降って来るもの

写真と散文とぽえむ

半覚醒の葛藤

2017-02-19 06:30:06 | 随想
      半覚醒の葛藤

 真っ暗闇の午前三時ちょうどに(薄緑の蛍光色が指し示す目覚まし時計の文字盤の長短の針の位置を、枕元に置いてある”遠近両用メガネ”で確認したので間違いなく)一度、短い間だったが起きるか否かの葛藤を経験。結果、眼鏡を外し再び所定の位置へと戻して拮抗した議論の結末に従って目を閉じたのだ。
 それから再び同じ仕草を踏襲した時間が、まるで計ったように六十分後の真っ暗(二人とも寝間の明かりはそれが好みなのだ)な午前四時。三時の場合より更に色濃い侃々諤々を繰り広げ・・、が今度はなかなか結論に達せず、業を煮やして僕は半覚醒のそのまま脳内作業に移った。
 今朝のブログに書き込むべく用意していた導入部の文章をお浚いしながら、その上に継ぎ足し、省き、書き加える作業を嬉々として前頭葉のメモ用紙に走り書きしていったのだ。
 何処かに息を顰めていたもう一人の僕が、明確な意識に基づいて一行二行三行と綴ってゆく。その内に、その僕なのか?同伴の僕なのか?はよく解らなくなってしまうのだが、鉱脈を掘り当てたように未経験の言葉と文章に巡り会って歓喜し、いよいよ本当に目覚めようとする決心が芽生える。 
 暖かい布団の誘惑を振り切るように、清水の舞台から飛び降りる勇気(いやいやそんなに大袈裟な舞台じゃなくて、故郷の無人のお寺の縁側から・・のような)で起き上がった!!のだったが、あっ・・!、その途端に、その時までの全ての行為が絵空事のように掻き消された。頭の中の原稿用紙に保存したと思っていた大事な”前書き”が、Enterの代わりに間違ってDeleteの釦を押してしまったように、綺麗さっぱり失われたのだ。
 僕は流石に落胆し、その衝撃は強制的に目覚めを促し、僕は仕方なく、囚人のように項垂れて十四階段を下ったのだ。居間の時計は午前四時半。卯の刻になる。何と口惜しい。”降ってくるもの”を受け取るときは、何時でもそんな風にriskが伴う。まるで突然に実印での押印を求められて右往左往してしまうように、苦もなく、訳もなく、意味もなく言い渡されてしまう”guilty”の判決のように・・。
 瞬く間に逃走しては二度と姿を現さない”降ってくるもの”たち。油断してはなるまい。何時でも戦支度で待ち受けねばならぬと、改めて心に誓った、否、改めて身の程を知らされた夜明け前の、半睡眠の間に起こった儚い、けれど示唆に富む出来事ではあった。
 生きるとは、やっぱり、何時でも戦時中なのだ!と確かに僕は想う。

02/19 06:30:06 まんぼ
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4 コメント

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Unknown (さっち)
2017-02-19 09:13:52
春眠暁を覚えずとはよく言ったもので
私には暖かい布団の誘惑を振り切ることは出来ません。
昨日も今日も8時過ぎまで寝てしまいました。
12時前には寝たのに、朝までぐっすり!
今日は手持ちの仕事無くなったからいいけど
昨日はあっという間にお昼になって
時間がもったいないと思うことしきりです。
しかし、これは自然のリズムなのか?
身体の要求するままにするのが一番かもと
自分の都合のいいように解釈しています(笑)
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そうそう (まんぼ)
2017-02-19 11:01:22
さっちさん、おはよう!!

いつも8時間眠っているんだ。
まず眠れることが凄い!!
だから活動的で若々しいんだ

大らかに、伸びやかに
自分の都合で解釈が一番。
僕もそう思いますよ。
古希が近づいてやっとこさ
生きる極意を掴んだような・・
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Unknown (いしだま)
2017-02-19 18:00:20
私は一年中
春眠暁を覚えず でぇ~す。

そうそう、それとね。
お腹がいっぱいになると眠くなる。
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寝てばっかり!! (まんぼ)
2017-02-19 19:22:47
いしだまさん、こんばんわ!!

じゃ、寝てばっかりじゃないの!!
そうそう、伸びやかに人生を生きる
のはいいんだけど・・
食べて寝て、おお怖わ~
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