理解の名のもとに“英語に逃げた”というのが実態に近いという印象を持っています。もちろん単純化はできませんが…。



そうなってしまうと、親としては、役に立つかどうかわからないものより、英語を望む、という図式ではないかと…。



まだまだいくらでも書いてしまいそうなので、このあたりにしておきます(笑)。buckyさん本当にありがとうございました。また、そちらにもおじゃまします。
度々・・・ (bucky)
2006-05-19 20:42:47
くどいですね・・・私。というか、ブログを書いているだけでも、本当に考える切り口も、表現も本当に難しい、と日々感じているのです。この年になって、しかも少しはそういう事を意識しているのにまだまだなのです。

英語にしてもどんなレベルのコミュニケーションを目指すのか、国際的な感覚とは何なのか。

もちろん、理想論ばかり言っていても同じレベルになってしまいますが、具体的に目指すものへの過程を丁寧に展開し、実行し、検証し、軌道修正する作業があまりにも欠けているような。教育なんてそんなに簡単で、すぐ答えが出るものではないですよね?

「英語に逃げた」ズバリな気がして笑いました。



英語って本当に小学校でせんといかんのですかねぇ (Mizo)
2006-05-19 22:16:18
英語って本当に小学校でせんといかんのですかねぇ・・・

私もとてもうまいとは言えないのですが、海外出張に放り出されたら冷や汗かきながら何とか英語話そうとします。人間追いつめられれば、なんとかするもんです。

「英語学習は早ければ早いほど良い」というのは推測するに発音に効果が顕著なのでしょうね。でもインド人とか香港人の英語聞けば、「どっちでもいいやん」という気になってきますよ。
ありがとうございます。 (VIVA)
2006-05-20 02:40:03
buckyさん:いやホントにそう感じます。“逃げた”という言葉は悪いのですが…。私も小学校の先生だったら、そうせざるを得ないと思います。自分に関心があることと、授業で教えることはまったく別なんです、プロとしては。そういう意味で、教育現場を“英語”で必死で守らざるを得ない先生方には同情します。また、じっくり取り上げたいと思います。



Mizoさん:私もそう思います。つまり英語を“話す”目的や理想がはっきりしていませんね。本当に音感だけに絞って、音楽の時間にやることだったら良いと思います。

とにかく塾で教えている立場の本音を申し上げれば、“英語を教えてどうするのか”というビジョンはまったくなく、とにかく学校を魅力的に見せようとするだけのことではないでしょうか。議論がややこしくなりそうなので、このへんでやめておきますが(笑)。

コメントありがとうございました。
灘の木村です (キムタツ)
2006-05-20 18:22:29
僕も貴兄の意見にほぼ同意見です。どの程度の導入になるのか

まだ僕も知識を持っていませんが、自分の娘を見ても

公立の小学校の授業レベルはかなり低いものがあります。

現時点でもあのレベルなのに、英語が入るとなると

絶対にネガティブな方向にしかいかないと確信します。



親しむぐらいの英語授業であれば、別に小学校から

する必要はありません。むしろ弊害のほうが多いと

考えています。



英語の教員がもっと声を大にして言うべきなんでしょうが

英語教育に対する誤解が多すぎるんでしょうね。





キムタツ先生 (VIVA)
2006-05-21 00:24:21
いやぁ、ありがとうございます。まさか、先生からコメントいただけるとは…。



木村先生のような“BIIIIIG NAME”とやりとりさせていただけるのは、実にありがたいのです。先生のブログの気合から私もエネルギーを得ております。

加えて、先生のご著書ではうかがえない本音をお聞かせいただいて、いっそう感激です。



先生の【東大英語リスニング】のご紹介のときに申し上げた、究極の一冊、ぜひぜひ、発売してくださいね。
ご意見に賛成です (LEPTON)
2006-05-27 12:31:43
木村先生のサイトから訪問しました。



私もVIVAさんのご意見に全く同感です。



ただでさえ、レベルが下がっている小学校で中途半端に英語教育を導入することには却って逆効果を生むことになると思います。



それよりも、もっと国語力をつけることが大事です。



TOEICについても、統計の表面的な指標のみで論じられることが多いですが、読解力が下がっているとは言え、日本の英語力は世間で言われているほど、低くはないと思います。



