リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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人間失格(太宰治)

2013年03月31日 | Weblog
中学生の患者さんが太宰治の「人間失格」を読んでいたので、自分もKindleでダウンロードしてiPhoneに入れてあわてて読んでみました。(実は読んだことがなかった。)

こういう小説は「この感じ、分かる分かる。」というひとと「サッパリわからん」という人に分かれるんだろうと思います。
いわゆる「中2病」をこじらせたようなというのはこういうことなのかもしれません。

人間失格
太宰 治


商売柄、どうしても病跡学的に読んでしまいますが、さすが600万冊以上も売れた本だけあって、なかなか面白いです。
著作権がきれているのでKindleや青空文庫で無料で読めます。
まだ読んだことのない方は是非。

ある男の半生が独白される形で進行します。
裕福だが冷たい東北の没落貴族の家庭に生まれた自閉スペクトラム特性の強い男が、人間関係や世間への違和感が拭い切れないまま世間に適応するために道化を演じつづけ、やがて都会の学校進学するという話です。
東京では、共産主義の活動をしたりするが、なぜか女性にはもて、男めかけの境界性パーソナリティディスオーダーのようになり、知り合ったカフェの夫持ちの女性と入水(相手は死亡)したりします。
親には、ほぼ勘当され生活は破綻するが、複数の女性のもとに転がり込む男めかけのような生活をつづけ、漫画家となる。やがてアルコールとモルヒネに溺れ、脳病院に収容され、田舎に連れ戻されます。

太宰治の体験がかなり入っているようで、無茶苦茶な人生の物語ですが、なんだかわからない不思議な魅力がありますね。
こういう本に救われる人というのも相当数いるでしょうね。

「医療にたかるな」をかたる

2013年03月23日 | Weblog
師匠の村上智彦先生の新刊です。やっと読みました。

村上智彦先生の北海道の瀬棚、そして夕張での実践の取り組み記録が主ですが、同時代の地域医療周辺の有り様が存分にかかれています。
財政破綻した街である夕張で変化を拒み責任はとらないのにたかりつづける住民、ウォンツばかりを唱える患者、無能な善人である公務員や政治家、自分の目でものを見ようとしたり、自分の頭でものを考えようとしないマスコミなどとのたたかいいなども存分に触れられています。

叩かれれれば叩かれるほど、相手が大きければ大きいほど、冷静に落ち着いて対処できる村上先生の特性が存分に活かしての活躍ですが、その中に北海道への「愛」を感じました。



医療にたかるな (新潮新書)
村上 智彦
新潮社


この本では「村で病気とたたかう」の一節も引用され、佐久総合病院に息づく若月俊一先生から長先生、永森先生へ至る「医療の民主化」の流れ、自治医科大学系の佐藤元美先生から村上智彦先生に至る「地域づくり」の流れ、そして最近の在宅医療を中心としたケアからキュアへのパラダイムシフトの流れ、などのいくつもの流れがあつまり大きな動きになってきている様子がつたわってきます。
もちろん私もその大きな流れの一端にいると感じています。

そのキーコンセプトは「ささえる医療」ですが、それを実現するには景気が良かった時代なら、儲けたい「民」と、それを管理・サポートする「官」という形で仕組みをつくっていけばよかったのだと思いますが、この不景気のもとでは「公」でやるしかなく、そのような動きは全国で始まっています。
在宅医療を専門職のチームでその動きをITなども活用しておこなうオランダの取り組みなども紹介されていました。
そして地域の文化や住民の価値観にかかわる「ささえる医療」というものは、それぞれの地域で、地元の社会的資源、人的資源などをブリコラージュ(寄せ集めて自分で作る)しながら、試行錯誤して作り上げていくしかないもので、あまり具体的で緻密なモデル化をしないほうがいいのではないかと主張していました。(官僚さん、おねがいしますね。)

「医療は文化なり」というのは若月先生の教えですが、TPPに参加するとそういうものも全て市場原理で破壊されてしまうのかもしれませんね。

たかられるのは医療の宿命かもしれません。
現代において、とりあえず困ったときに駆け込めばなんとかしてくれる場所として認識されているのですから、これはありがたいことです。しかし健康や自分の人生や地域の困りごとをなんでも丸投げさせてはいけません。

しかしこれは精神科での個人相手の精神療法でも言えることですが、クライアントを一方的に甘やかせて依存させる(いったんは全てを引き受けかかえることが必要な時期もありますが)だけではダメで(「退行」しつづけます)、自立を促すために、しっかりとサポートしつつスキルを付与する関わりをつづけた上で、どこかの段階でリミットをセッティングしタイミングよく「つきはなす」ことが必要になります。子育てとおなじですね。
あわせて見えてきたニーズをもとに地域に多様な居場所と出番、サポートの仕組みをつくる活動をしながらですが・・・。
私たちのやっているのはそういう活動で、そういう意味では医療は一方的に与える「サービス」などではなく「愛」をエネルギーに「公」を実現していく社会装置でもあるのだと思います。

ささえる医療へ~地域医療第三世代の必読本

「医師・村上智彦の闘い」

貧困と無知に対するたたかい

2013年03月23日 | Weblog
山本周五郎の「赤ひげ」、黒澤明監督によって映画化もされました。
私はこの映画を学生時代に北海道のとある診療所に泊まりで見学にいったときに夜、泊めてもらった宿でみました。

赤ひげのことば。

「現在われわれにできることで、まずやらなければならないことは、貧困と無知に対するたたかいだ、貧困と無知に勝ってゆくことで、医術の不足を補うほかはない、わかるか」

「それは政治の問題だと云うだろう、誰でもそう云って済ましている、だがこれまで、かって政治が貧困や無知に対してなにかしたことがあるか、貧困だけに限ってもいい、江戸開府このかたでさえ幾千百となく法令が出た、しかしその中に、人間を貧困のままにして置いてはならない、という箇条が一度でも示された例があるか」

「そんなことは徒労だというだろう、おれ自身、これまでやって来たことを思い返してみると、殆ど徒労に終わっているものが多い」

「世の中は絶えず動いている、農、工、商、学問、すべてが休みなく、前へ前へと進んでいる、それについてゆけない者のことなど構ってはいられない、だが、ついてゆけない者はいるのだし、かれらも人間なのだ、いま富栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、未来の希望が持てるように思えるのだ」

「赤ひげ」はそうとう社会的な視点ももった医師のようですが、常に弱者の側にたち、地に足をついた実践をわすれてはいません。

日本医師会などが地域医療に貢献した医師に「赤ひげ大賞」なんてのをつくって初の表彰がおこなわれたそうです。

中には佐久の若月俊一先生や夕張の村上智彦先生のようにあえて目立って切り開いていった先生もいるのでしょうが、システムへと昇華できなかったものの、できる事を淡々とやりつづけすき間をうめて個人の努力で地域に貢献し文化をつくってきた医師はたくさんいるのでしょう。
彼らに光をあてるのはいいことだと思いますが、医療の実践を個人レベルの努力に押し付けるのは違うと思います。

赤ひげ [DVD]
クリエーター情報なし
東宝


赤ひげ診療譚 (新潮文庫)
山本 周五郎
新潮社

TPP問題の本質論

2013年03月23日 | Weblog
市場原理によって社会共通資本(医療福祉、教育、環境、農村、諸制度、民主主義・・)が破壊されるのを防がなければなりません。
TPP問題の本質はそういうことです。

TPPで経済優先のルールができれば多国籍大企業は労働者を使い潰し社会共通資本を破壊しながら儲けることができて株主の配当も増やすことができウハウハです。
大手マスコミもTPPの本質をかくしたままTPPは貿易問題、農業問題であるかのように矮小化し、まだ交渉に参加しただけで批准もされていなのにすでに参加が決まったようなムードで「通商新時代」などの連載をはじめTPP礼賛報道、世論の誘導をつづけています。
農業や医療を既得権益として非難しスケープゴートにするつもりでしょう。

最大の反対勢力であるJAはTPPの反対運動を盛んにしていますが、すでに懐柔されつつあり、結局は自民党議員と結託してTPP参加後の補償を最大化することに主戦場をうつしているように思えます。
農村に足場をおく自民党議員のほとんどがTPP反対を訴えながら全く本気をみせないのもわかりますね。



しかしこれでは、ウルグアイ・ラウンドのときと同じく補償はたんまりもらって、農業はますます弱体化がすすみ、自給率は下がり不要不急の箱物ばかりが増える。
補償をうけた農家はいいのかもしれませんが・・。まじめに農業をやりたい農家にはたまりません。
日本の農業が大打撃を受けることが分かった上でTPPに参加して、農家の減収分は税金で補填するなど、まじめに農業をやっている農家だけでなく納税者すべてをバカにしてる話です。

将来の国民にツケを先送りする旧態依然の自民党のいままでのやり方と変わりません。
結果、格差が広がり社会共通資本が壊され国家財政が失われ困るのは一般国民、将来の国民、特に社会的弱者といわれる人たちです。

何のための国家なのでしょうか?
国民はもっと賢くならねばなりません。

が、務台俊介議員の言うように保険医療機関がしめしあわせてストライキをするくらいのことをしないと国民は気づかないのかもしれません。
医療者はこの危機をどのように伝えていけるでしょうか?