むしろ、日本では幅広いレベルの層が大量に受験するため、平均点が見かけ上、低くなっているという側面もあると思います。

興味深いです。 (立夏)
2006-05-27 22:36:09
私も大変興味深く読みました。

1歳の息子がいますが、すでに周りでは英会話教室がどうとかこうとかっていう話題が飛び交っております。

私もある程度親しむというか、楽しむというか、「コワイものではないよ~♪」というような取り組み程度ならば幼い間も多少あってもいいかと思いますが、

国語(というか日本語)すら危ぶまれている中、

「そんなに英語英語って言うけど、伝えたいと思う中身はちゃんとあるんかいな」とも思います。



こちらのリンク、私のブログでも貼らせていただきますね。また、訪問させていただきます。^-^

恐縮です (VIVA)
2006-05-28 17:47:51
LEPTONさん・立夏さん



キムタツ先生にこのコラムをご紹介いただいて、こうしてコメントまでいただきありがとうございます。キムタツ先生にも小学生のお嬢さんがいらっしゃるようですね。私にも、小6の長男と、10歳離れた1歳の長女がおります。きっとLEPTONさんや立夏さんと同年代ですね、きっと…(笑)。



塾をやっていてこう申し上げるのも変ですが、とにかく、(私立はおのおの頑張っていると思いますが、)公立校の復活を切に望んでおります。もちろん口で言うほど簡単ではありませんが。
日本語が先 (pooh)
2006-05-28 18:21:29
はじめまして。興味深く拝見しました。

私は、大学卒業後海外の院に2年間行きました。当初、全く話せない状態でしたが、英語で学び、もちろん会話もできるようにはなりました。その過程で思ったことは、日本語でできないことは英語でもできないということです。当たり前のことなのですが、人見知りや無口な人は英語になったからといって突然ペラペラと話すものではありません。かく言う私も、もともと人前でペラペラ話すタイプではないため、英語がある程度話せ、聞けるようになった今でも、外国人の中で激しく自己主張を英語で行うということはありません。それでも、友人はそれなりにできますし、困ったこともありません。

皆さんも書いてらっしゃるように、中途半端に英語が出来て、中途半端に意味のない会話を英語で行うことに何の意味があるのだろうと正直思います。必要になれば、会話なんてなんとでもなることだと思われます。最悪片言だろうが通じますし、ノンネイティブ同士の会話は、よくよく聞いているとおかしな英語で噛み合っていないことがあっても、最終的には意思疎通が出来ています。本当に英語が必要であれば、通訳を雇うなど色々代替措置はあると思います。極論ですが・・・

その前に、自分の母語をしっかり学び、その上で英語というツールを学ぶ方がよっぽど益があるのではないかと思います。最近の教科書を見て愕然としました。もっと学校で頑張って欲しいです。私は現在30代で、詰め込み勉強が批判された時期に公立の学校で学びましたが、大人になって、学校で習ったことに感謝することは多いです。

長々と失礼しました。
ありがとうございます (VIVA)
2006-05-29 03:45:06
poohさん:はじめまして、コメントありがとうございます。本当におっしゃるとおりだと思います。キムタツ先生以外でも、“使える英語”は決して、英米の子どものやり取りではない、ということを主張されている著名人はかなりいます。そういう意見が伝わらない行政、教育システムに問題ありだと思っております。
Unknown (milesta)
2006-10-02 14:31:24
iza!の正論欄からやってきました。あららVIVAさんのところじゃないですか。(笑)



私もVIVAさんのご意見に賛成です。

会話や発音は「慣れ」ですから、慣れてきたら、あとはやはり話の内容になります。母国語での思考レベルがそのまま会話に反映されますし、また中学・高校で学んだ語彙力は他国出身者に比べても比較的豊富だと思います。英語はほとんど勉強しなかった私が言うのだから間違いありません。(笑)



また子供達を見ていると、日本語力を身につけてから来た上の子は、英語の習得や理解が正確で早いけれど、日本語も片言でこちらに来た下の子は英語を耳だけで聞いて真似する覚え方なので、誤った捉え方をしていたり、自分の思うように文章が作れなかったりします。また日本語の方もなかなか上達しません。学校からもらったリーディングについてのパンフレットにも「母語が他にある子供は母語での読書をたくさんしましょう。それが英語のリーディングに役立ちます。」と書いてあります。



幼いうちに始めてメリットがあるのは耳と発音だと思いますが、そんなのはNHKの教育番組や英語の歌のCDを繰り返し聴けばよく、公教育で貴重な税金と貴重な時間を費やしてやることではないでしょう。



日本語でさえ、すぐにきれたりして「コミュニケーション能力不足」の人が増えているというのですから、まずは日本語できちんと会話できることの方が大切だと思います。



milestaさん (VIVA)
2006-10-02 17:38:41
ありがとうございます。そうですか、そんなパンフレットが配られているということ自体、勘違いしている人が多いということでしょうかね。



しかも、ご自分のお子さんで経験済みということでしたら、説得力がありますね。本当にいつも貴重なご意見ありがとうございます。

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