でも想像してみるに医療機関のストライキは難しいなぁ。
患者さんを人質にとられているわけで、病棟や救急外来は人道的に閉められないし、通常外来も1日休みとるだけでも前後の週は激混みで大変なのに・・。
足並みを揃えてというのは相当大変そうだが、7月の参議院選挙前に日を決めて一斉にやるというのはアピールの意味合いはあるかも・・・。

ヨラシムベシシラシムベカラズ

2013年03月22日 | Weblog
「TPP反対で当選した国会議員のTPPに対する認識。」からの続きです。

TPP反対を公約に掲げ、長野2区から選出された自民党、務台俊介衆議院議員からのメールをいただきました。
選挙公約どおり、あくまで「TPP参加に賛成していない」ということをおっしゃっておられました。



「樋端佑樹さま

繰り返し申し上げますが、私はTPP参加に賛成しているわけではありません。
一方で、世論の動向は、安曇野も含め、TPP擁護論が過半であることを肌で感じます。
事務所にも「なぜあなたは反対論者なんだ。農協の権益擁護に何故加担するんだ」との意見を寄せる人が結構います。

それに対して、TPP反対論者は、「おとなしい」対応であるように感じられてしかたがありません。

罷業(※ひぎょう、ストライキのこと)というのは極端な議論かもしれませんが、ネットで訴えていれば役割を果たせるという意識では今のTPP推進派の勢いは阻みがたいものがあるように思えます。

「ヨラシムベシシラシムベカラズ」という認識は、対政府の感覚で私も感じますが、交渉当事者ではない日本政府にはそもそも情報が十分に入ってこないという現状があることも知っておかねばなりません。

何度も申し上げますが、TPPに抗せなければ離党しろという主張は言い過ぎだということだけを申し上げておきます。」

  

これに対して以下のように応援メッセージを送りました。
  
「務台俊介議員。

TPPにあくまで反対されるということ。
力強いお言葉心強い限りです。

恐ろしいことにTPPを推進する大手メディアの論調でTPP参加がすでに決定したかのような報道がなされています。
一方の最大の反対勢力であるJAも存分にゴネて補償をできるだけもらおうというような条件闘争に移っているかのようです。(これまでと同様のたかりの構造です。)

私は昨年TPPに関して信濃毎日新聞社の取材も受けましたが、さらにローカルメディアを活用し反対運動や政治のあり方についての世論をもり立てていきます。
先の選挙では政策に関してどうやっても何も選べませんでした。おかしな話です。

務台さんは「TPP擁護論が過半である、TPP反対論者は、「おとなしい」対応である」とおっしゃいますが、務台議員はTPP反対を公約に掲げ当選したのでしょう?
なぜ詭弁のような言説を繰り返されるのですか?

いくら大手メディアがTPP参加のメリットを並べ立てようとも、リーク情報から判断するに、ボッタクリバーのようなTPPに参加すること自体おかしいと思われます。
百歩譲って交渉に参加して、交渉の最後の最後で情報を得たところで6つの約束を守れる見通しが立たなければ必ず撤退の動きをとっていただきたい。
交渉は4年間は秘密にされるそうですが、国民にはどれだけのこと知らされるのでしょうか?
国民の目の届かないところで、隠れてコソコソやっているのはよからぬことをやっていると疑われても仕方がありません。

これこそ、まさに「ヨラシムベシシラシムベカラズ」ですね。
自ら考え行動する市民を育てるためには徹底した情報公開が必要です。
それこそが民主主義の根幹をなすものです。

議員にはマスメディアが伝えない、中央の空気や情報を主権者たる国民に伝えていただきたいとおもいます。

そしてもし公約の6つの約束が守れない場合は、離党しろとは言いませんが、批准の投票では覚悟をもって超党派で反対票を投じてください。
世論(つくられた世論)がとか、党議拘束がなどと逃げることは許されません。

遠く地元から応援しています。
がんばって下さい。」

市場原理によって社会共通資本が破壊されるのを防がなければなりません。TPP問題の本質はそういうことです。
務台俊介議員はポーズとしてTPPに反対して当選し、実際には安倍総理にしたがってTPPを推進しながら国内向けの条件闘争で農業団体とともにゴネて利益誘導し未来にツケを先送りし、農村を弱体化することに加担しつつ農民票だけを確保するなどという旧態依然の自民党のやり方を踏襲する方ではないと信じています。
是非、政治不信の状態から政治システムが機能するように政治家として筋を通した活動をして活躍していただきたいものです。

務台俊介議員に応援メッセージ、意見を→こちらから。

つづき→TPP反対で当選した自民党議員からの圧力?

TPP反対で当選した国会議員のTPPに対する認識。

2013年03月20日 | Weblog
TPP交渉参加に対して長野2区選出の務台俊介衆議院議員(自由民主党)とメールで質問し、やり取りをさせていています。
その内容を皆さんと共有させてください。

やる気あるのだろうか?TPP反対で当選した自民党議員達は。からの続きです。

「務台俊介議員さま。
分かりました。私は自分の出来る形でTPP反対の声を上げ広げていきます。
6つの約束を守れないのであればTPP批准反対にむけて議員は議員にしか出来ない動きでの活動をお願いします。(最大限の効果が出るように。)
それにしても、この期に及んで何故TPPを反対する議員が自民党にいるのかが不思議です。
反対勢力をまとめて離党するくらいの動きを見せていただきたいものです。

それとも安倍総理や議員にはどう考えて6項目の約束を守れそうもないTPP交渉にあえて参加表明し、しかるのちに撤退する深い考えや秘策があるのでしょうか?
(国民的議論を巻き起こし国民に民主主義や政治、国のあり方について考えてもらうというというような・・。)
しかしつくづく世論を誘導する大手メディアの罪は大きいと思います。
コーポラティズムここに極まれりですね。
ゲリラ的にネットメディアやローカルメディアを活用するしかないですが、TPP、ACTAが批准されるとそのようなことすら困難になりますよ。」

 これに対する返事です。


「樋端佑樹さま

議員に離党する行動を促すのであれば、地域医療に従事する医師の皆さまは、ストライキを行って抗議の意思を示すくらいの行動を期待したいですね。

樋端医師は、自身の行動としてどのような実力行使をしたのか参考までにお知らせください。東京の反対集会ではお見受けしませんでしたね。

TPPは国政の争点の重要ではあるけれども一つの争点でしかありません。景気対策、原発、分権、憲法改正などやるべきことは山積です。その届離党していたら、仕事はできません。



「務台議員さま。

私はTPP反対、政治システムの改革を主張していたあなたに投票しました。
ちなみに比例代表は違う党に投票しました。

もうお忘れになったのかもしれませんが、国民一人一人には日常の生活があり、生業があって政治参加が限られているから代表として議員を中央に送り出しているのですよ。

医療がストライキして国民に迷惑をかけてもいいのですか?
それにこの期に及んでTPPがひとつの争点でしかないという認識は相当甘いとおもいます。

私はTPP問題を通じて、やはり今の政治体制ではこの先の日本は危うい、政治に参加し声を上げて行かなければだめだということを身近な人と話し合い、インターネットなどでもアピールしていきました。
今後はそれに加え、特に自由民主党による江戸時代と変わらぬ「由らしむべし知らしむべからず」という体制こそが最大の問題点であるということも主張していきます。」



この大事な局面で政治家としての仕事に対して覚悟を持って臨んでくださいと言っただけなのですが・・・。

TPPは世界中の諸国民が幸せになるための枠組みではなく、自由貿易を装ったブロック経済で民主主義や国家を無力化し社会共通資本を破壊して多国籍企業が利益をあげるための枠組みです。
TPP参加すればルール作りは密室でおこなわれ、自然環境や地域固有の文化は二の次となり多国籍企業の経済論理優先できまります。

景気対策、原発、分権、憲法にも大いに関わります。
国会議員の存在意義すら無くなるかもしれません。

反TPPの議員が超党派で結集し安倍総理の内閣不信任決議をするというような動きはないのでしょうか?
TPP反対を主張して当選した議員も、しょせんは反対しているぞというポーズにすぎなかったのでしょうか?


務台俊介議員にはこちらから意見できます。



つづきはこちら→ヨラシムベシシラシムベカラズ




政府は必ず嘘をつく――アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること (角川SSC新書)
堤 未果
角川マガジンズ

99%の人の必読の書。

やる気あるのだろうか?TPP反対で当選した自民党議員達は。

2013年03月19日 | Weblog
前回のエントリー(TPPをめぐる自民党内の動き)のあと安倍総理が3月16日にTPP交渉参加表明をしました。

地元選出の務台俊介議員に自民党の公約違反に対する抗議、および今後の対応についてメールで問い合わせました。
特に「議員総会で6項目が保持できない場合、『脱退することも辞さない』ではなく『脱退する』とどうして確約させられなかったのですか?その総会で務台議員はどのような発言をされたのでしょうか。」
とお尋ねしましたところ早速次のようなお返事をいただきました。



「手厳しい指摘ですが、おっしゃることの懸念については、私も共有します。
安倍総理を信用するしかないでしょう。
今日の党大会で、公約を破ったらどうなるか分かっていると、安倍総理も石破幹事長が口をそろえて言っています。
安倍総理の聖域保持の思いは確かだと私は感じました。
私自身も21分野の作業グループに属し、政府の交渉を国会の立場で監視して行きます。
今の段階で公約違反を犯したと言明するにはまだ早いと思います。
総会では、多くの人が私の思いと同じ発言をしており、私自身は発言までは至りませんでした。別の場で十分発言する機会はあります。
NHKという言葉があるのだそうですね。長野、北海道、熊本が強烈な反対運動をしているという趣旨です。
ところで、一連のJAの対応については、私はボタンの掛け違いがあると思います。
2009年の選挙の際には、農産物を含めた貿易自由化と農家の個別所得補償をセットで民主党が公約を行い、私がその危険性を訴えたのに、JAは民主党を支持しました。今回も、民主党候補と私は同列の支持でした。
その民主党が、普天間の付けをTPPで譲ろうとしたことから今回の展開に繋がっています。
私はそれでもなお、個人としての思いからTPP慎重論を展開して行きますが、政権党の一員であることから大きな枠組みの中での聖域保持に全力を傾注するしかありません。
昨晩お会いした、前安曇野医師会長は、TPP賛成でした。びっくりしました。
TPPに関しては、樋端さんのような反対論が大きな声になっていない懸念を感じます。
もっと大きな声をあげてください。私たちが活動しやすいように。


しかし釈然としない回答です。

今からTPP交渉参加しても自民党が掲げた全6項目の保持は困難であり国益および主権を損じることは明らかです。
そのようなものに参加表明などしないことが一番国益にかない安全保障となります。
本当に安全保障を考えるというのならFood、Energy、Careは地域圏内で可能な限り自給すべきなのです。(キューバのように)

自民党が選挙前に国民としたTPP交渉参加に関し6項目の約束は以下のようなものです。

(1)「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる

それなのに安倍首相も(2)~(6)に関してはほとんど言及せず(1)の関税のことしか話していません。
(1)にしろそもそもTPPに関して交渉権のない米オバマ大統領が「聖域なき関税撤廃を前提とするものではない」と言ったところで何の意味もない共同宣言でした。


この約束が、2013年3月13日の自民党議員総会での決議では

 一、重要5品目(コメ、乳製品など)を関税撤廃の例外とする
 一、国民皆保険制度の堅持
 一、「聖域」が確保できない場合は交渉脱退も辞さず
 一、十分な情報を国民に提示

といつの間にか重要項目がどんどん抜け落ちていきます。

こんなウソばっかりの状況なのに政府も大手マスコミも国民と約束した「聖域はまもられる目処がたったからTPP交渉に参加するのだ」と、TPP交渉参加→TPP批准が既定路線かのように既成事実化をすすめています。

なんとも国民を馬鹿にした話です。
そして既存の参加国の承認、国会での批准など実際の参加までには長い道のりがあるのですがもう参加することが決まったようなお祭り報道です。

つくづく世論を誘導する大手メディアの罪は大きいと思います。
ゲリラ的にネットメディアやローカルメディアを活用するしかないですが、TPP、ACTA(著作権侵害の非親告罪化)などが批准されるとそのようなことすら困難になります。

  

あきらかにおかしな動きですが、このような反民主主義的な動き(コーポラティズム)に対して対抗していく鍵となるのはTPP反対を訴えて当選した自民党議員のはずです。
しかし務台俊介議員を始め、TPP反対を公約に掲げて当選した自民党議員の方々にはどうも本気度が感じらず、その言説も詭弁にしかみえないのです。

一体なんのための政治家なのでしょうか?

当然、私たちは私たちとして声をあげ、私たちにできる動きをします。
しかし議員は私たちの代表でありメディア(媒介)なのですから、市民の声が政策に反映されるように中央での活動をしていただかなければ困ります。
もし交渉へ参加したとしても主権や国益を損ずるものであるかぎり(ほぼそのような内容であり交渉の余地がないのですから今から交渉に参加すること自体ナンセンスですが)、TPP批准に対しては絶対に反対してもらわなければいけません。
反対勢力をまとめて離党したり、超党派で結束し内閣不信任を提出するくらいの動きを見せていただきたいものです。

TPP反対派の人はまずTPP反対を訴えて当選した自民党議員にはしっかりと抗議しましょう。
選挙での投票だけが政治参加ではありませんよ。目を離していてはいけません。
政府は必ずウソをつくのですから。

それとも安倍総理や議員にはどう考えて6項目の約束を守れそうもないTPP交渉にあえて参加表明し、しかるのちに撤退する深い考えや秘策があるのでしょうか?
(国民的議論を巻き起こし国民に民主主義や政治、国のあり方について考えてもらうというというような・・。)

つづきはこちら→TPP反対で当選した国会議員のTPPに対する認識。

務台俊介議員にはこちらから意見できます。
長野2区の方は是非意見表明を。(それ以外の方は自分の選挙区の議員に是非意見表明を)


◆◆参考リンク◆◆

TPP反対派の議員はなぜ自民党に居るのか?


TPP交渉参加直前の自民党議員たちのサル芝居

ざまぁみやがれい。>TPP医療制度・国民皆保険崩壊のシナリオ 堤未果


 →報道ステーションサンデー
 
 →必見!!真実は闇の中・・・政府は必ずウソをつく?



政府は必ず嘘をつく――アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること (角川SSC新書)
堤 未果
角川マガジンズ

99%の人の必読の書。

「せん妄」の対応について

2013年03月14日 | Weblog
精神科ローテした研修医に質問されたので・・。
ドクター向けの内容です。

「せん妄」はどの病院でも多い問題だと思います。
記憶、見当識障害のある認知症の方が入院した場合、本人の立場になって考えると、
「気づいたら、よくわからない場所にいて、やたら愛想のいい白い服を来た人に囲まれて・・、いろいろなものが繋がっていて不安で仕方がない。」
という状態からの治療スタートであり、生活感のある介護施設と違い、病院はじっとしていなさいという場所ですので混乱は必至です。

看護記録などにしばしば登場ずる「不穏」ということばがありますが、これは正式な医学用語ではなく状態であり、「おちつかない」くらいの意味です。
せん妄には活動性せん妄と低活動性のせん妄があり、活動性のせん妄では不穏になりますが、軽い意識障害が変動しながら持続する低活動性のせん妄は認知症の鑑別診断にあがるような様子になります。

まず、「せん妄」はほとんどが身体疾患であるという認識が何より大切です。

①認知症や脳梗塞などで弱った脳に環境の変化や身体の不調が重なって起きます。
②軽度~中程度の意識障害(レベルは変動)にさまざまな精神症状があわさります。
  認知症や精神病、通過症候群などが鑑別にあがります。
  意識レベル(MMSEやJCSなどでも可)の変動をみるためには頻回の観察が大切です。

③大半には肺炎などの感染症、低酸素、低血糖や高血糖、電解質異常などの全身疾患、脱水、便秘、尿閉、疼痛など不快な症状(訴えられない)、あるいはベンゾジアゼピンやオピオイド、ステロイドなどの薬物の影響があります。メジャー(抗精神病薬)をつかっていたらアカシジアなども有るかもしれません。
  身体診察に応じて胸部レントゲンや一般採血、頭部CTやMRIなどを追加しましょう。
④ちなみに高齢者でせん妄がおきるような状態はどの疾患であれ生命予後、機能予後不良です。
  家族にもしっかり伝えておく必要はあります。


治療は、

①原因となる身体疾患の治療、不快な症状の除去、マイナーなどの薬物は中止。

感染症などの治療や排便コントロール、疼痛の除去などは最優先してください。
慢性尿閉があり、本人にしっかり説明してバルンカテを挿入したらせん妄がおきなくなったケースもありました。

②オリエンテーションをつけ昼夜のリズムをつける。
(日中はしっかり起こす、院内ディケアやリハビリに参加、窓際の光の当たるベッドに変更、夜に寄せる形で少量のメジャーを使用。ロゼレム(メラトニンアゴニスト)などもいいかもしれません。)
③それでも無理なら抑制、持続鎮静・・。


せん妄に対して使うメジャーはセレネースやリスパダールなど何でもいいのですが・・。
定期+頓服という形で処方しておいて頓服使用が多いようなら定期を増量というのがいいと思います。
家族に適応外使用や生命予後を悪化させるリスクについて説明が必要です。
(出来ていないことも多いですが・・。)

・セレネースも0.5mgくらいからなら錐体外路症状もあまりおきず、今でも以外とといいようで年配の先生方はよく使っているようです。(自分はあまり使っておらず手応えはわかりません。)身体科の医師が、高齢者のせん妄であまりに気軽にセレネースやヒルナミン注の指示を出しているのでびっくりします。

・リスパダールは液剤や口腔内崩壊錠などの剤型もあり使いやすいのが利点ですが、即効性のある鎮静作用を認める人とそうでない人の二つに分かれます。そうでない人にリスパダールを増量しても錐体外路症状がどんどんひどくなる一方なので使用にあたっては見極めが必要です。場合によっては中止して別の抗精神病薬に切り替えることを検討します。

・最近はルーランも副作用がすくなく使いやすいです。4mgずつ漸増など。

・糖尿病が無ければセロクエルが錐体外路症状がプラセボと同程度と出にくく、抗幻覚妄想作用の他、抗うつ作用、抗不安作用や用量依存性の鎮静作用もあり使いやすいです。夕、寝る前などに12.5mgずつ漸増しています。(私はこれが第一選択です。)抗うつ効果もあるせかたまに賦活される方もいます。(パラドキシカル反応)

・ジプレキサはあまりに本格的な統合失調症の薬すぎてせん妄には使わないかもしれませんが、副作用として過食発作をひきおこすくらいの食欲増進作用があり食欲が無い末期がんの方のせん妄に使ったりはします。2.5mgくらいから漸増など。

・糖尿病があれば、高齢者用メジャーのグラマリールも使いやすいです。グラマリールの鎮静効果はセロクエルの半分程度の印象です。100mg/日を超えると錐体外路症状がでる人がいます。

信州でも当事者文化が広がっています

2013年03月09日 | Weblog
美ヶ原温泉のホテル翔峰で開催された第20回「せいしんれんセミナー」が開催されました。
当直明けの眠い目をこすりながら午後から参加して来ました。

当事者の実行委員と支援者で運営されている「せんしんれん」には長野県中から400人弱の精神障害の当事者や支援者が集まります。
全県の作業所などから工賃をつみたてて泊まりがけで参加し、全県から集まった仲間との出会いを楽しみに来られている方もたくさんいます。ロビーには作業所ごとにブースをだして物品販売がならびます。
エネルギーとユーモアがあふれ元気をもらえる集まりです。

私は午前中のシンポジウムには参加できませんでしたが当事者の方々が壇上にたち想いを語るもので素晴らしい内容だったようです。
これまでの偉い人の講演会では飽きてしまってホールに出ているひとが多かったようですが、最後まで大勢が参加できていたと聞きました。
浦河べてるの家を嚆矢とする当事者文化が全国で広がっていますね。



午後の分科会はさまざまな語り場が用意されました。
暮らすこと、ピアサポートや当事者会の運営、夢や希望、家族やスタッフ当事者との関係、症状別フリートーク、などのテーマにわかれました。
また「むかしMattoの町があった」の映画上映のコーナーもありました。

私は前回は病院や医者、薬との付き合いを考えるセッションをさせて頂きましたが、今回も光栄なことにお声をかけていただき「症状別フリートーク」という分科会にアドバイザーとして参加させていただきました。
気分の波や動けなくなったり止まれなくなったりで苦労している人グループと、幻覚や妄想、考えすぎて苦労している人のグループにわかれて話し合いでした。思ったより人数が多くて大変でしたがスタッフのファシリテートでなんとか進行。



簡単なレクで緊張をほぐし、当事者の発言で口火をきり、グループに分かれてカードの質問に答えるかたちでアイスブレイクと自己紹介しました。
その後、不眠や過眠、幻聴、怒りの爆発のコントロール、薬との付き合い、病気になってよかったこと、年金など将来の不安、疲れがわからない、など様々な話題がでてきました。
「病気になって仲間ができたのが良かった。このような場が作業所、地域に広がってほしい。」という声もありました。
私は今年は参加しませんでしたが、このあとに交流会(宴会)も毎年あって盛り上がります。

作業所などの地域スタッフは参加していましたが、病院のスタッフや精神科医師はほとんどいません。こういう場に参加すればすごく勉強になるのに、医師で参加していたのは私と一緒に行った研修医だけだったようです。

もったいないなぁ。

FEC(Food,Energy,Care)こそTPPの聖域。

2013年03月03日 | Weblog

TPPが目指す?自由貿易の利点として比較優位という事がいわれます。
国際分業してそれぞれが得意な分野で生産し貿易を盛んにすればお互いに幸せになれるという理屈です。
しかし地球上のリソースやエネルギーは有限なのに各国の生産の総和が最大化することが長期的に見ていいことでしょうか?
作った作物を輸送するのにも多大なエネルギーがかかります。無理な単一作物の大量生産で環境破壊をきたすおそれもあります。農業をおこなっている農村には農産物の生産意外の機能がたくさんあります。生産性が乏しいからといって農業生産をやめてしまうことが本当にいいのか・・。

むしろ内橋克人氏の言うようにFEC(Food,Energy,Care)の地域圏内自給こそ目指す方向性だとおもいます。
これこそが守るべき聖域です。
逆にFEC以外は自由にやればいいと思います。学問や芸術、科学の世界ですね。
インターネットをフル活用して世界中で取り組めば豊かな社会が待っています。

もっとも、著作権や特許など知的財産の項目をみるとACTAなどTPPはこれにも逆行しています。
そしてもっといえばTPPは自由貿易などではなく、むしろ米国に都合の良いブロック経済です。
グローバル資本が中国や東南アジア、インドなどの諸国にグローバル・スタンダード(アメリカンスタンダード)の俺様のルールでやらせろ~と圧力をかけて「商習慣・文化」というものを破壊してやりたいようにやるための文化・経済戦争なのです。

TPPが実現されれば世界中から資金を調達し、環境への規制がゆるく労働力の安い所で生産し、売れる所で売り、税金の安い所で納める、利益は1%で山分けということがますますやりやすくなります。
TPPはこれらのルールを秘密裏に非公開で議論し、経済の論理、大企業の論理で決めてしまう恐ろしい企みです。



企業は国家と違い環境や国民の生活に責任を負いませんからやりたい放題です。

TPPにおける対立軸は日本 VS アメリカ などではなく、グローバル企業・資本家(1%) VS 各国の市民(99%)です。
だから経団連などはメディアを取り込んでまで推進したいのですね。
彼らの言う国益ってなんでしょうね。

オープンにせず秘密裏にコソコソまとめて進めようとしているのは悪い企みだからでしょう。

三橋貴明の「新」日本経済新聞 【東田剛】これで国益を守れる?

介護認定審査会委員研修

2013年03月03日 | Weblog
日頃から高齢者に関わっている諸先生方はすでに経験されているであろう介護認定審査会の委員の役がついにまわってきました。任期は2年です。
本日はその新任委員研修に大町まで行って来ました。



利用できるサービスも増え介護を要する状態になったら介護保険サービスを利用することは普通になりましたが、介護保険制度にはその導入時から地域を育てるさまざまな仕掛けが組み込まれています。

必要な人に必要な介護サービスを提供するための保険ですが、悪徳業者や利用者もいるのである程度の公正な枠組みも必要です。
調査員の調査と主治医意見書をもとにコンピュータのロジックで出したデジタルな1次判定に対して、介護認定審査会で特記事項や主治医のコメントを元アナログな修正を加えて2次判定をだして要介護度が決定されます。

認定調査には事務費など間接コストの増大にはつながりますが、保健医療福祉の各分野からできるだけ多くの人を認定審査員に巻き込むことで高齢障害者をみる視点を広めようという意図は感じました。JPTECやICLSみたいなものですね。

しかし介護者がおらず介護保険サービスだけでは認知症高齢者や重度障害者、低所得者が施設ではなく地域で暮らしていくのはかなり困難です。
タイムスタディをもとにした介護にかかる時間だけで要介護度が決まり、主治医意見書や認定調査の特記事項にあっても施設・在宅の別、住宅環境、介護者の有無を要介護度の変更の理由にはできないというのはやはり不満がのこりますね。(実際はしているのでしょうが・・)
児童福祉、生活保護、年金、自立支援法、医療保険、介護保険などを一体にしてライフステージを通じて「溜め」を総合的に評価して自立を支援する制度ってできないものかと思いました。
ライフワークにしようかな・・。